中国車載電池業界の”ダークホース”、サンオーダ(欣旺達)子会社が約1400億円の資金調達

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中国車載電池業界の"ダークホース"、サンオーダ(欣旺達)子会社が約1400億円の資金調達

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車載電池業界の「ダークホース」と呼ばれている中国「欣旺達電子(Sunwoda Electronic、サンオーダ)」傘下の「欣旺達電動汽車電池(Sunwoda Electric Vehicle Battery、以下Sunwoda EVB)がこのほど、新たに約69億元(約1380億円)の資金調達を実施した。国家緑色発展基金(NGDF)など23社が出資しており、当初の調達計画だった30億元(約600億円)を大きく上回った。

今回の資金調達実施前の同社の評価額はすでに220〜230億元(約4400億〜4600億円)に達したという。

Sunwoda EVBが今年2月に24億3000万元(約480億円)の戦略投資を受けた際も、深圳市創新投資集団は出資者として名を連ねている。

Sunwoda EVBはこの後、親会社からスピンオフして上場する計画を加速させる可能性がある。すでに昨年末から計画を進めており、来年から再来年にかけて上場を申請するとみられている。これについて36Krはサンオーダに問い合わせたが、担当者は「はっきりとはわからない。最終的には公式発表する情報に準じる」と言葉を濁した。

サンオーダは現在最も成長著しい駆動用電池メーカーだ。

中国の駆動用電池搭載量のランキングで20年には圏外だった同社だが、21年には2.06 GWh(ギガワット時)で国内10位に浮上した。今年上半期には一時、5位にまで食い込んでいる。

サンオーダは一般家電向け電池を主力事業としており、21年の決算報告を見ると、駆動用電池事業が同社の売上高全体に占める割合はそれほど高くなく、7.85%にとどまっている。しかし売上高は29億3300万元(約580億円)で、前年同期から584.67%も伸びている。

急成長を遂げる中、サンオーダは車載電池のサプライヤーとして自動車メーカー各社のリストに食い込んでいる。現時点の取引先はルノーや日産自動車のほか、中国国内では「小鵬汽車(Xpeng Motors)」、「吉利汽車(Geely Automobile)」、「東風汽車(Dongfeng Motor)」、「広州汽車(GAC Motor)」、「上汽通用五菱(SAIC-GM-Wuling Automobile)」などだ。とくに新興EVメーカーの小鵬汽車などから今年2月に出資を受けて以降、Sunwodaは車載電池世界最大手の「CATL(寧徳時代新能源科技)」に代わり、小鵬汽車の主要サプライヤーとなっている。

しかし、CATLから収入源の一部を奪ったこの行為はかなり危険だ。サンオーダの駆動用電池は主に角型三元系電池と角型リン酸鉄リチウム電池だが、一部ナトリウムイオン電池や固体電池などの新技術も手がけている。これらはいずれもCATLのテリトリーであり、「特許の地雷原」でもある。実際、CATLはこれまで特許権侵害や不正競争を理由に同業の「中創新航科技(CALB)」や「蜂巣能源科技(SVOLT Energy Technology)」を相手取って訴訟を起こしている。

サンオーダは生産能力を全力で上げてきており、王者のCATLに迫る勢いだ。21年8月以降、600億元(約1兆2000億円)以上を投じて江西省南昌市、山東省棗荘市、広東省珠海市、四川省什邡市に合わせて130GWhの生産能力を備える生産拠点を建設する計画だという。すでに稼働中の生産拠点とこれから稼働する予定の生産拠点は合わせて10カ所。25年までに生産能力を200GWhにまで高める計画だ。

電池産業で事業を興すには巨額の資金が必要で、これをメーカー自身の資金力だけで賄うのは困難だ。CATLは今年5月に450億元(約9000億円)の増資を実施し、新たに135GWh分の生産能力を増強すると発表した。さらに655億元(約1兆3100億円)を投じて江西省宜春市、福建省アモイ市、四川省宜賓市などに生産能力約218GWhの生産拠点を建設し、25年までにトータル670GWh以上とする予定だ。

(翻訳・山下にか)

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