教育とゲームを融合した「一刻館」 小学校教育へ繋がる幼児教育を

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心理学の研究成果と最先端の科学技術を結びつける「清華大学幸福科技実験室(H+Lab)」から生まれた「一刻館」は、子どもの言語・数学の力を伸ばす5~8歳児向け知育ゲームを展開するスタートアップ企業である。2017年に創業されて以来、小学校教育に円滑に接続できる幼児教育を目指している。

一刻館の製品は「奕数(ゲーム化思考シリーズ)」、「劇語(文字・言葉シリーズ)」、「西遊記(名著シリーズ)」、「故宮(創作シリーズ)」の4種類に分かれ、全てゲームを中心とした製品本体とオンライン教材がセットになっている。

劇語シリーズの製品を例に挙げると、本体は小学校で覚える120編の古典詩カードとゲームに使う道具がセットになっており、古典詩の暗記や意味理解を助ける。また、ゲームの内容を説明するオンライン教材として、子ども向けのビデオ教材と、保護者向けのソーシャルアプリウィーチャット(微信)の音声教材も用意されている。親がリードして子どもと一緒にゲームをすることで、子どもが勉強しながら親子の交流ができるのだ。

一刻館はBtoBのサービスが中心で、法人顧客に対しゲームや教材セットを販売するほか、オフラインでのコミュニティイベント提案も行っている。主に親子で遊ぶ有料のゲームイベントを通して、新規顧客の獲得や個人顧客のリピーターを増やそうというものだ。一刻館はこれまでに中国各地の50社あまりの教育関連企業と提携関係を結んでいる。

また、2019年初めから一刻館はBtoCサービスを開始した。ウィーチャットグループを中心にサービスを提供している。現在ユーザー数は1万人、有料ユーザー数も3000人を超える。毎日決まった時間にグループに音声教材が配信され、保護者向けにゲームの遊び方や教育内容を指導する。グループ内で行われる保護者同士の交流により、無料ユーザーから有料ユーザーへの切り替えや有料ユーザーの継続購入を促すことができる。

一刻館のチームスタッフはボードゲーム関連業務の経験者であり、IP(知的財産)の研究開発、生産、サプライチェーンに精通しているほか、関連の人脈や知識も備えている。創業者の周新氏は、清華大学美術学院卒業後、10年間知育ボードゲーム関連の経験を積み、「玩中学(楽しんで学ぶ)」理念の提唱者である。ティーチング&リサーチディレクターの王蕾氏は、首都師範大学卒業後、小中高生向けの教育事業を展開する「高思教育集団」で数学ゲームの製品ディレクターを務めた。現在会社には18名のチームスタッフがおり、うち8人が製品やカリキュラムの研究開発に携わっている。

製品単価は100~300元(約1600~4800円)で、4つのシリーズでそれぞれの製品を展開している。製品の使用スパンは比較的短く、子どもに必要な知識を身につくと次の製品を購入する仕組みだ。また、コミュニティや親同士の口コミ効果で、継続的に利用するユーザーが多い。製品購入のリピート率は80%にのぼり、顧客の50%が3回以上繰り返し購入しているという。2018年の売り上げは1000万元(約1億6000万円)を突破し、純利益は100万元(約1600万円)以上だ。2019年の売上目標は5000万元(約8億円)で、現在シリーズPre-Aでの資金調達を目指している。
(翻訳・桃紅柳緑)

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