リストラの嵐に逆行、フードデリバリー「餓了麼」と口コミサービス「口碑」が6000人を新規雇用

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フードデリバリーサービス大手「餓了麼(Ele.me)」がこの3カ月で新たに従業員2000人を雇用していたことがわかった。うち約200人は元従業員。また、餓了麼と同じアリババ系列の口コミサービス「口碑(Koubei)」も新たに4000人を採用して各都市向け事業チームを補強した。加入店舗向けデジタル化推進チームもこの3カ月で10倍に増員している。

餓了麼と口碑が雇用した6000人は、加入店舗へのサービス、プロダクト開発、配送管理などの業務に配置され、うち3割超が3~4級都市で就業する。

餓了麼と口碑の二事業を統括するアリババの持ち株会社で総裁を務め、餓了麼CEOも兼任する王磊氏は、今後も二事業で合わせて5000人を増強するとしている。

また、餓了麼の配達業務を担う「蜂鳥配送(Fengniao Delivery)」は今年、配達員80万人を雇用する予定。前年の社内調査によると、蜂鳥配送の配達員は77%が農村出身で、フルタイム従事者の平均月給は全国の個人経営事業所の従業員を上回る。

餓了麼や口碑のような地域密着型生活サービス企業に関しては、人員削減のニュースが相次いでいる。昨年12月、餓了麼最大の競合相手「美団点評(Meituan Dianping)」がコンテンツ運営部門のおよそ300人を解雇すると報じられた。美団は「通常の人員調整」としてこの報道を否定している。さらに今年2月、ライドシェア国内最大手の「滴滴出行(Didi Chuxing)」も、事業開発部門「R-Lab」の数百人を対象にリストラや異動を敢行したと報じられた。対象となった従業員は主にデリバリー事業の担当者で、主な異動先は国際事業部門だという。これは国内事業の不振に起因する人事とみられる。

これらに逆行するかのように、新規雇用を進める餓了麼や口碑だが、人材増強の一方で出店業者拡充にも投資し、市場で一気にシェアを奪う狙いとみられる。加入店舗の拡大やつなぎ止めに大胆に資金を投じている様子だが、これらの策がユーザーの定着率向上に功を奏するかどうかは未知数だ。反対に、これらの大々的な投資によって赤字を拡大する結果にもなりかねない。

なお、アリババCFOの武衛氏は昨年第3四半期決算報告の席上で、同グループが積極的に投資を進める4事業の一つとして餓了麼を挙げている。

地域密着型生活サービスに限らず、インターネット業界全体で人員削減の嵐が吹き荒れている。Eコマースの京東集団(JD.com)やQ&Aサイト「知乎(Zhihu)」も例外ではない。しかし、アリババは先月22日に「リストラを行わない」と明言。むしろ、求人や人材育成を進め、より多くの雇用機会を提供していくとした。同社CEOの張勇(ダニエル・チャン)氏も、「経済状況が不振の際に、プラットフォームビジネスが提供する最大の価値は雇用機会創出だ」と述べている。
(翻訳・愛玉)

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