手術ロボット開発「科智星機器人」 公開実験へ

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設立1年に満たない手術支援ロボット開発メーカー「科智星機器人(Kezhixing Robot)」が、6月より公開動物実験を行うことがわかった。近く、同社初の製品としてバーブ(固定用ひっかかり)付き縫合糸を発売するほか、シリーズAでの資金調達を目指していく。

2018年6月に設立された同社は、韓国の医療機器メーカー「CUメディカルシステム」傘下のファンドなどから8000万元(約12億6000万円)の出資を受けている。サプライチェーンの上流には、同じく韓国の「原州市医療機器産業クラスター」も名を連ねる。

同社の製品は手術支援ロボットで世界最大のシェアを持つ「ダヴィンチ」の「Xi サージカルシステム」をベンチマークとし、ロボットアームの自社開発のほか、ダヴィンチ製品にも対応する電気メスなどの消耗品も生産する。

手術支援ロボットは胃腸外科、肝胆膵外科、泌尿器外科などで導入され、世界33カ国、800以上の医療機関で500万件以上の成功例がある。ボストンコンサルティンググループ(BCG)の予測では、同分野の今後5年の年平均成長率は15.4%で、市場規模は2020年までに114億ドル(約1兆2400億円)に達する。

手術支援ロボットは中国では未開拓の市場だが、その一方で、米中貿易摩擦などの影響を受け、「インテュイティブサージカル(ダヴィンチの開発元)」や「メドトロニック」など、世界的大手の国内市場におけるシェア拡大が抑制されており、国内メーカーにとっては成長の追い風となっている。

市場規模の大きさや、国産製品の保護政策による後押しも考慮し、科智星機器人もまずは国内での足固めに注力する。同社の手術支援ロボットは今年3月より動物実験を開始し、6月からは公開実験に入る。9月には臨床実験へ移行し、2021年には香港証券取引所メインボードへの上場申請を目指す。

同社は、機械、電子、AI、新素材、医用画像処理、工業設計など多岐にわたる分野から人材を集めている。日本、韓国、スイス、ドイツなどの大手企業や研究所で経験を積んだ技術者も多く在籍する。

中国では2020年、手術支援ロボットの医療設備上の分類が「甲類」(国が管理する大型医療設備)から「乙類」(各省が管理する大型医療設備)に変更される。これを機に需要が徐々に伸び、販売台数も一定の規模になると同社CEOの冉祥氏は見込んでいる。ただし、現場の医師に使い慣れた製品から新しい製品に乗り換えてもらうには一定の時間が必要だとも考えており、安定した需要を掴むまでは約10年かかると見据えている。
(翻訳・愛玉)

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