台頭する中国アニメ作品 日本でも人気に 

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【新華社天津6月2日】中国天津市の国家アニメ産業パークではここ数日、アニメ作品「大理寺日誌」のプロデューサー、辺曦(へん・ぎ)氏がレンダリング(データの画像化処理)の進捗(しんちょく)状況が表示されたパソコンの画面を見つめている。同作品の続編「大理寺日誌2」の格闘シーンだという。20秒に満たないシーンだが、動作をより滑らかにするため半月以上試行錯誤している。

中国で人気を博した「大理寺日誌」は、2020年8月から続編の制作が続いている。年内には本編が完成するという。

「大理寺日誌」は海外でも注目を集め、作品を観た多くの人がツイッターやユーチューブなどで同作品を拡散した。日本の動画投稿者は英語で紹介動画を作り、韓国の大学生は自身のアカウントで作品登場人物の二次創作作品を投稿した。辺氏は、唐の時代の中国を舞台にした作品が世界に広まるとは思ってもいなかったと語り「中国アニメの国際的影響力の高まりを反映している」と指摘した。

中国では1950年代、60年代に「大暴れ孫悟空(大閙天宮)」「お母さんを探すオタマジャクシ(小蝌蚪找媽媽)」などのアニメ作品が世界で高い評価を受けた。80年代には「アーファンティーの物語(阿凡提的故事)」「黒猫警部(黒猫警長)」などが国内アニメ制作にピークをもたらした。ただ、その後は収入や将来性などの要因で、国内アニメーターの多くが外国制作会社の動画加工を手掛けるようになり、中国アニメは20年に及ぶ断絶期に入った。

転機を迎えたのは2014年前後で、政府がアニメ産業の発展を支持したことで、浙江、江蘇、山東、広東など各地でアニメ産業が重点誘致・支援産業リストに加えられた。中国の企業情報サイト「企査査」のデータによると、14年のアニメ関連企業の登記数は2万社超と前年の2倍となり、19年には6万社。21年には27万社になった。

国内市場も活発になった、15年公開の「西遊記ヒーロー・イズ・バック(西遊記之大聖帰来)」は9億5600万元(1元=約19円)の興行収入を記録。中国アニメは転換点を迎えた。19年に公開された「ナタ魔童降臨(哪吒之魔童降世)」の興行収入は50億3500万元に達した。

海外市場では、アニメ映画「羅小黒戦記(ロシャオヘイせんき)」の日本での成功が、中国アニメの海外進出における象徴的な出来事となった。字幕版と吹替版を合わせた日本での観客動員数は延べ35万人超、興行収入は5億5千万円となり、中国アニメ映画の海外興行収入記録を塗り替えた。「クレヨンしんちゃん」を手掛けた本郷みつる監督や「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」を手掛けた入江泰浩監督など、多くの日本アニメーターも絶賛した。特に入江泰浩監督は自身のツイッターで作品を勧めながら「今後、これを作った人達と競っていかないといけないのか、という気持ち。感服。」と評価した。

中国コンテンツを日本で展開する「面白映画」、新たな資金調達で事業拡大へ

素晴らしい作品が生まれる一方で、国内には「中国アニメはまだ創成期にあり、世界一流になるには50年かかる」と指摘する声もある。ただ、辺氏は「技術の差は縮まっている。画面の美しさやストーリー表現などソフト面の実力も追いつきつつある」と前向きな見方を示した。(記者/王井懐、梁姊)

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