香港の起業トレンドを総括 「香港国際創客節2019」参加レポート

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香港の起業トレンドを総括 「香港国際創客節2019」参加レポート

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ここ数年中国を席巻した起業ブームが、川を隔てた香港にも波及している。

香港と中国本土では文化や経済などが大きく異なり、ベンチャー企業のたどる成長のルートも決して同じではない。とはいえ、香港はハイテクノロジーやビジネス展開の面で大きな強みを持っている。広東省と香港、マカオの一体的な発展を目指す大経済圏構想「大湾区(グレーターベイエリア)計画」が始動し、ビジネスにおける香港と中国の連携が今後さらに緊密さを増していくことを考えると、香港での起業ブームの兆しは大いに注目に値する。

香港国際創客節2019の開幕

4月16日に、香港のNGO「百川匯(Bright Way)」が主催する「香港国際創客節(Hong Kong International Entrepreneurs Festival)2019」が香港で開幕した。参加した36Krが、香港の起業に関わる主な動向を以下にまとめた。

ベイエリアの地の利を活かした連携

1980年代から、珠江デルタ地域では「輸出主導型」の経済発展モデルで外資を誘致、香港やマカオ、台湾が営業窓口となり連携する「前店後廠」のビジネスモデルを確立してきた。「フロントオフィス(前の店舗)」で受注し、豊富な労働力とリソースをもつ「後ろの工場」で生産を担い、完成されたサプライチェーンを作り上げたのだ。

そしてベイエリアでの起業ブームのもと、この連携モデルはアップグレードを続けている。中国都市は単なる生産拠点というだけでなく、深圳市、佛山市、珠海市のハイエンド製造業や東莞市のハイテク電子・5G産業のように、地域ごとに独自の優位産業が形成されてきた。

近年、香港での起業ムードはますます高まっており、香港政府が打ち出す優遇政策の恩恵を受け起業のハードルは低くなっている。コアテクノロジーの研究開発に関して香港は大きな強みを持っているとはいえ、ベンチャー企業が必要とする大量の人材においては中国側が優位に立つ。そのため、スタートアップ企業で、IT部門と生産部門を中国側に、マーケティングチームを香港に配置するという方式がトレンドになりつつある。

香港政府の政策と大湾区計画により起業コストが低下

「一帯一路」政策と「大湾区計画」に参加する香港は、近年に起業関連の政策を数多く打ち出し、スタートアップ関連組織を複数立ち上げて、起業やイノベーションを強力に後押ししている。

百川匯会長でエンペラー・グループ執行役員の楊政龍氏

百川匯会長で香港のコングロマリット「エンペラー・グループ(英皇集団)」執行役員の楊政龍氏は、香港国際創客節の開幕のあいさつの中で、香港政府が科学技術・イノベーション分野の発展にさらなる力を注いで、政策や資金面で積極的にサポートしていることに言及した。

さらに大企業や投資機関も香港に注目している。アリババやテンセント、「セコイア・キャピタル(紅杉資本)」などの大手が相次いでスタートアップ向けファンドやインキュベーション施設を設立し、香港やベイエリアの起業家を幅広くサポートしている。

今後は複数業態の融合がキーワード

香港では新興分野の台頭や複数業態の融合といった動向からも目が離せない。

今、注目できる新興分野としてeスポーツがある。今回の創客節では初めて「eスポーツ新世代」フォーラムが設けられ、eスポーツ産業をいかにして話題性のある新興産業また世界公認のスポーツ競技にできるかなどのテーマで、業界著名人らがディスカッションを行った。

香港国際創客節2019イベントアンバサダー、「鋒味」をプロデュースする謝霆鋒氏

新興分野以外に、複数業態の融合も今後の重要なテーマだ。香港国際創客節2019イベントアンバサダーで「鋒味(Chef Nic)」ブランドをプロデュースする謝霆鋒(ニコラス・ツェー)氏は、単一業態ではもはや人々の多様化するニーズを満たせなくなっていると指摘し、さらにこう述べた。「これまでのように単純においしい物を食べる、音楽を聴くというだけでは満足できなくなっている。これらの要素を組み合わせてみてはどうだろう。おいしい物を食べながら音楽を楽しみ、関連商品をすぐさま購入できるという具合に」

エンターテインメント、グルメ、小売りなど複数の分野にまたがる、謝氏の鋒味ブランドはその良い例だ。トークと料理を融合させたリアリティー番組「鋒味(Chef Nic)」ではグルメや音楽、映像など多くの要素を融合させており、同ブランドの認知度を高めることにつながった。ECサイト「天猫(Tmall)」の鋒味旗艦店ではクッキーなどのオリジナル商品や有名ブランドとのコラボ商品を販売しているほか、オフライン業態も積極的に進めている。

謝氏によると、不動産会社向けの厨房デザインやマクドナルドとのコラボメニューなど、企業向けサービスの展開も始めており、今年はミニ家電の分野でタイアップを発表する予定だという。
(翻訳・畠中裕子)

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