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インド発の格安ホテルチェーン「OYO Hotels & Homes」が、中国で苦境に追い込まれている。
OYOは大手ファンドからの資金を元手に中国市場でも猛烈な勢いで拡大を続け、298都市で、7400店、客室数34万室を超えた。これは、中国三大ホテルチェーンの一つ「錦江国際集団(Jin Jiang International)」と肩を並べる。
だが、その裏でリスクも明らかになってきた。フランチャイジー(加盟店)の相次ぐ脱退に加え、OTA(オンライン旅行社)との折り合いが悪く、O2Oサービス大手「美団(Meituan)」の予約プラットフォームから削除された。また、運営体制にも問題があったという。加盟料フリーをうたい、小規模なホテルをかき集めたが、こうしたホテルの多くがフランチャイズ契約更新の期日を間近に控えている。中国市場に進出して1年半。加盟店はOYOとの契約更新を選択するだろうか?
運営体制
OYOのフランチャイズチェーンは、既存の「漢庭酒店(Hanting Hotel)」や「如家酒店(Home Inn)」とは違い、加盟店にとって負担が少ない。内装はそのままで、看板と客室用の備品にOYOのロゴを入れる程度だ。
OYOはITを駆使し、ホテルの稼働率を上げる。そのうえ加盟料は徴収せず、数%のコミッションのみ。これまで大手チェーンと同じ土俵に上がれなかった小規模ホテルにとっては魅力的だった。
しかし、OYOが美団やOTA大手「シートリップ(Ctrip)」から締め出されたことが影響し、その期待は裏切られた。ある加盟店はOYOに加盟した後、売り上げが30%下がったという。
個人メディア「増長黒盒(Growthbox)」の投稿記事がそれを裏付けた。記事によれば、OYOアプリのデータを分析したところ、客室の稼働率は平均28.9%だったという。「19%から80%にアップ」と公言していたが、それにはほど遠い。なお、如家酒店の運営元「首旅如家集団(BTG HOMEINNS Hotels)」の稼働率は81%だった。
データの信頼性について、OYOで武漢地区を担当していた元運営スタッフは「OYOの管理システムと加盟店管理システムは連動していないため、多くの場合、データを手動入力する。その際にデータをごまかすこともある。事業拡大で業務や責任が急激に増え、管理しきれない」と言う。
デベロップ部門のスタッフが重視するのは加盟店数である。短期間で急成長するためには、加盟店の基準を下げる必要がある。
競争範囲が広がる
OYOの成長過程は、新興コーヒーチェーンの「瑞幸咖啡(luckin coffee)」と似ている。まずは猛烈な勢いで規模を拡大しブランド力を高め、来店客をアプリに誘導してから、ようやく関連業務に手を伸ばす。これは、ブランディングとは似て非なるものだ。さまざまな業界でプラットフォーム型企業が育たない理由でもある。
OYOは、美団が得意とする、スターレート(星の数)の低いホテルを狙った。2018年、美団経由で予約された客室数はシートリップを上回るのべ2億8000万室となったが、そのメインは低価格帯である。
美団とOYOの対立が鮮明になり、加盟店のオーナーは決断を迫られる。OYOに加盟すれば美団から削除され痛手となるが、OYOの力を借りて稼働率を上げるしかない弱小ホテルもある。
OYOは加盟店のためにセールス活動も行い、団体客を呼び込むこともあるが、そもそも小規模設備しか持たないホテルはこうしたセールスの恩恵にあずかる機会もない。また、加盟店同士はもともと横のつながりもあり、彼らの間でOYOに対する悪評が広まれば、フランチャイズ契約を更新するのは半分程度になるとみられる。
さらに手ごわいライバルも現れそうだ。「全季酒店(JI HOTEL)」や漢庭酒店などのブランドを持つ「華住酒店集団(HUAZHU HOTELS GROUP)」の「H hotel」、格安の「7天酒店(7Days Inn)」から高級リゾートまで手掛ける「鉑涛集団(PLATENO GROUP)」の「非繁・城品酒店(Chonpines Hotel)」、首旅如家集団が打ち出す「雲酒店」シリーズなど大手ホテルチェーングループが、小規模ホテルの取り込みに手を伸ばし始めたのだ。大手IT企業でも、美団がインキュベーションする「軽住」ブランドのほか、シートリップが戦略投資する「旅悦集団(LVYUE HOTELS & RESORTS)」はOYOをベンチマークとする「索性酒店(SUCHA HOTEL)」を展開。索性酒店は2018年にオープンし、年内に100都市へ展開、5年以内に1万店の加盟を目指す。
OYOは苦しい立場に追い込まれている。多くの加盟店がフランチャイズ契約を更新しないことは明らかだ。更に明確なのは、OYOに限らず、どのプレイヤーも大きな事業を成し遂げる為には、ビジネスモデルを改善する必要があり、なんとかして美団による反撃を食い止めなければならないことだ。
(翻訳:貴美華)
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