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超高速レーザーを製造する「杭州奥創光子技術(Hangzhou Ultron photonics Technology)」がこのほど、シリーズA+で廬峰投資や聯動豊業などから数千万元(数億~十数億円)を調達した。昨年9月にはシリーズAで1億元(約20億円)近くを調達しており、この1年で2回目の資金調達となる。
奥創光子は2018年に設立され、フェムト秒レーザーの光源や機能モジュールの研究開発や生産に注力している。開発・生産チームには200人近くが在籍しており、うち20%以上が修士号以上の学位を持つ。主に川下のインテグレーターや研究機関向けにフェムト秒レーザーやソフトウエアなどを提供している。中核部品の大部分を自社で開発・生産しているため生産コストを低く抑えることができており、フェムト秒レーザーのコストは競合する海外メーカーの20%未満だという。
フェムト秒とは1000兆分の1秒に相当し、ナノ秒やピコ秒よりもさらに短い。フェムト秒レーザーは熱影響が極めて低く、材料を選ばず、光毒性がないなどの利点がある。このため精密製造の分野に導入することで、加工品質や加工精度を大幅に高め、レーザー冷間加工や硬脆材料加工、マイクロ・ナノ構造製造などを実現することができる。
例えばリチウム電池業界では、フェムト秒レーザーを電池の電極切断やセパレータ切断などに活用することで効率が大きく向上する。奥創光子創業者の邱杭鍇氏によると、リチウム電池の電極は薄い金属膜のため、加工の過程で熱の影響を受けると変形してしまうが、フェムト秒レーザーは短いパルス幅でピーク出力が高いという特性を持つため、冷間加工を実現することができるという。加工による変形や損傷、表面の凹凸がないほか、ベースを傷つけることなくコーティング材料を除去でき、加工の精度が大幅に向上する。
奥創光子はすでに、フェムト秒レーザー(出力10~1000W)、ピコ秒レーザー、サブナノ秒レーザーの製品プラットフォームを有しており、製品は半導体、新型ディスプレイ、太陽光発電、新エネルギー電池、家電、航空宇宙などの分野で活用されている。
2021年は1億元(約20億円)近い売上高を達成、今年はさらに倍増する見込みだという。
川下製品のニーズが高まるなか、奥創光子は標準化された生産ラインのプロセス構築を進めている。「これまでフェムト秒レーザーは、修士号以上の人員が最低3カ月かけて1台を作り上げていた。今では専門知識を持たない人でも1~2カ月業務を行えば、1台を1週間で製造できるようになった。将来的に全自動のフェムト秒レーザー生産ラインが確立されれば、1台を2日で生産できるようになる」と邱氏は語る。
奥創光子は杭州の本社以外に、上海と西安に研究開発拠点、深圳に華南地区生産販売センター、英国とドイツに海外研究開発センターを設置している。今後は重慶に西南地区開発生産販売センターを設立し、主に半導体や新型ディスプレイ材料など先端技術を採用した製品の研究や生産、販売を行うという。
当然ながら、国産のフェムト秒レーザー技術が海外技術に取って代わるには時間が必要だ。邱氏は、現時点で国産フェムト秒レーザーによる代替率は恐らく2%に満たないが、少しずつ市場に食い込んでいるところだと述べる。さらに、コア技術を掌握することは重要な一歩だとしつつ、製品の標準化と自動化も同じほど重要であるとし、「単にハイエンド技術というだけでは、中国で広く普及させることはできないだろう」と語った。
このため、奥創光子は高付加価値産業の開拓にも着手した。次の資金調達後は、フェムト秒レーザーの標準化生産を実現する全自動生産ラインの建設に向けて動き出すという。
(翻訳・畠中裕子)
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