スマホと連携不要のペット追跡機、中国系スタートアップが米国市場に投入

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世界ペット協会(WPA)によると、世界では毎年1000万匹以上のペットが行方不明になっている。1日に約3万匹、ほぼ毎秒ペットがいなくなっている計算だ。

中国企業「Grasphand」は、海外向けペットトラッカー(自動追跡機)を開発する。製品の最大の特徴は、スマホと連携させず単独で使用し、アプリを必要としない点だ。Grasphandは2021年に設立され、主に米国のペット飼育者向けに製品を販売する。最初のペットトラッカーは、クラウドファンディングプラットフォーム「Kickstarter」で最終的に5000ドル(約70万円)の目標額を大きく上回る約6万ドル(約820万円)を獲得した。

Grasphandの製品、インタビュイー提供

米国のペット産業は100年以上の歴史がある。インダストリーチェーンはすでに相当成熟しているうえ、市場のペット数が多く、家庭の飼育率やペットのための1人当たりの支出が高く、ペット需要が常に安定しているなどの特徴がある。米国は世界最大のペット市場だ。

米国の家庭はペット飼育率が70%に達し、約9050 万世帯が少なくとも1匹のペットを飼っている。米国のペットビジネスは2020 年に世界のペットビジネスの40%を占め、世界でトップだった。同年のペットのための消費は1036 億ドル(約14兆900億円)で、年平均成長率は7.92%に達する。

技術の進歩に伴いペット飼育のスマート化が進み、関連製品の需要が拡大している。自動給餌器、自動給水器、猫用自動トイレなどのスマート設備に人気があり、ペットの心拍や呼吸数を測定したり所在地を特定したりする機能を備えたウェアラブル製品も急速に伸びている。市場調査会社「Global Market Insights」によると、世界のペット向けウェアラブル製品は年平均成長率が2020年~26年に23%に達し、26年に世界の出荷台数は7000万台になる見込みだ。

Grasphand創業者の蔡丹氏は、餌やりや掃除などをスマート化する製品はすでに競合他社が多いが、ウェアラブル製品にはまだ開拓の余地があるとみる。米国のペット向けウェアラブル製品市場は2022年に約8億ドル(約1100億円)規模、年平均成長率は9~13%で、うちペット向けGPS市場は約4億ドル(約500億円)を占めるとみられる。

米国のペットトラッカー市場には主に「Whistle Labs」、「Tractive」、「Petfon」などの企業が存在する。Whistle Labsは2016年にペットフード世界最大手のマース ペットケアに買収された。Tractiveはオーストリアの会社で、PetfonはGrasphand同様に海外をターゲットとする中国ブランドだ。

蔡氏は、現在市場の製品はほとんどがアプリやパソコンを連携させて使うものだが、Grasphandはスマホから独立して使用でき、ネットワーク接続を必要としないP2P(ピアツーピア)通信で毎月の使用料がかからないとしたうえで「欧米ではプロバイダー料金が高めだが、弊社の製品を使えば通信費を大幅に節約できる」と話す。

Grasphandの製品、インタビュイー提供

Grasphandは完全なカスタマイズ開発だ。LoRa通信(低消費電力・長距離無線通信)、GPS、ハードウェアへのデプロイ、データアルゴリズム、ソフトウェアのロジックなどを段階別に開発し、改善を重ねて機能上の問題を解決する。蔡氏は、既存製品に比べGrasphandは実際の追跡距離の指標が3~4倍、連続待受時間が2~3倍、防水面でも生活防水からさらに高度なIP67レベルに引き上げ、接続もさらに安定したと説明する。

Grasphandは今月にも量産する予定だ。トラッカーの市場が一定規模に達すれば、さらにペットの運動・健康測定サービスなどに業務を拡大する予定だ。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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