アリババ傘下「菜鳥」、グリーン物流でCO2を削減 21年「独身の日」に5万トン減の実績

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アリババグループの物流プラットフォーム「菜鳥網絡(Cainiao Network)」は5月26日、「2021-2022年菜鳥社会的責任報告書」を発表し、グリーン物流と緊急物流という中心戦略や、農村活性化支援、公正な雇用促進などの進捗状況を公表した。

報告書の発表会では、菜鳥ESG(環境・社会・企業統治)担当副総裁の牛智敬氏が「菜鳥がまとまった形の社会的責任報告書を発表するのは今回が初めてだ」と述べた。この報告書はESGのフレームワークで「環境」「社会」「企業統治」という3つの角度から、同社が事業を展開しながら長期的な社会的責任を果たしていく方法を説明している。

環境面ではグリーン物流に注力しており、消費者向けのリサイクルサービスと事業者向けのグリーンサプライチェーンという2本柱が出来上がっている。

消費者向けのリサイクルサービスでは、宅配用ダンボール箱のリサイクルと消費者行動のデジタル化という2方面からアプローチする。

菜鳥は早くも2016年から「リサイクル計画」を開始し、中国の物流会社としては初めてリサイクルプロジェクトに取り組んだ。地域のサービス拠点「菜鳥ステーション(菜鳥驛站)」にリサイクルボックスを設置し、同ステーションを物流分野の低炭素リサイクルを実践する「毛細血管」とした。このリサイクル計画は21年末時点で中国の315都市で実施されており、毎年数億個の宅配用ダンボール箱がリサイクルされる見込みだという。21年の「独身の日セ(ダブルイレブン)」(11月11日のECセールイベント)には「ダンボール箱を返却すると卵をプレゼント」キャンペーンを開催、約400万人が参加し、5万3000トンもの二酸化炭素(CO2)排出量の削減につながった。

消費者行動のデジタル化は、個人のCO2排出削減量を可視化し消費者の包装リサイクルへの参加を促す目的で2021年11月にスタートしたものだ。

牛氏の話によると、これまでダンボール箱などの包装資材はそのまま捨てられていたが、「CO2排出量を削減するためには、こうした行動を記録する必要がある」と考えたという。昨年の独身の日セールに開催した「ダンボール箱を返却すると卵をプレゼント」キャンペーンと組み合わせることで、菜鳥が運営するオンラインコミュニティー「緑色家園」も周知されるようになった。消費者は個人のCO2排出削減量の履歴を確認することができ、商品と交換できるポイント制度を通じて、CO2排出削減活動に参加する意欲を高めている。

「ダンボール箱を返却すると卵をプレゼント」では5万トン以上のCO2を削減(画像:菜鳥)

事業者向けには「グリーンサプライチェーン」サービスを打ち出した。これは倉庫保管から配送、リサイクルまでをカバーしたCO2排出削減ソリューションで、パッケージ型サービスのほかにカーボンマネジメントシステムも提供している。電子伝票、パッキングアルゴリズム、二重包装の削減、スマートルートプランニングなどの技術やサービスにより、サプライチェーンにおける効果的なCO2排出削減を実現しており、すでにネスレ、ユニリーバ、フィリップスなど世界的なブランドとの提携に至っている。

社会的責任という点では、社会的に大きなニーズがあった場合に緊急輸送や倉庫保管を行う「緊急物流」の拡大に注力している。

菜鳥は近ごろ、政府や公益機関のニーズを満たすため、全国6カ所に公益倉庫を開設した。新型コロナウイルス感染症対策を支援するため、菜鳥が各地で輸送した緊急用物資は1000万個以上に上る。またさまざまな公益団体と協力して、公益性の高い物流サービスを提供している。

菜鳥はまた農村活性化や製造業を支援し、地域福祉への取り組みに参加することなどを通じて、社会的責任を果たしている。農村活性化について牛氏は、菜鳥の拠点が農村部に4万カ所以上あり、1000以上の県に及んでいることに言及した。農産物をよりスピーディーにECプラットフォームで販売できるよう、最近では農村部の菜鳥ステーションが複数の地方と連携して独自ブランドの農産物を売り出したという。

菜鳥の万霖CEOは、自発的に社会的責任を果たして初めて「社会と人々の生活に貢献」でき、「他とは一線を画すスマート物流会社」になることができると語った。
(翻訳・畠中裕子)

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