バイトダンス、メタバースエコシステムに数千億円 川上から川下まで万全の態勢整える

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バイトダンス、メタバースエコシステムに数千億円 川上から川下まで万全の態勢整える

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TikTokを運営するバイトダンス(字節跳動)がメタバースで賭けに出た。VRヘッドセット製造の「Pico Technology(小鳥看看科技)」の買収から2年もたたないうちに、今度はバーチャルソーシャルプラットフォーム運営の「北京波粒子科技(PoliQ)」(以下、波粒子)を買収、メタバースSNSを手掛けると報じられた。

波粒子のスタッフ約50人は新たに設けられたバーチャル SNS業務部門「Pico SNSセンター」の所属となり、波粒子の創業者である馬傑思氏が責任者を務めるという。バイトダンスは現在、同センターのスタッフを大量に募集しており、テストチームや研究開発の責任者のポストで月給は平均10万元(約200万円)、経験のあるSLAM(自己位置推定とマッピングの同時実行)のエンジニアには最高で20万元(約400万円)を提示している。

画像:「PicoVR」ウェイボーより

昨年のPico巨額買収以降、バイトダンスはひたすら買収を繰り返し、メタバースのハードウエアからコンテンツエコシステムまで、基本的な要素を揃えた。

バイトダンス、VRヘッドセット中国最大手Picoを買収へ 次世代プラットフォームに着手か 

メタバースSNSもラインアップに

バイトダンスの波粒子買収は、メタバースのコンテンツエコシステムに欠けていた部分を補う重要な役割があったと見られている。

波粒子の公式サイトによると、同社のコア技術は二次元バーチャルヒューマンのユーザー定義システムと、バーチャルヒューマンの顔や身体の動作駆動システムだ。

波粒子を創業した馬氏は、顔認証技術の「格霊深瞳(Deep Glint)」、スマートフォンメーカーのシャオミ(小米科技)や台湾の「HTC(宏達国際電子)」で働いた経験を持つ。シャオミでVR/AR担当シニアディレクターの職にあったときには、シャオミとFacebook傘下のVRブランド「Oculus」との提携で責任者を務め、一体型VRヘッドセットを開発した。

シャオミのVRチームが2019年に解散すると、馬氏は起業した。波粒子が初めて開発したバーチャルSNSアプリ「Vyou微你」では、ユーザーはスマートフォンに内蔵されたカメラとマイクで顔の表情や声を取り入れ、3Dの顔加工機能を使って自分のアバターを造ることができる。バーチャル世界で友人と一緒に写真に納まることも可能だ。しかし、ユーザーの大部分が消費力の乏しい低年齢の子どもだったため有料会員の獲得が上手くいかず、今年3月にサービス停止が発表された。

画像:「Vyou微你」百度百科より

公式サイトによると波粒子は現在、アバターによるバーチャルSNSを開発している。まず手軽なアプリから始め、最終的にはスマホからパソコン、VR、ARまでをカバーするバーチャルワールドを作り上げるという。

メタバースエコシステムに数千億円

この数年、世界中の大企業がわれ先にとメタバースに取り組み始めている。米Metaは数百億ドル(数兆円)をメタバース事業に投資、バイトダンスもスタートは遅かったが、すでに数百億元(数千億円)を投じている。

メタバースはまだ登場してから日が浅く、今後どうなっていくか誰にも予測できないが、新しいハードウエアや対話形式などにより、さらに魅力的な体験をもたらす次世代インターネットの応用シーンの集合体になるだろう。

バイトダンスのメタバースは、端末ハードウエアからコンテンツエコシステムおよび各応用シーンまでを含め、ソフトウエアとハードウエアが一体化した完全なチェーン全体の原型がすでに出来上がっている。

端末となるハードウエアはメタバースの入口であり、より理想化されたバーチャル世界の対話、没入体験を可能にするものだ。昨年バイトダンスは97億元(約2000億円)を投じてPicoを買収、現在同社は中国国内のVRハードウエア市場でトップに位置する。

川上・川下についても、バイトダンスは念入りに配置している。「光舟半導体(Optiark)」など半導体メーカー3社、スマートオーディオと光学ソリューションの「聚芯微電子(Silicon Integrated)」、VRデジタルツインサービスの「3DNest(衆趣科技)」などに相次いで投資、半導体大手の米クアルコム(Qualcomm)と提携して、同社の開発したプラットフォーム「Snapdragon Spaces」上でPico XR製品を開発している。

VR体験がアップグレードを続けるには、原動力となる豊富なコンテンツが必要だ。バイトダンスは、ゲームとSNSに重点を置いてメタバースコンテンツに取り組んでいる。インドの市場調査会社Mordor intelligenceのデータによると、2020年の世界のVR市場における3大応用シーンはゲーム、ライブ配信、動画で、ユーザーの割合はそれぞれ49.8%、19.9%、17.1%であった。

画像:「朝夕光年」公式サイトより

バイトダンスはゲーム分野に巨額の資金を投じている。2021年に「朝夕光年(Nuverse)」をリリース、数十億ドル(数千億円)を投資してゲーム開発企業「沐瞳科技(MOONTON)」と「有愛互娯科技(C4Games)」を相次いで買収したほか、「代碼乾坤科技(Code View Technology)」にも投資した。

バイトダンスが目指すバーチャルメタバース世界で、SNSはなくてはならないものだ。今回の波粒子買収前に、バイトダンスは中国で「派対島」、東南アジア市場「Pixsoul」という二つのメタバースをコンセプトとするSNSアプリをリリースした。Pixsoulでは、ユーザーはAIによる顔加工効果を使い自分のアバターを作ることができる。また、派対島ではアバターを使って友だちとおしゃべりし、オンライン上で一緒にイベントに参加するといった機能がある。

またバーチャルヒューマンについても、「李未可」に出資したほか、大手芸能プロダクション「楽華娯楽(YUE HUA Entertainment)」と協力してバーチャルアイドルグループ「A-SOUL」をデビューさせ、2000万人を超えるファンの注目を集めた。

画像:「PicoVR」ウェイボーより

こうしたバーチャルアイドルは、バイトダンスのメタバースエコシステムの各シーンに姿を見せる。A-SOULは先ごろPicoプラットフォームに登場し、初めてイベント「VR夜話」を主催した。バイトダンスが自社で開発するスマホゲームにおいても、A-SOULや李未可がバーチャルアイドルとしてゲームの宣伝に登場する様子を目にすることができる。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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