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金属積層造形技術を開発する「雲耀深維(Aixway3D)」が2021年に、エンジェルラウンドで数千万元(数億円)を調達していたことが分かった。出資者はセコイア・キャピタル・チャイナ・シードファンド(紅杉中国種子基金)、深圳高新投正軒、PNP。年内にはプレシリーズAの資金調達に着手する計画だという。
金属積層造形とは金属3Dプリント技術の手法で、1990年代から今に至るまでさまざまな方式が生み出されてきた。現在は、敷き詰めた金属粉末にレーザーを照射して凝固させるレーザーパウダーベッド(LPBF)方式などが主流となっている。金属積層造形は完成品の3Dモデルのスライスデータに基づき一気に造形するもので、従来の金属鋳造技術のように複雑な金型を作成する必要がない。鋳造技術に比べ、高度に複雑な金属部品の製造にも対応できるため、産業界は大きな期待を寄せている。
とはいえ、新技術である金属積層造形には課題も多い。まず造形精度や表面粗さを改善する必要がある。従来の金属加工技術がナノレベルの精度を実現しているのに対し、金属積層造形の精度は数十~百数十マイクロメートルにとどまっている。表面粗さを表すパラメーターはRa7~20マイクロメートルで、鏡面並みの仕上げも可能な従来の加工技術に大きく劣っている。また金属材料を1層ずつ造形していくという特性上、時間がかかり、低コスト化が難しい。さらに造形の過程で残留応力や熱によるひび割れやすき間が生じ、金属疲労を引き起こすという問題もあり、さらなる研究とプロセス改善が必要とされている。
「私たちは高精度の金属積層造形を実現することで、小さく複雑な部品の大量生産に専念し、従来の金属加工技術との相互補完および一部代替を目指している」と語るのは創業者の沈李耀威氏と尹伊君氏だ。
雲耀深維は2021年に設立され、金属積層造形のLPBFやSLM(選択的レーザー溶融法)技術に関わるソリューションを提供している。具体的には、小ロットから大量注文まで対応できる各種金属の3Dプリント、金属3Dプリンターのカスタム開発、新たな金属粉末材料による造形技術の開発などだ。創業者の沈李耀威氏は、LPBF・SLM技術を開発した独フラウンホーファー・レーザー技術研究所でエンジニアを務め、多年にわたり同技術の発明者に師事していた。
現在、雲耀深維では2~5マイクロメートルという超高精度の造形を実現している。これまでの金属積層造形が数十~百数十マイクロメートルの精度だったことを考えると、飛躍的な進歩だ。「高精度造形で最も肝要な技術的課題は、10~20マイクロメートル以下の超微細粉末を完璧に造形することだ」と創業チームは説明する。
超微細粉末は互いに付着しやすい性質があり、積層造形の金属粉末を均一に敷き詰める工程で大きな問題となるため、これまでは15マイクロメートル以下の超微細粉末をふるい分けて取り除く必要があった。雲耀深維は粉末敷設システムを自社開発し、複数の技術を組み合わせることで粒子間の付着力を低減して、1回で金属粉末をベストな状態に敷設できるようにした。
また完成品の3Dモデルから最適な構造設計やスライサー設定、パラメーター設定、プリント経路計画などの効率的なプロセス計画を導き出し、表面仕上げでRa0.8~1マイクロメートルの滑らかさを実現した。優れた経路計画は精度や表面の滑らかさの向上だけでなく、残留応力を低減してひび割れやすき間を防ぎ、製品の安定性を高めることにもつながっている。
雲耀深維は中国国内の金属積層造形OEM市場が空白状態であることを考慮して、オーダーメードの3Dプリンターや技術開発サービスも提供している。自社開発のソフトウェアモジュール、ハードウェアモジュールを中核とした3Dプリンターを開発し、厚さや多孔性、長さ、幅など顧客の製品特性に応じて限定的なカスタマイズを行っている。
「初期の顧客は航空宇宙や医療などすでにLPBF技術が認知された業界が中心で、ベンチマークとなる顧客案件を多く蓄積してきた。また半導体や新エネルギーなど、まだ3Dプリント技術が進出していない業界との取り組みも始めており、今後さらに大規模なビジネスを展開できるようになることを期待している」と同社は付け加えた。
(翻訳・畠中裕子)
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