アパレルデザインツール「Style3D」、約135億円を調達。自社開発エンジンで「メタバース」にも繋がる

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アパレルデザインツールの開発などを手掛ける「浙江凌迪数字科技(Style3D)」がプレシリーズB+で1億ドル(約135億円)近くを調達した。高瓴創投(GL Ventures)や鼎暉投資(CDH Investments)などが出資した。

2015年に設立された同社はアパレル企業向けに3Dデザインツール、共同作業システム、サプライチェーン管理などのプロダクトとサービスを提供している。電子商取引(EC)などの急速な発展によって、衣料品業界では15年ごろに「小ロット・短納期生産」の流れが起こった。この流れに乗って、アパレルデザインの効率化を後押しするStyle3Dなどが登場した。

画像提供はStyle3D

同社のコアプロダクトはいくつかある。「Style3D Studio」はシミュレーションソフトウエア。「Style3D Fabric」は生地の開発およびデジタル処理ソフトウエアで、生地メーカーが生地の伸縮性といったさまざまな物理特性のパラメーターを取得できる。

「Style3D Market」はアパレル、デジタルヒューマン、バーチャルアイドル、ゲーム、映画・テレビ特撮などさまざまな業界で使える数万点の衣料品系デジタル素材を公開。「Style3D Cloud」はWEBデザインツール「Figma」のようなツールで、デザイナー、バイヤー、サプライヤーなどはクラウドで共同作業ができる。

このようにStyle3Dは、コアプロダクトを通じてブランド側、ODM(受託開発業者)、生地メーカー、EC事業者などにサービスを提供し、アパレルデザインの効率化を後押ししている。

画像提供はStyle3D

劉CEOによると、自社開発した3Dシミュレーションエンジンは基盤技術であり、メタバースともつながるエンジンでもある。このエンジンの開発によってStyle3Dは、生地の測定、設計シミュレーション、デザイン立案・プレビュー、オンライン修正、商品展示から生産に至るインダストリアルチェーン全体に係るデジタルサービスが提供できるようになった。

同エンジンのユーザーはアパレル関連の1000社近くに上る。

Style3D Studioの画面

このシミュレーションエンジンはアパレルデザインだけでなく、アニメやゲーム、インテリアなど多くの業界で応用できるという。

劉CEOによると、シミュレーションはグラフィックの最も難しい分野で、特に衣料品には伸縮性や柔軟性などの複雑な物理的特性が伴う。また、生地、付属品、色、工程など多くの要素があり、高度なノウハウが求められる。そして、業界では常に新しい商品が生まれている。このように特殊な衣料品のシミュレーションエンジンには必然的に高い技術が求められる。

Style3Dの衣料品シミュレーション効果

技術と業界に詳しいメンバーがいるのも同社の強みだ。劉CEOはベルギーのブリュッセル自由大学(VUB)でコンピューターと分子生物学の修士を取得し、アパレルブランドや貿易業で20年近い起業経験を有する。チーフサイエンティストの王華民博士は、米オハイオ州立大学でコンピューターサイエンス工学の教授を務め、グラフィック分野で世界的にも高い評価を受けている。

Style3Dは今年、3つの面で進歩を目指している。まずは3Dシミュレーションの改良を継続し、サイバー空間と現実世界を限りなく近づけること。2つ目はゲーム、アニメ、映画・テレビの分野でメタバースの技術力を発揮すること。3つ目は誰でもアパレルデザインができる使いやすいプロダクトを発表することだ。
(翻訳・大谷晶洋)

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