新興EVブランド「ROX Motor」、シリーズDで2億ドルを調達。ロボット掃除機「Roborock」創業者が設立を背景に脚光浴びる

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新興EVブランド「ROX Motor」、シリーズDで2億ドルを調達。ロボット掃除機「Roborock」創業者が設立を背景に脚光浴びる

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ロボット掃除機メーカー「石頭科技(Roborock)」の創業者兼最高経営責任者(CEO)、昌敬氏が立ち上げた電気自動車(EV)事業「洛軻汽車(ROX Motor)」がこのほど、シリーズDで2億ドル(約260億円)を調達した。評価額は20億ドル(約2600億円)。コーチュー・マネジメントが出資を主導し、セコイア・キャピタル・チャイナやIDGキャピタルなどの大手投資機関が参加した。複数の関係者への取材で明らかになった。

洛軻汽車は、とくに宣伝はしていないにもかかわらず、投資機関の関心を集めてきた。石頭科技を成功に導いた昌氏の手腕が評価されたためだ。21年末に実施したシリーズCでは1億ドル(約130億円)を調達したが、うち約5000万ドル(約65億円)以上を騰訊控股(テンセント)が出資している。一方、蔚来資本(NIO Capital)と美団(Meituan)も同社との出資協議を進めたが、物別れに終わっている。蔚来資本は蔚来汽車(NIO)と、美団は理想汽車(Li Auto)と出資関係にあることを考慮し、昌氏が婉曲に断ったのだという。

昌氏はオフロード車をこよなく愛する自動車マニアだ。洛軻汽車の最初の車種は、メルセデス・ベンツの高級オフロード車「Gクラス」をベンチマークに、航続距離1000キロ突破を目指して開発が進められている。23年に販売価格30万〜50万元(約600万〜1000万円)で発売し、航続距離の長いオフロード車というニッチ分野の人気車種を目指すという。

洛軻汽車は20年末に設立され、本部を上海市に置く。昌氏は董事長に就き、CEOには威馬汽車(WM Motor)で最高技術責任者(CTO)を務めた閻楓氏を迎えている。企業データベース「天眼查(Tianyancha)」によると、安徽省の蕪湖経済技術開発区に「安徽洛軻汽車製造」という会社が設立されており、代表者は閻氏となっている。この情報から、洛軻汽車が着々と自動車製造計画を進めていることが分かる。

しかし、蔚来汽車の李斌氏や理想汽車の李想氏と比べ、昌氏の自動車業界参入は5年ほど遅かった。出資希望者が次々に現れているとはいえ、洛軻汽車がチャンスをつかむために残された時間は多くない。このことは、同社の評価額の推移に表れている。18年のシリーズBから今回のシリーズDまで、200億ドルという評価額に変化はない。

洛軻汽車への出資を検討したことのある人物は、「昌氏は現在の業界環境で資金調達するのは簡単ではないことを理解している」とした上で、「昌氏はできる限り早く自動車製造を本格化させるための資金を求めている」と述べた。

中国で新興自動車メーカーの第1次ブームが起こった際は、テンセントやアリババ集団、美団などインターネット大手が相次いで有望企業に出資したが、第2次ブームの現在は大手投資機関による出資が目立つ。今回、洛軻汽車のシリーズDを主導したコーチュー・マネジメントは、新興電気自動車(EV)メーカーの米Rivian(リビアン)への投資が成功したため、中国の新興自動車メーカーへの投資も活発化させている。

洛軻汽車と同じく第2次ブームに乗って設立されたEVメーカー「牛創新能源科技(​​NIUTRON)」は、昨年11月のシリーズAで5億ドル(約850億円)を調達した。出資を主導したのはコーチュー・マネジメントとIDGキャピタルだった。IDGキャピタルも、洛軻汽車のシリーズDに参加している。

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牛創新能源科技の李一男CEOは、36Krの取材に応じた際、「(第1次ブームの際に投資した)投資機関はもうかった。さらにもうけようとしたもののチャンスを逃したり損を出したりした投資機関が、(今回のブームに乗って)損を取り戻そうとしている」との見方を示していた。

小米(シャオミ)が自動車製造に乗り出し、比亜迪(BYD)や浙江吉利控股集団(Zhejiang Geely Holding Group)など大手自動車メーカーが方針転換を進めている現在、第2次ブームに乗って起業した新興自動車メーカーに対し、投資機関の態度は消極的になりつつある。新興自動車メーカーは事業展開を加速する必要がある。

(翻訳・田村広子)

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