バイトダンスが業務効率化ツール「幕布」を買収、BtoBビジネス拡大への野心

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TikTokの運営会社「バイトダンス(字節跳動)」が昨年に業務効率化ツール「幕布(Mubu)」を買収していたことが情報筋の話で明らかになった。買収を指揮したのは「今日頭条(Toutiao)」の戦略投資部門で、買収金額は数百万元(数千万~1億数千万円)とのこと。企業情報サイト「啓信宝(Qixin.com)」によると、幕布の運営主体「北京坤豆科技有限公司(Beijing KunDou Technology)」の法定代表者がバイトダンス技術責任者の梁汝波氏に変更されており、すでにバイトダンスが経営を支配していることがわかる。

36Krの取材に対し、幕布の創業者王旭氏はこの事実を認めた上で、今も幕布のCEOとして同事業を担当していることを明らかにした。バイトダンスからは回答が得られていないが、幕布の買収は否定できない事実である。

バイトダンスといえば、ショート動画共有アプリ「TikTok」やニュースフィードアプリ「今日頭条」などのBtoCサービスが有名だが、同社はBtoBビジネスにも力を入れており、幕布の買収はその一環だと言える。ライバル企業であるテンセントや「快手(Kwai)」なども企業向けのサービスを強化しているため、それに対抗する狙いもあるだろう。

2015年12月に設立された坤豆科技は、翌年3月に同社初のアプリである幕布(モバイル版)をリリースした。公式サイトによれば、同アプリは職場や日常生活で効率アップを図るために開発され、メモやマインドマップ、タスク管理などを行うことができる。ベンチマークは人気アウトライナー「WorkFlowy」だが、この種のアプリは中国国内ではまだ少ない。

幕布のスタイルを見て思い浮かぶのは、バイトダンスが多額を投じて筆頭株主となった文書管理プラットフォーム「石墨文檔(shimo.im)」だ。ここ数年、オンライン文書管理サービスが賑わいを見せている。快手はクラウド文書管理アプリ「一起写(yiqixie.com)」を買収、テンセントが「騰訊文檔(docs.qq.com)」をリリース、アリババ傘下のオフィスツール「釘釘(DingTalk)」と「金山WPS(Kingsoft)」が共同で「釘釘智能文檔」を発表するなど参入が相次いでいる。

オンライン文書管理サービスを打ち出す各社の狙いはオフィス向けの市場だ。企業が情報セキュリティを重視するようになったことに加え、オフィス向け市場は有償で提供できる商品が多いブルーオーシャンだからだ。

バイトダンスがオフィス向けサービスに力を入れるのは、他社に対する防衛策であると同時にパイをいくらかでも奪うためだ。

「2018年中国スマートモバイルオフィス業界動向報告」によれば、2020年までにスマートモバイルオフィス市場の規模は500億元(約8300億円)近くにまで膨れ上がるという。TikTokは2億5000万人、今日頭条は1億5000万人のデイリーアクティブユーザーを抱えているが、マネタイズには限界があるうえ、BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)もしのぎを削っている。バイトダンスはこれまでにも広告、ゲーム、EC、ライブ配信などさまざまな業態を試みてきたが、1000億元(約1兆6500億円)もしくはそれ以上の売上高を目指すには、課金しやすいBtoBビジネスを取り込むことが不可欠なのだ。

バイトダンスの創業者でCEOの張一鳴氏はかつて「企業向けビジネスをやり遂げることができれば、それが中国のテック企業の成長につながる」との期待を表明している。石墨文檔の創業者呉潔氏も36Krの取材に対しこう語る。「企業向けビジネスをやるには 今が良いタイミングといえる。中国企業がますます豊かになり、効率を重視するようになったからだ。今後3~5年のうちに業界全体は成熟し、ユニコーン企業が複数生まれるチャンスが到来するだろう」
(翻訳・畠中裕子)

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