EV製造事業に参入して500日 中国スマホ大手シャオミの現在地は

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EV製造事業に参入して500日 中国スマホ大手シャオミの現在地は

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中国のスマートフォン・IoT機器大手シャオミ(小米科技)の創業者でCEOの雷軍氏は51歳だった昨年3月末、同社の新製品発表会で自身の人生の名誉を懸けてシャオミの自動車製造事業に臨みたいと述べた。同時に、シャオミは香港証券取引所で「当社の取締役会はスマート電気自動車(EV)事業の設立を正式に承認した」と発表。スマートEV事業を担当する100%子会社を設立し、初期投資として100億元(約2050億円)を、今後10年間にわたり100億ドル(約1兆4300億円)を投資する計画だとした。

さて、シャオミが自動車製造事業に参入すると発表してから500日が経過したが、進捗はどうだろうか?

買収と投資

雷軍氏は最近、シャオミの自動運転研究開発チームは1年以上の急拡大を経た現在、スタッフは500人以上、研究開発への初期投資額は33億元(約680億円)に達したと明らかにした。第1段階としてテスト車両140台を用いて全国で順次試験走行を進め、2024年には自動運転業界でトップ集団入りすることを短期的な目標に据える。

インターネット大手各社が自動運転分野で競い合う中、シャオミの参入はやや遅かった。老舗自動車メーカーや新興自動車メーカー、シャオミより早く参入したインターネット企業を早急に追い抜くには投資と買収が最も迅速な手段と言える。

シャオミが過去1年に実施した投資・買収は以下だ。

● シャオミ傘下の投資ファンド「小米長江産業基金(Hubei Xiaomi Changjiang Industrial Investment Fund)」は2021年6月、自動運転・先進運転支援(ADAS)プロダクト・技術サプライヤーの「縦目科技(ZongMu Technology)」にリード・インベスターとして出資。

●「湖北小米長江産業基金」は8月、自動運転システムを研究開発する「幾何夥伴智能駕駛(G-PAL)」にリード・インベスターとして出資した。

● 小米集団(シャオミグループ)は同月、「智慧互通科技(Intelligent Interconnection Technologies)」が運営する都市型スマートパーキングソリューション「愛泊車(AIPARK)」に戦略的投資を実施。また、自動運転技術を開発する「深動科技(DeepMotion)」を7737万ドル(約110億円)で買収し、買収完了後に完全子会社にすると発表している。

● 雷軍氏が設立したVC「順為資本(Shunwei Capital)」は11月、自動運転技術を手掛ける「Momenta(モメンタ)」が実施したシリーズCの資金調達にコ・インベスターとして再び参加。順為資本は17年にもMomentaのシリーズAでリードインベスターを務めている。

● シャオミは22年2月、車載LiDARメーカーの「速騰聚創科技(RoboSense)」と新エネルギー車(NEV)向け電気システムを手掛ける「智緑環保科技( Chilye Green Technology)」にリード・インベスターとして出資した。

● シャオミは3月、スマートカー分野に特化した半導体設計会社「慷智集成電路(AIM)」に出資。

● シャオミは5月、リチウムイオン電池の材料メーカー「法恩莱特新能源科技」に出資。

● シャオミ傘下の投資会社「小米智造股権投資基金」は8月、絶縁技術を手がける「鼎声微電子科技(GiantOhm Micro Electronics Technology)」の新たな株主になったことが登記情報より明らかになった。

シャオミはこれまでEV本体の三電(バッテリー、モーター、電気制御装置)システム、ビジョンセンサー、LiDAR(レーザーレーダー)、チップ、自動運転ソリューション、車載インテリジェント製品、スマートコックピットなどの重要分野に投資している。

自動運転技術は100%自社研究の「フルスタックアプローチ」を採用

シャオミは中国インターネット検索大手の百度(バイドゥ)や中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)など自動車を製造する他のインターネット企業と異なり、投資や買収のほかに参入当初から「100%自社研究の自動運転技術」を掲げ、自己進化型アルゴリズムという技術戦略の下、自社工場も建設していることで知られる。

シャオミの計画によると、同社の自動運転技術はセンサー、チップ、知覚アルゴリズム、シミュレーション技術、高精度地図、高精度測位、ツールチェーン、トレーニング機能などを網羅して研究を進めていく。雷軍氏は発表会で「自動運転はスマートEVで勝利するための重要ポイントだ」と示した。

技術面では、シャオミの公式マイクロブログが最近、「シャオミの自動運転技術を解説」と題する8分間の動画を公開し、自動運転事業の最新の進捗状況を明らかにしている。

自動運転車にとって大部分の一般車両を認識するのは難しくないが、特別な扱いを必要とするイレギュラーな車両は必ず存在するため、自動運転車は専門的な外観認識の学習を実施して安全上のリスクを回避する必要がある。シャオミはレーダーやビジョンセンサーシステムなどの技術に加え、路上テストや自動駐車テストを通じ、自動運転で想定される30のシナリオを設定して検証している。

中でも事故車両自動回避のシナリオでは、自動運転システムによる鋭敏な認識と多数の最適化トレーニングを通じ、テスト車両が事故車両と三角停止表示板を検出し、至近距離で位置を変えることに成功した。

シャオミが独自開発したRTK(リアルタイムキネマティック)アルゴリズムは測位精度を継続的に向上させるほか、交差点テストでの大量の学習を通じ、信号と車線の相関関係を正しく認識する精度も向上させた。

シャオミが公開した動画では、サードパーティーブランドの車両がテスト車両として使われている。動画は自動運転技術のプレゼンテーションに重点を置いたもので、車両などハードウェア関連については最新の進展を明らかにしていない。

しかし、現在のシャオミの自動運転プロジェクトを見る限り、上記30シナリオに対応する技術は都市での自動運転の基本性能を満たしており、都市ナビゲーション補助システムをすでに現実のものにしている。シャオミの自動車事業チームはわずか500日でこうした成果を上げており、進捗度合も遅いとは言えない。 後発組が先行者に追いつけるかどうか、今後の展開を見守りたい。

作者:蘇宓(WeChat ID:CSDNnews)
(翻訳・大沢みゆき)

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