「貝申医療」のAI新生児黄疸検査アプリが政府の医療機器認証を取得

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新生児の胸の上にカラーチャートを貼り付け、アプリを開き、カメラで撮影すると即座に数値が出て、新生児黄疸注意レベルが表示される。これが新生児黄疸検査アプリ「哪吒保貝(bbscan.com)」の基本機能だ。

哪吒保貝は「貝申医療(深圳貝申医療技術有限公司,ShenZhen BeiShen Healthcare)」によって開発された。今年1月末には『新生児黄疸スクリーニング検査モバイルソフトウェア』として広東省薬品監督管理局の医療機器認証を取得。2018年8月に医療機器クラス分類が変更されて以降、政府が販売を許可した唯一のアプリだ。

貝申医療の申田CEOは「医療機器認証は、医療機器としての販売許可に当たる。つまり哪吒保貝は医療機器の正規調達ルートに参入できるということだ」と語る。

中国の新生児黄疸発生率は60~80%前後で、黄疸が原因で脳性麻痺を発症する患者は毎年のべ1万人以上にのぼる。これは欧米の先進国の発症率を大きく上回る数字だ。現在、病院で行われている黄疸検査は主に2種類。1つは血液検査で最も正確な検査方法だが、傷が残る上、病院以外では実施できない。2つ目は黄疸計を使った経皮的測定法による診断補助。しかし黄疸計は1台5~10万元(約80~160万円)と高価なため、家庭での普及は望めない。

一方、AI・ビッグデータと医用画像処理技術を活用した哪吒保貝は、新生児黄疸の臨床診断基準である「ビリルビン値」に基づき判断するため、傷が残らない、遠隔診断が可能、簡単・便利、信頼性が高いという特長がある。

「哪吒保貝の役割は黄疸リスクを知らせることであり、医師の診断に代わるものではない。適切なタイミングで新生児を病院に連れていき、症状の悪化を防いでもらうことが当社の目的だ」と申CEOは語る。

貝申医療は中国国内1000か所以上の病院と提携し、データの精度検証を行っている。その臨床試験結果は中国の権威ある医学雑誌に2度掲載され「哪吒保貝の精度は黄疸計に劣らない」、「血液検査の結果とほぼ一致する」という評価を受けた。

これまでに哪吒保貝は中国の30か所の省・区レベルの病院と提携し、新生児黄疸のビッグデータ研究を進めている。

ユーザーのアプリ利用料と病院やコミュニティ医療機関からの技術使用料が主な収入源となる。

このアプリは新生児黄疸検査だけでなく、便色から判断する生後28~180日の幼児胆汁うっ滞スクリーニング検査や、出産前の胎児心音、胎動、子宮収縮モニタリング、新生児の脳発育モニタリング機能も備える。

米国のフィラデルフィア小児病院やスタンフォード小児病院、南アフリカ、メキシコ、インドの小児病院などと共同研究も行っている。今後は医療画像処理分野を発展させ、白色、黒色人種の新生児黄疸検査への応用を目指す。

貝申医療の創業チームは、産婦人科、AI画像処理、通信技術分野の専門家で構成されている。共同創業者の申田氏は米リーハイ大学でコンピュータサイエンスの博士号を取得し、米国国立衛生研究所、独シーメンスの研究機関「西安華海盈泰医療信息技術(HWATECH MEDICAL)」での職務経歴がある。姜向陽氏は産科で約20年の臨床経験がある。閻昇氏は医用画像処理分野に8年間従事し、図形画像処理アルゴリズムを使ったAI及び機械学習の開発に携わった。聶涛氏はモバイル通信の専門家で、北京大学を卒業し、米モトローラでの勤務経験がある。
(翻訳:田上)

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