バイドゥが初の四半期赤字 迫られる戦略転換

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中国検索エンジン最大手「バイドゥ(百度)」の1つの時代が幕を下ろした。勤続14年の向海龍副総裁が慰留されることなく離職したのだ。

向海龍氏は、2017年に検索事業を担う「百度捜索公司」を設立した後、総裁としてバイドゥで最も重要なネット広告事業を指揮してきた。

向海龍氏の離職はコア事業の低迷が主な理由とみられる。バイドゥの2019年第1四半期決算では、9億3600万元(約148億5000万円)の営業損失が計上され、四半期ベースで2005年以来初の赤字となった。向海龍氏が直轄するSEM(検索エンジンマーケティング)事業「百度核心(Baidu Core)」の売上高は前年同期比8%の増加にとどまり、純利益は同90%減少した。

過去10年間で、コア事業の「ネットマーケティングサービス」の売上高が減速

第1四半期決算が発表された翌日の5月18日、バイドゥの株価は16.5%も急落し、一時128.31ドル(約1万4000円)まで落ち込んだ。

とはいえ、事業低迷は向氏だけの責任ではない。「これは彼個人の問題というより、バイドゥの体制そのものが問題なのだ」と語る元従業員もいる。さらにバイドゥの問題はプロダクトで後れを取っていることだとも指摘する。

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過激なインフィード広告展開

2016年末、バイドゥは当時のモバイルアプリにインフィード広告を組み込んだ。中国経済紙「経済観察報」によれば、バイドゥは当初、2~3年以内にインフィード広告を検索サービスに並ぶ主力事業に成長させるという目標を定めており、インフィード広告とリスティング広告の売上高が2倍に成長すると見込んでいた。

インフィード広告を実際に運用するにあたって、バイドゥは過激な戦略に出た。リスティング広告を利用する場合、必ずインフィード広告も出稿しなければならないという「抱き合わせ販売」の手法を取り入れたのだ。さらに、チャージした広告費用を規定の期間内に使い切るよう企業に求め、インフィード広告に対する出費が一定レベル以下の場合、違約金を徴収することにした。

バイドゥアプリ上のインフィード広告(赤線部分)

このような手法により、インフィード広告の売上高は表面的には増加した。運用から1年足らずの2017年11月には、インフィード広告の売上高が67億元(約1063億円)を超えたと発表された。

しかし、これはもろ刃の剣である。インフィード広告は露出機会が多いため、企業が投じた広告費がすぐに底をついてしまう。一方で検索連動型の広告ほどターゲティング精度が高くないため、コンバージョンにつながりにくく、広告主からはすこぶる不評だった。

これではリスティング広告の売上高をインフィード広告に移植したに過ぎず、ネットマーケティングの事業規模そのものを拡大するには至らなかった。

商業化の戦略変更

5月10日、向海龍氏は成都市で開かれた「百度聯盟生態合作夥伴大会(Baidu Union Ecosystem Partner Conference)」で登壇し、「モバイルインターネットの人口ボーナス効果は薄れているが、ユーザーの使用時間においては成長が期待できる。成長を続けるために必要なのはユーザー目線であり、トラフィック頼みの運営からユーザー中心の運営へと転換すべきだ」と述べている。

向海龍氏

「トラフィック頼みの運営からユーザー中心の運営へ」という向海龍氏の発言は、バイドゥに向けた忠告ともとれる。PC時代の急成長から一転してモバイル時代に低迷にあえぐバイドゥにとって必要なのは、過去と決別し、スタッフや組織構造、方法論を一新して新たな発展の道筋を定めることだ。

新事業という点で、事業者向けサービスがバイドゥの活路となるかもしれない。今回の決算報告で、クラウド事業とAI事業は数少ないハイライトだった。クラウド事業を含む「その他」の売上高は、前年同期比73%増の65億元(約1030億円)と、大きく成長している。

またAI戦略も商業化の歩みを加速させている。今四半期、同社の対話型AIシステム「DuerOS」を搭載したスマートスピーカーなどスマートデバイスの売上高は、前年同期比279%増の2億7500万元(約43億6000万円)だった。巨額を投じて開発する自動運転プラットフォーム「Apollo」にも進展が見られる。

今四半期の決算説明会でCEOの李彦宏(ロビン・リー)氏は、新たに7名を副総裁に任じることを明らかにした。今回のバイドゥ内部の人事、組織、事業改革は大きな波乱を巻き起こすことになるだろう。
(翻訳・畠中裕子)

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