「科創板」の上場申請始まる ユニコーン企業は何をためらう?

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今週、ハイテク新興企業向け市場「科創板」の上場申請の受け付けが始まった。証券会社は沸いているが、ユニコーン企業に動きは未だない。

36Krの概算では、少なくとも30社が科創板へ上場申請の意向を表明している。

「新三板」企業は意欲的、人工知能(AI)・フィンテック企業は急がず

これら30社の事業セクターは、主にバイオメディカル、インテリジェントチップ、通信技術、省エネルギー・環境保護、スマート設備、新素材、工業用ロボット等である。これは、中国証券監督管理委員会(証監会、CSRC)が、科創板に求める事業セクター構図とほぼ一致する。

予想外なことに、新三板(店頭市場)企業が科創板への上場に熱意を示しており、30社のうち10社が新三板に登録。この新三板企業10社の資産総額は、3~14億元(約50~230億円)。2社を除く全社が黒字転換しており、財務面は良好だという。

また、香港市場の「南京賽特斯(CertusNet Inc.)」、人民元建てA株の「金達莱環保(Jin Da Lai Environmental Protection)」、「江蘇北人(BR-Robot)」など科創板へ市場変更する企業もある。

他にも資産規模の大きい企業が目立ち、30社ほぼ全ての時価総額/評価額が、科創板の設定する最低価格10億元(約160億円)をクリアしている。

事業セクターの面でも、監督管理部門であるCSRCが科創板に求める構図に似ている。しかし、市況にプラス材料となる人工知能(AI)とフィンテック企業は、上場申請を急いでいる様子はない。「螞蟻金服(アント・フィナンシャル)」等のスーパーユニコーン企業にも動きはない。

その点では、予想が外れたと言える。

評価額を心配する

企業にとって、科創板は魅力的だ。理由はCSRCのルール制定にある。

AIを活用した音声認識を手掛ける「出門問問(Mobvoi)」創業者兼CEOの李志飛氏は、「レッドチップ(香港に上場する中資系)企業、黒字転換していない企業、議決権の異なる種類株式企業の、上場申請に対する新しいルールができた。科創板は、審査制ではなく登録制のため、VIE(変動持分事業体)スキームやハイテク投資を拡大し、ビジネスモデル・収益スキームが決まっていない企業の上場が可能だ」と語る。

出門問問は、評価額50億元(約820億円)を超えるユニコーン級のハードコアテクノロジー企業だ。「ナスダックでは物足りない。科創板は絶好のチャンスだ、その資金力で早期に成長できる」と李志飛氏は語る。投資家にとっても、国内の方が何かとやり易いという。 

問題は、AI企業は成長が読みづらく、上場後の売り上げが維持できるかが不透明ということだ。

このほか、AI企業は、公開価格の決定と評価額の仕組みにリスクが潜む。理由の一つは、成長期のハイテク企業が採用する評価方法が成熟企業とは異なることだ。上海証券取引所の手引きでは証券仲介機関がハイテク企業を評価する際の6つのルールを定めているほか、公開価格の設定で株価収益率(PER)23倍という上限を撤廃して値幅制限が緩和されている。

もう一つは、AI企業への投資過熱が評価額バブルを引き起こす懸念があることだ。

「AIはここ2年高く評価され、短期間で評価額にバブルの兆候が表れた。プライマリーマーケットで逆ザヤとなるかもしれない。初期のプレミアムなら良いが、技術や売上高が評価額に見合うものなのか、これもAI企業の課題である」と李志飛氏は語った。

フィンテック企業も、2018年の経済政策が影響し、流動性プレミアムによって評価額が上振れした。一方、米国で上場する中国のインターネット金融関連企業11社では、公募割れの状態が続いている。

2018年香港市場のハイテク企業が高く評価され過ぎたことが、科創板企業に教訓を与えた。ルール改正で種類株式企業の上場が認められるようになったが、良い反応はない。フードデリバリーの「美団(Meituan)」と大手スマホメーカー「小米科技(シャオミ)」は公募割れの状態である。

これまでの評価価格が高かったとすれば、科創板で公募割れする懸念がある。

以上の点が、ユニコーン企業が科創板に上場をためらう理由だと思われる。
(翻訳・貴美華)

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