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CO2排出管理のソフトウェアとソリューションを提供する「碳阻跡科技(Carbonstop)」がシリーズBで1億元(約20億円)を調達した。出資を主導したのはセコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉中国)で、既存株主の高瓴創投(GL Ventures)とマトリックス・パートナーズ・チャイナ(経緯創投)も引き続き出資した。調達した資金は主にコア製品であるCO2排出管理ソフトの開発やコンサルティング、マーケティング、事業部門の拡充に充てる。
碳阻跡は2011年に設立され、CO2排出量の計算・管理・削減を通じてさまざまな業界でカーボンニュートラル達成を目指している。コアプロダクトはSaaS「碳雲(Ccloud)」や、CO2排出量計算に関するコンサルティングなどだ。
中国では2020年に国家戦略として「3060ダブルカーボン(2030年までのカーボンピークアウト、2060年までのカーボンニュートラル達成)」を掲げている。続いて政策体系「1+N」を打ち出し、カーボンニュートラルを実践する具体的な分野や方向性を明示した(「1+N」の「1」は中国共産党中央委員会と中国国務院が発表した「完全かつ正確、徹底した新成長理念のもとで実践されるカーボンピークアウト・カーボンニュートラルに関する意見」を指し、「N」はエネルギー、工業、交通・運輸、都市建設などの業界で実施される施策などを指す)。
ダブルカーボン達成目標の継続的推進が浸透していく中、電力やセメント製造などの高エネルギー消費企業は、自社のCO2排出データの管理に着手し、CO2排出管理が求められないIT企業や金融機関、消費者ブランド、不動産企業なども相次いでカーボンニュートラルに関する独自目標を打ち出し、CO2排出データの管理を推進しはじめた。
清華大学と投資銀行CICC(中金公司)の予測では、中国では今後30年でカーボンニュートラル分野に対する投資額が約140兆元(約2797兆円)に達する。中でもCO2排出量の計算・管理がカーボンニュートラル達成のためのインフラとして機能を果たすという。
碳阻跡が最初にリリースしたソフト「CAMP」はCO2排出量管理をデジタル化する当時最新の試みで、その後はSaaS「碳雲」がこれを引き継いだ。碳雲では企業のCO2排出量計算、製品のカーボンフットプリント(製品の材料調達から廃棄・リサイクルされるまでの全過程におけるCO2総排出量)算出、サプライチェーンのCO2排出管理、カーボン資産の管理、カーボンアカウント(CO2排出削減量を記録するアカウント)のプラットフォーム、オンライン認証、カーボンニュートラル関連サービスなどの機能をモジュール別に提供する。碳雲を導入した企業は「データ収集〜計算〜分析〜目標設定・ロードマップ策定〜CO2排出削減実行〜カーボンニュートラル達成」といった一連のCO2排出管理をより効率的に実施できるようになる。
碳阻迹を創業した晏路輝CEOによると、同社の事業はこの5年で急成長しており、年平均成長率は100%を超える。今年上半期は資本市場の冷え込みやコロナ禍に見舞われながらも前年同期より約3倍成長したという。設立からの11年間で顧客は1200社以上に上り、中国IT大手のバイドゥ(百度)やアリババ、テンセント、バイトダンス(字節跳動)、美団(Meituan)、京東(JDドットコム)のほか、米ダウ・ケミカル、米マスターカード、独ポルシェなどの海外大手企業、さらに国有エネルギー企業の中国海洋石油集団(CNOOC)、国有民間空港整備企業の中国民航機場建設集団(CACC)などを顧客としている。
近年は事業の商業化に取り組む以外にも、中国標準化研究院(CNIS)、LCA(ライフサイクル評価)データベースのEcoinventなどと提携関係を樹立している。中国標準化研究院とは中国国内でCO2排出要因のデータベースを共同構築して、カーボンフットプリント算出の国家基準や業界レベルのプラットフォームを発表した。
碳阻迹はこれまでの10年で200カ国以上にわたる15万件以上のデータを集積したCO2排出要因データベースを作り上げ、徐々に社会のすべてのユーザーに開放する予定だ。例えばデータベース上で「ノートPC」と検索すると、ノートPC1台の生産に伴うCO2排出量が表示される。数字には川上・川下企業で生産された関連部品に関するCO2排出量も加算されている。
晏CEOは碳阻迹のミッションを「すべての製品のカーボンフットプリントを見える化すること」とする。将来的には消費者がスーパーなどの商業施設、あるいはオンライン通販サイトで商品のカーボンフットプリントを確認することでより環境にやさしい商品を選択できるようになり、社会を上げてカーボンニュートラルの達成に取り組めるようになるという。
(翻訳・山下にか)
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