LiDARに替わる「4Dイメージングレーダー」を深掘り より高精度な自動運転を目指す中国ベンチャー

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LiDARに替わる「4Dイメージングレーダー」を深掘り より高精度な自動運転を目指す中国ベンチャー

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世界的に自動運転市場が成長し、自動運転の中核を成す部品の一つであるレーダーセンサーへの需要もますます増している。

米テスラのイーロン・マスクCEOらはLiDARに対して懐疑的だが、大部分の主要自動車メーカーは現在もビジョンセンサーとLiDARを組み合わせたセンサーソリューションを採用している。一方で独Ibeo Automotive Systemsが破産を申請するなど、今年に入ってLiDAR開発企業が相次いで経営難に陥っている。技術面での支出が売上高を大幅に上回る赤字状態が長期的に続いたのが主な理由で、自動車メーカーからの受注の不確定性も不安要素となっている。

自動運転分野に参入するプレーヤーは増加の一途をたどり、車載用センサーに対する理解が深まるにつれて、市場はコスト、精度、性能でLiDARをさらに上回るセンサーが生まれることを期待してきた。ミリ波レーダーの進化系といえる4Dイメージングレーダーがその一例だ。

「木牛領航科技(Muniu Technology)」の王衛COOによると、LiDAR市場は近年飽和に向かっており、車載用センサー業界では徐々に4Dイメージングレーダーに注目が集まっている。

2015年に設立された木牛領航科技はミリ波レーダーを用いたスマートシステムソリューションに特化した企業だ。本社は北京市にあるが、設立と同時に米国に子会社「Ainstein」も設けており、山東省青島市、上海市、米カンザス州、ボストンに研究開発および生産の拠点を置いている。

インテル傘下の自動運転技術開発企業「Mobileye」のアムノン・シャシュアCEOも、今後はLiDARよりも4Dイメージングレーダーを採用すると過去に断言している。最大でLiDARの10%にまでコストを削減でき、部分的にはLiDAR以上の性能を発揮できることが理由だ。ただし、4Dイメージングレーダーの弱点は、これまで車載用センサーとしての大規模な実証実験が行われていないことだ。

従来型ミリ波レーダーからの進化

4Dイメージングレーダーは従来の車載用ミリ波レーダーの進化版で、対象物までの距離・速度・方角・角度の4次元でデータを解析できるのが特徴だ。

木牛領航科技は3Dセンシング、4Dイメージングにプラスして5次元として「微小動作(マイクロ波ドップラー)」を計測することで、4次元情報をさらにグレードアップし、マイクロ波ドップラー情報がシーン認識における分類や感知性能をより発揮できるようにした。

木牛領航科技は2017年に4Dイメージングレーダーの開発や商用化を目指しはじめた。19年には世界初の4Dイメージングレーダー「O-79 4D」を発表し、世界的な小型建設機械メーカーBobcatとサプライヤー契約を交わして、製品を大量提供することが決まった。同年にはロボット開発プラットフォーム「ROS」を使って独自開発したレーダー試験用プログラムを公開し、数多く利用されている。また今年はBobcatから戦略投資を受け、Bobcat唯一のレーダーセンサーのサプライヤーになることが決まった。

王COOによると、木牛領航科技は特殊車両との長期提携を通じて多くのシーンデータとサービス経験を積んできた。事故率が80%にもなる特殊車両には高度な条件が求められる。木牛領航科技のレーダーセンサーは、複雑な施工作業が行われ車両が低速で走行する環境下で、メインプロセッサーやアルゴリズムの性能向上、アンテナの性能・数量やその配列を改善するなど多角的なアプローチを用い、複数の対象物を高精度な点群データにするための認識性能を最適化。車両の事故率を大幅に低減し、「ほぼゼロに近づけた」という。

車載レーダーの未来

木牛領航科技の製品は現在、主に車載機器・スマート製品(スマートシティ、スマートモビリティ、スマートホームなど)・航空・スポーツの4分野にまたがっており、世界の40カ国以上に600社以上の顧客を有する。

車載機器としては、自動運転レベル2〜3+向けのレーダー製品に5Dレーダー技術を用いて誤報率や失報率を効果的に低減している。ホイールの回転速度から車両を認識・分類したり、車両が低速走行中か停車中かを判断したり、歩行者の腕の振れ方から道路を横断中かどうかを判断したりなどが可能となった。これらのデータは自動運転に応用できるだけでなく、スマートモビリティ分野にも存分に活用でき、中国国内の複雑な交通環境で生じるスマート路側センサーやデジタルツインに対する需要も満たせる。木牛領航科技は交差点情報制御、都市交通のクラウド化、高速道路やトンネルなどの用途別に製品を開発し、断面交通量計測の正確度は98%以上、平均車速計測の正確度は98.5%を達成している。

木牛領航科技が手がける業界と製品一覧

(翻訳・山下にか)

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