ドリームワークスと合弁解消した「東方夢工廠」、3年ぶりに新作アニメ映画公開へ

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「カンフーパンダ3」で知られる映画製作会社「東方夢工廠(Pearl Studio)」が先日、上海市の本社でメディア向けオープンデーを開催した。当日はアニメ映画「雪人奇縁(原題:Abominable)」の予告編上映会が行われたほか、複数のアニメ映画に関する今後の計画が発表された。

オープンデーには、投資会社「CMC資本(CMC Capital Group)」とメディアエンターテイメント企業「華人文化集団公司(CMC Inc.)」の董事長兼CEOであり、東方夢工廠の董事長も務める黎瑞剛氏、東方夢工廠CEOの朱承華氏、同社CCO(チーフクリエイティブオフィサー)の周珮鈴氏、運営責任者の周従意氏ら幹部4人が出席した。同社幹部がメディアの前に姿を見せたのは、米映画制作会社ドリームワークス・アニメーションとの合弁を解消した2018年2月以来だ。

左から朱承華氏、黎瑞剛氏、周珮鈴、周従意氏

「雪人奇縁」は、東方夢工廠が「カンフーパンダ3」の次に手がけた2作目のアニメ映画で、初のオリジナルアニメ映画でもある。黎氏によると、同作品は100%中国で作られたものであり、「着想から製作、配給戦略の策定も中国人チームが全面的に担当した」という。

2012年2月、華人文化集団公司とドリームワークス・アニメーションは提携を結び、合弁会社の「東方夢工廠」を設立した。4年後に「カンフーパンダ3」が上映され、中国では興行収入が10億元(約1600億円)の大台を突破し、世界でも5億ドル(約550億円)の興行収入を記録した。この作品は東方夢工廠にとって最初の作品であり、史上初の米中合作アニメ映画であった。

「カンフーパンダ3」の成功で東方夢工廠への期待は高まったものの、その後進展が見えないまま3年が経過。その間、米国の出資者との衝突、度重なるCEOの交代など暗いニュースが続いていた。2018年2月、華人文化集団公司はドリームワークス・アニメーションが保有していた東方夢工廠の株式45%を取得し、東方夢工廠の全株式を保有する持株会社となった。また、東方夢工廠の英文社名を「Oriental Dream Works」から「Pearl Studio」に変更した。

合弁解消し、中国のアニメ追究へ

オープンデーでは東方夢工廠の新作に関するスケジュールが発表された。2019年上映予定の「雪人奇縁」は、中国での配給を同社が、海外での配給を米ユニバーサル・ピクチャーズ(Universal Pictures)が行う。2020年上映予定の「奔月(仮題:Over The Moon)」は中国ではチェーン系映画館で上映され、海外では動画配信サービスの米Netflix(ネットフリックス)で配信される。2021年上映予定の「斉天大聖(仮題:Monkey King)」は俳優・映画監督のチャウ・シンチー(周星駆)が制作に関与する。

黎氏は「2022年以降、東方夢工廠は年に1~2本のオリジナルアニメ映画を公開し、中国初の世界水準のアニメ制作会社になる」との方針を示した。

映画「雪人奇縁」のポスター

東方夢工廠の周氏は、映画業界ではアジア的要素への注目が続いており、同社にも多様なストーリーを生み出す余地がもたらされたと説明。「同社は中国発祥であり、中国に対する大きな愛情がある。だから、我々の映画には常に中国的要素が盛り込まれる」と延べ、中国的要素を様々な角度から追究することが同社の映画制作の起点になるとの考えを示した。

朱氏は、米国のアニメ業界再編が完了したことにより、中国企業が再び米国のアニメ関連企業と合弁会社を設立しようとしても、それはもはや現実的ではないとの見方を示した。合弁を通じて米国のアニメ関連会社から学ぶ時期はまたたく間に終わり、中国では同社だけがそのチャンスをものにできたとした。こうした背景に加え、中国アニメ映画市場がこの数年で急成長していること、マイノリティーを題材としたストーリーがハリウッドの主流になりつつあることが同社の大きな自信につながっていると説明した。
(翻訳・池田晃子)

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