9割がボッシュ製 国産拡大で現状打破へ。車載電子制御の中国新興、19億円調達 年内に量産開始へ

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9割がボッシュ製 国産拡大で現状打破へ。車載電子制御の中国新興、19億円調達 年内に量産開始へ

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車載電子制御システムを手掛ける中国のスタートアップ、利氪科技(Leekr Technology)はこのほど、シリーズAとシリーズA+という2つの資金調達ラウンドを実施し、総額約2億元(約19億円)を調達した。調達した資金は主に、自社生産研究拠点の整備と次世代シャシー(車台)向け部品の研究開発に充てるという。

今回の資金調達では、シリーズAで中国のベンチャーキャピタル(VC)である元璟資本(ビジョン・プラス・キャピタル)と創新工場(シノベーション・ベンチャーズ)が、シリーズA+で同国のプライベートエクイティ(PE)ファンドである嘉実投資(ハーベストイン・ベストメンツ)がそれぞれ投資案件を主導する「リード投資家」を務めた。

このほか、政府系ファンドの上海自由貿易区基金と同区臨港新片区科創基金が続けて出資。VCの九合創投(ユニティ・ベンチャーズ)なども資本参加した。元璟資本は中国電子商取引(EC)最大手、アリババ集団の創業者の一人、呉泳銘氏が率いる。

利氪は2021年に設立。電気自動車(EV)など新エネルギー車と自動運転という重要分野に特化し、シャシー(車台)向けの「バイワイヤ」と呼ばれる電気信号による制御システムを自動車メーカーや業界パートナー企業に供給している。

かつてのガソリン車時代、中国国内では国際部品サプライヤーがガソリン車の中核部品技術をすっかり独占していた。 だが、自動車の電動化やスマート化の波が押し寄せる中、中国のスマートEVにはちょうどその変化の曲がり角で競合相手を出し抜くチャンスがあった。利氪にとっては、シャシー用のバイワイヤ領域がそれに当たる。

同社の創業者兼最高経営責任者(CEO)、恵志峰氏は一貫して自動車畑を歩んできた。英インペリアル・カレッジ・ロンドンを卒業後、自動車部品の世界最大手、独ボッシュの社長補佐として新製品の技術を応用・普及させるために陣頭指揮を執った経歴を持つ。

9割がボッシュ製 国産拡大で現状打破へ

シャシーは一般に、トランスミッション(変速機)、ステアリング(操舵装置)、ブレーキ、ドライブの4つの主要システムで構成される。このうち制動システム、つまりブレーキを例に取ると、ガソリン時代の従来型ブレーキは、足でブレーキペダルを踏めば、制動意思が油圧や空気圧の配管を通ってブレーキに伝わるという機械的手段が主流だった。

これに対し、ブレーキ・バイワイヤ・システムは電気信号によって制動情報を伝える。 新エネ車で説明すると、電子式真空ポンプを追加搭載する従来型の方法のほか、ブレーキ・バイワイヤ・システムを利用できる。これは、真空ブースターと電子式真空ポンプの組み合わせに置き換わる形となる。

「ブレーキの応答性と制御精度を高めてくれるだけでなく、自動運転の安全を実現する重要な保障となっている」。恵氏はブレーキ・バイワイヤ・システムについてこう話す。さらに重要なこととして、「新エネ車の多くがバッテリー寿命に不安があるが、ブレーキ・バイワイヤ方式の電動ブレーキブースターを使えば、車両のエネルギー回収をサポートできる」とも語った。

高度な自動運転の需要の下、自動車メーカーでは一般的に、次世代電子ブースターと「横滑り簿防止装置(ESC)」といった車両の安定制御システムを搭載し、緊急時に搭乗者の安全を確保するため、独立した2つのブレーキシステムを提供することが一般的となっている。

現在、電子制御システム製品の市場での浸透率はまだ高くない。同製品自体の安全性への要求が非常に厳しく技術的な障壁がかなり高いからだ。このため、中国内の新エネ車は9割を輸入に頼っているのだが、採用しているのは「Tier1(ティアワン)」と呼ばれる完成車メーカーの1次取引先の中でも、ほぼボッシュの製品だ。

こうした状況下で、国内自動車メーカーの将来的な国産への切り替え需要拡大期待から誕生したのが利氪だ。創業当初から自動車の電子制御システム製品需要に照準を合わせて研究開発を進め、「油圧式分離電子制動増幅器(デカップルド・ハイドロリック・ブースター、DHB)」と「統合式スマート制動システム(インテグレーテッド・ハイドロリック・ブレーキ、IHB)」の2つのユニット製品を打ち出した。

機能面を見ると、前者は自動運転需要とエネルギー回収機能を合わせた完全油圧式デカップリングソリューションで、ペダル動作とブレーキ作動を信号で結び、操作と機能を切り離すだけでなく、あらゆるブランドの一般的なESCやABS(アンチロック・ブレーキ・システム)製品と組み合わせることができる。自動車メーカーの開発期間と研究開発費の投入を大幅に減らせる利点がある。また、自動運転の「レベル3(一定の条件下で運転者の監視が不要)」以上で早急に求められるブレーキの冗長性についてもESCとの併用が可能だ。

後者は、車体の安定制御や自動運転、エネルギー回収などの機能を統合したもので、業界では「ワンボックス」製品と呼ばれている。

DHBとIHBの2製品により、利氪では直近の冬季に自動車メーカー6社と9車種への採用が決まった。セダンや多目的スポーツ車(SUV)、多目的車(MPV)など全車種に搭載される。22年半ばに自動車メーカーのプロジェクトとして初の量産が開始される見通しだ。

(ブレーキ・バイワイヤ・システムを使った利氪の主力製品)

恵氏は自社の主力製品について「他の自動車メーカーのコスト感覚にとにかく寄り添った」と説明。「当社のDHB製品を採用すれば、1部品当たりのコストと研究開発費を大幅に引き下げられる」と語った。

今後はまず主力2製品に注力し、顧客拡大につなげていく考え。恵氏は「3~5年以内にブレーキ・バイワイヤ分野で最前線に立っている見込みだ」と自信を示した。

(36Kr Japan編集部)

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