スタバ限定「猫の手」タンブラーの即日完売騒動。中国市場の不振、ネコノミクスで起死回生か

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先月26日、中国のスターバックスコーヒーで限定販売のタンブラーが発売され、即日完売となった。あまりの人気に、商品を買い求める客同士が店内で揉みあいになったなどとの報道もあり注目を集めている。

その限定タンブラーのデザインは猫の手をかたどったもの。店頭で即日完売したことを受け、同月28日からオンラインショップで追加販売を行い、段階的に4000個を売り出したが、わずか合計6秒で完売したという。中国でもペット関連、とくに猫関連のグッズは人気が集中するようだ。

「猫の手」騒動はバイラルマーケティングの成功か

この「猫の手」タンブラー騒ぎは、スターバックスが周到に準備を重ねたバイラルマーケティングだったのだろうか。

猫の手タンブラーのマーケティング戦略は、発売数日前から布石が打たれていた。ショート動画アプリ「TikTok(抖音)」やソーシャルECアプリ「小紅書(RED)」で関連動画が拡散され、発売日までに十分なウォーミングアップが行われていたのだ。

そして、発売日当日には、「男性客2人が猫の手タンブラーを奪い合ってスタバの店内で殴り合いになった」などの噂が広まった。スターバックスでは珍しくない限定商品だが、猫の手タンブラーはこの時「聖杯」と化した。商魂たくましい一部の客が、手に入れたタンブラーを中古品取引サイトでプレミア価格で販売したり、コピー商品を生産して販売する業者が瞬く間に登場したりと、騒動は加熱する一方だった。

ショート動画アプリやSNSでも関連の投稿が相次いだ。3月1日午前11時時点で、TikTokでは関連動画の再生回数が1014万回、微博(Weibo)では関連トピックが取り上げられた回数が5億1822万回、小紅書では関連のスレッドが3000件以上に上った。

スターバックスと提携するアリババグループによると、猫の手タンブラーが話題となって以降、スターバックスの来店者数は300%増、関連キーワード検索回数は8800%増となった。

1日、スターバックスはソーシャルメディア上で今回の騒動について言及。「いわゆる品薄商法ではない」としている。

猫がけん引する市場は1000億元規模

スターバックスにとって中国は米国に次ぐ第2の市場だが、現在では同グループ最大の「お荷物」になっている。既存店売上高の伸びは、前年同期比わずか1%に留まり、全世界平均の3%を下回っている。そこで、若年層の顧客を獲得するために着目したのが「ペット」というキーワードのようだ。

中国産業研究院のデータによると、中国でペットを飼育する家庭は7355万世帯(魚類を含む)。うち、30.7%が猫を飼育している。猫や犬は1980~1990年代生まれの世代に人気で、犬・猫飼育者の75%がこの世代に属している。その中でも特にオフィスワーカーや学生に人気が高いという。

1980~1990年代生まれのオフィスワーカーや学生というセグメントは、スターバックスの顧客像と重なる。同社顧客の54%が25~34歳で、月収1万元(約17万円)以上が71%を占める。また、顧客の54%が男性だ。

猫1匹の飼育にかかる平均費用は年4311元(約7万円)だという。今回スターバックスが販売した限定タンブラーは199元(約3300円)で、これまでの限定商品と比較して強気の価格設定だったが、猫好きにはそれほど高いとは受け止められなかったようだ。

2018年、中国のペット関連消費市場は前年比27%増の1708億元(約2兆8000億円)規模に達し、高い成長率を見せている。ペットをモチーフとした関連商品も続々と登場している。

さらに、猫は犬と比較しても人気が高い。現在、微博での猫関連のトピックは11億以上、犬関連は約1億となっている。背景には猫の飼育費用が犬より低いことや、単身世帯が増えたことが挙げられる。猫を飼育する人の19%が、猫を飼った理由として「気持ちのよりどころや楽しみがほしかった」としている。

猫の経済効果は万能薬にあらず

日本では2015年、「ネコノミクス」なるカテゴリーが誕生し、猫のもたらす経済効果が注目されるようになった。中国でもSNS発のスター猫が誕生し、関連商品にプレミア価格がつくなど同様の現象が起きている。

微博では猫に関するミニブログが人気となり、フォロワー422万人を集めるあるブロガーには、インフルエンサーマーケティングの依頼料として最高25万元(約400万円)が提示されたという。一般的に、フォロワー数100万人以上のブロガーへのオファーは1~3万元(約17~50万円)が相場だ。

しかし、猫関連なら何でも経済効果が得られるというわけではない。

あるスターバックス従業員によると、今回発売した限定商品は「猫の手」以外に猫のデザインが3商品あったが、それらは特に人気が高いわけではないという。やはりデザインが優れていなければ、売れ筋にはなり得ないということだろう。なお、ネコノミクスは不景気の時に盛り上がる傾向があるという。
(翻訳・愛玉)

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