OLED産業エコシステムの構築をはかる「雲英谷(Yunyinggu)」

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OLED産業エコシステムの構築をはかる「雲英谷(Yunyinggu)」

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2009 年にAndroidスマートフォンのパイオニアHTCがサムスンのAMOLED(アクティブマトリクス式有機EL)を大規模にスマートフォンに搭載してから、この種の有機発光ダイオード構造のディスプレイが従来の液晶ディスプレイ市場を蚕食しつつある。2017 年、アップルもiPhone X にAMOLED ディスプレイを搭載した。

2011年に創業した「雲英谷科技(Yunyinggu)」(略称「雲英谷」)はディスプレイドライバチップと回路基板の開発を主な業務とする技術会社で、主な製品はタイミング制御チップ、AMOLEDドライバチップ、シリコン系OLED、 フルハイビジョンTV TCONドライバーボード、カスタマイズ可能なグラフィックボード等である。その他、スマートハードウェアサプライチェーンの顧客にIPテクノロジーソリューションを提供している。

特許開発からOLEDドライバチップまで

創業者兼 CEO の顧晶氏によると、雲英谷の社員のほとんどがドライバチップの設計、製造において10年以上の経験を持っている。かつてサムスンに ドライバチップを提供していた同社は、全社員の努力の下、創業から3年の間にディスプレイと関連サプライチェーン分野において多くの特許を申請するとともに、サプライチェーンにおける一部のトップメーカーにIPライセンスソリューションを提供していた。日本のディスプレイメーカーシャープもそのIPカスタマーのうちの1社だったという。

なぜ最初からOLEDドライバチップを開発しなかったのだろうか。この質問に対して、顧晶氏はこう述べた。「部品メーカーに対して、スマートフォンベンダーが最も注目しているのは望む通りの製品を作れるか、ということではない。例えばあるスタートアップ企業のディスプレイチップを作る技術が業界でトップだったとしても、スマートフォンベンダーは長期にわたって量産の実力を持っている別の会社と協業することがある。なぜなら、スタートアップ企業はより高い良品率、より安い価格を保証することができないからだ。しかし、量産する実力がある業界トップ企業ならそれらを保証することができるのだ。」

これらの理由により、雲英谷は成長初期においては、特許開発を通して、業界に対する影響力を高め、将来の成長のために力を蓄えておくという道を選んだ。

その後、より多くのスマートフォンおよび産業チェーンメーカーはOLEDが将来ディスプレイの主流となることに気が付き始めた。ディスプレイメーカーSamsung Display、長江証券研究所等のデータによると、2021年までにOLEDディスプレイの市場浸透率は62%に達し、市場規模は600億ドル(約6兆7000億円)を超えると見込まれる。2017 年、雲英谷は開発の主軸をOLEDディスプレイドライバチップへと移し始めた。顧晶氏は、すでに多くの顧客と契約を交わしており、量産版のチップは年の半ば頃に発売することができ、そのチップを搭載したスマートフォンも年内には発売されると語っている。

技術開発からエコシステムの構築

ディスプレイチップだけではなく、雲英谷はマイクロディスプレイチップも開発している。これは単結晶シングルアクティブドライブバックプレーンを採用し、高識別率、高グレード、低消費電力、コンパクトさなどの特徴を具えている、またこの技術に基づくマイクロディスプレイの画素密度は5640ppi(スマートフォンのディスプレイはおよそ300-500ppi)に達する。

雲英谷のマイクロディスプレイ技術は将来への準備という意味合いが大きい。AR/VR 市場を例に取ると、そのディスプレイに対して、高識別率、高リフレッシュレート、高コントラスト、高PPI及び少ない表示面積でもユーザーがより良い視覚体験を得られるなどの技術を要求するが、マイクロディスプレイ技術はそういった課題を解決できると期待されている。

創業チームは雲英谷に3つの成長段階を計画している。ベンダーとの開発提携とする第1段階はすでに実現している。第2段階の製品の量産化は現在進行中だ。第3段階として、将来、ディスプレイチップと同社が積み重ねてきた各種の特許IPを活かして川上、川下の産業チェーンを繋ぎ、M&Aを通じでOLED産業エコシステムを構築する。

雲英谷はシリーズAで「祥峰投資(Vertex Ventures)」、「中信資本(CITIC Capital)」から、シリーズA+で「京東方(BOE)」から、シリーズBで「高通(Qualcomm)」、「北極光(northern light venture capital)」、鴻泰、「小米(シャオミ)」、「維信諾(Visionox)」等機構または企業から資金調達をしている。現在はシリーズCの資金調達を準備中だ。

「雲英谷」創業者兼CEOの顧晶氏は、中国の国家「千人計画(The Recruitment Program of Global Experts)」のエキスパート、国家特別招聘エキスパートだ。清華大学の学士と修士号、ハーバード大学博士号を持ち、多くの発明特許を取得している。
(翻訳・桃紅柳緑)

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