てんかん患者を守る腕時計型機器 中国発「Biovital」、睡眠障害やうつ病にも応用の可能性

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てんかん患者を守る腕時計型機器 中国発「Biovital」、睡眠障害やうつ病にも応用の可能性

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中国最新の疫学資料によると、同国ではてんかんの有病率が0.7%で、全国に約1000万人の患者がいる。また、年間40万人が新たにてんかんを患うという。国際抗てんかん連盟(ILAE)と国際臨床神経生理学会(ICCN)による臨床実践指南によると、てんかん患者の47〜63%は発作を自覚できないことがビデオ脳波検査でわかっており、夜間の発作の場合はその割合が86%にまで高まるという。これらの特徴から、てんかんは長期的な管理と治療が必要であり、臨床的寛解に至るには治療開始は早いほどよいとされる。

てんかんは発作が予期せぬタイミングで起こるため、日常生活で起こった発作を医者が直接確認して診断することができない。患者本人や介護者、その他の目撃者に発作の状況や発作を誘発すると考えられる要因、発作の頻度について説明してもらい、患者の日常生活に与える影響について話し合うほかない。現状では患者による口頭説明や発作を記録したノートから病歴を把握しているが、これでは診察の効率、症状や治療効果の確認にも影響し、特に難治性てんかんの診療では治療効果に響く。

以上の問題点に対して、「瑞爾唯康(WECARE MEDICAL)」は一つの対処法を打ち出している。てんかん発作をモニタリングし、発作が起きたらすぐに医者や家族に警報を発信できる腕時計型機器を独自に開発したのだ。これにより迅速に救助ができ、予期せぬ負傷や突然死のリスクを低減する。さらに、普段の発作に関する観察報告を作成できるため、診察時には従来の口頭説明に替わって医者に定量評価を提供でき、治療効果を可視化・データ化して治療の精密度を上げられる。

瑞爾唯康の創業者でCEOの盛多錚氏によると、この腕時計型機器「Biovital」は開発に4年かけた医療機器クラスの製品で、手首のEDA(皮膚電気活動)・SEMG(表面筋電図)・身体加速度・角速度・皮膚温・心拍・血中酸素など発作を効果的に検出するバイオマーカーを収集し、これらの7種類のデータを複合して解析用アルゴリズムにモデルトレーニングを施し、てんかんのモニタリング・警報と定量評価を可能にした。

Biovitalに関しては現在、首都医科大学付属宣武医院を筆頭に同大付属天壇医院、同大付属北京児童医院、中国人民解放軍総医院、西安交通大学第一付属医院などが参加する臨床試験が行われ、第1相試験を終了して有効な成果をあげている。また中国抗てんかん協会(CAAE)との共同プロジェクトとして、てんかんの院外モニタリングに関する中国の専門家によるコンセンサスの起草を準備中だ。データから見るとBiovitalの全体的な正確度は90%で、夜間に起きた12回の発作をすべて検知し、2023年には販売承認を得て発売される予定だ。

データ収集の面から見ると、重要なシグナルを収集するBiovitalのような製品形態は中国国内市場にはほぼ存在せず、これまでは主に海外企業が開発・生産してきた。代表的なブランドとしては「Embrace」「SmartMonitor」「Epilert」などが挙げられる。盛CEOによるとBiovitalは世界の競合製品で最も多い7種類のデータを計測するため海外製品と比較しても正確度が高く、対応する疾患もより幅広い。さらにスマートフォンに依存せず使えるという。

ただし、モニタリングと警報だけでは患者の悩みを完全に解決できるわけではない。瑞爾唯康はさらに踏み込んで、てんかんの非侵襲的治療装置をリリースしている。モニタリングを通じて取得した大量のデータを基に、相談・立ち会い診察・民間保険・投薬・検査など、治療効果に応じた診療サービスパッケージを患者に提供する。同時に、提携先にもプラグ・アンド・プレイ(接続すれば即使える)のデータサービスを提供している。

盛CEOによると、この事業モデルは海外企業「Biofourmis」に似ている。BiofourmisはこのほどシリーズDで3億ドル(約400億円)を調達し、評価額13億ドル(約1800億円)でユニコーンの仲間入りを果たした。同社の事業モデルや成功体験は瑞爾唯康にも完全に当てはめることができると盛CEOは考えており、「この事業モデルには3つの壁が存在する。1つ目はアルゴリズムやハードウェアに求められる技術的条件、2つ目は製品の実用性やコストパフォーマンスに求められる条件、3つ目は専門的な臨床サービスや専門家のリソースに求められる条件で、後発企業は簡単には乗り越えられない」と述べた。

中核的な基盤技術と製品の運用経験を積み上げ、瑞爾唯康はパーキンソン病などてんかん以外の疾患に対応する製品にも手を広げている。てんかんのモニタリングシステムのモデルを流用してパーキンソン病のモニタリングシステムを構築し、その後は徐々に睡眠障害、うつ病などの分野にも拡張していくという。

(翻訳・山下にか)

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