セコイア・チャイナ、中国投資に過去最高90億ドル調達 市場の冷え込み意に介さず

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米ベンチャーキャピタル「セコイア・キャピタル」の中国法人「セコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉資本中国基金)」(以下、セコイア・チャイナ)が、4つのドル建てファンドのために約90億ドル(約1兆2200億円)を調達したことが、米国証券取引委員会(SEC)の書類で明らかになった。単一のベンチャーキャピタルファンドが中国市場への投資のために調達した資金としては過去最高額となる。

このところドル建てファンドの「中国撤退」が多く聞かれるが、セコイア・チャイナが新たに資金を調達したことは、世界の資本が中国市場をなおも高く評価していることの表れだろう。海外メディアによると、今回セコイア・チャイナは米国や欧州、中東などの有名リミテッド・パートナー(LP)からの支援を受けており、長期的なパートナーのほかに新規のLPも含まれているという。

現在、中国のプライマリーマーケットは「資金調達難」にあえぎ、海外市場でも「資金調達の冬」が叫ばれている。評価額の低下と投資の縮小がこの半年間のテーマとなってきた。CB Insightsのリポートによると、世界のベンチャーキャピタル投資は2022年第1四半期に前期比19%減少し、過去10年で最大の減少幅となった。このような状況で、セコイア・チャイナの新たなファンド募集が注目を集めないはずはない。時代が激動期であるほど、市場は大手投資機関の動向を注視する。今回のセコイア・チャイナの資金調達はある意味で「方向性を決める」ものだ。

数字を見る限り、セコイア・チャイナは市場の期待を裏切らなかったと言える。90億ドルもの資金を一度に調達するのは容易なことではないが、全体を総括するといくつかの注目すべきポイントが見えてきた。

まず、応募超過となったこと。海外メディアは、セコイア・チャイナが総額120億ドル(1兆6300億円)の申込みを受け付けたとか、目標を50%上回る応募があったなどと報じている。セコイア・チャイナは目標募集額を当初「数十億ドル(数千億~1兆数千億円)」に設定していたが、4月のニュースでは「80億ドル(1兆900億円)」となり、最終的に90億ドルでクローズした。実際の応募状況が予想以上に好調だったことが分かる。

さらに調達のペースも速かった。今年初めに新ファンドに向けた資金調達を発表してから、7月上旬のクローズまでわずか半年だった。

プライマリーマーケットが冷え込むなか、人々の目に映るのは進撃を続けるセコイア・チャイナの姿だ。

SECの文書によると、セコイア・チャイナが今回登録したファンドはエクスパンションファンド第1期(Sequoia Capital China Expansion Fund I)、グロースファンド第7期(Sequoia Capital China Growth Fund VII)、ベンチャーファンド第9期(Sequoia Capital China Venture Fund IX)、シードファンド第3期(Sequoia Capital China Seed Fund III)の4つ。

付け加えておくべき点として、セコイア・チャイナだけでなく、複数の大手ドル建てファンドが依然として活発な資金調達を行っている。今年初め、ベンチャーキャピタル「渶策資本(INCE Capital)」の2号ファンドが約7億ドル(約950億円)を調達、1号ファンドの倍の規模となった。プライベートエクイティ(PE)では「春華資本(Primavera Capital)」が40億ドル(約5400億円)規模のPEファンドを組成したことが報告されたほか、「博裕資本(Boyu Capital)」も36億ドル(約4900億円)規模のファンドを組成し、応募超過となった。国内外市場の不透明感は増しているものの、大手ドル建てファンドが依然として資金調達を拡大していることは、中国市場に対する海外LPの関心が薄れていないことの表れだ。

ただ、大手ファンドが資金規模を拡大している一方で、二極化が進んでいることにも言及すべきだろう。メディアの統計によると、米国の投資機関上位30社が掲げる目標調達額は、市場の主要なLPの出資能力を超えているという。つまり、大手以外の投資機関にはほとんど資金が回ってこないということだ。

今回セコイアが応募超過となったことは、一流投資機関の長期的な競争力と実力を改めて証明するものだ。海外メディアによると、セコイア・チャイナはさらにインドと東南アジアで28億ドル(約3800億円)のファンド、米国では総額22億5000万ドル(約3000億円)になる2つのファンドの募集を進めているところだといい、今年の調達額は100億ドル(1兆3600億円)を軽く突破すると見られている。

作者:「投中網(WeChat ID: China-Venture)」、陶輝東

(翻訳・畠中裕子)

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