スマホ市場が頭打ち ポスト・スマホとなるハードウェア市場は

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スマホ市場が頭打ち ポスト・スマホとなるハードウェア市場は

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消費財としてのハードウェア分野では、スマートフォンが長らく中心的な位置を占めていた。しかし、スマホ市場は2016年以降「レッドオーシャン(競合が激しい既存市場)」となり、2018年には世界的に出荷量が減少。大手企業が中小企業のシェアを徐々に浸食している状況だ。ハードウェアの次のチャンスはどこにあるのだろうか。

2017年以降、AIやIoT技術の発展にともないスマートスピーカー、TWS(完全ワイヤレス)イヤホン、翻訳機が相次いで登場し、大手企業がシェア争いを繰り広げるようになった。また、霧化技術の成熟と消費のグレードアップに後押しされ、電子タバコも人気に火が付き、ベンチャー企業にとって宝の山となっている。

スマートスピーカー:市場シェア上位5社はIT、スマホメーカー

米アマゾンが、2014年にAIアシスタント「Alexa(アレクサ)」を内蔵した「Amazon Echo(アマゾン・エコー)」を発売し、スマートスピーカー市場の新たな局面を開いた。米グーグルも2016年に「Googleアシスタント」を内蔵した「Google Home(グーグルホーム)」を発売。スマートスピーカー市場は二大巨頭の争いとなった。

2017年の下半期からはアリババ、バイドゥ(百度)、EC大手「京東集団(JD.com)」、「シャオミ(小米科技)」など中国勢も参入し、スマートスピーカー市場はグーグルとアマゾン大手2社のにらみ合いから多数の企業がシェアを奪い合うようになった。そのなかで2017年第4四半期から翌2018年第1四半期が一つの大きな転換点になったことは明らかだ。

米調査会社Strategy Analyticsのリポートによると、2017年第4四半期はアマゾンとグーグルがなお87%を超えるシェアを占め、上位5社の中には米Sonos(ソノス)など既存のオーディオ機器メーカーの名前もあった。しかし、2018年第1四半期には大手2社のシェアは7割にまで減少し、アマゾンのシェアは初めて5割を切った。同時にアリババ、アップルのシェアが5%以上に達し、上位5社の顔ぶれが全てインターネット企業もしくはスマホメーカーになった。

2018年第1四半期スマートスピーカー市場リポート(出典:Strategy Analytics)
2017年第4四半期スマートスピーカー市場リポート(出典:Strategy Analytics)

完全ワイヤレスイヤホン:驚異の利益率

スマホからイヤホンジャックが徐々に消え、やむを得ずTWS(完全ワイヤレスイヤホン)を購入する消費者が増えている。業界関係者によると、ワイヤレスイヤホンの出荷量は将来的にスマホの出荷量に追随して年間15億セット以上の規模に達するという。

アップルは同社のワイヤレスイヤホン「AirPods」の出荷量と粗利益率を公表していないが、業界関係者によれば、粗利益率は70~80%にのぼるはずだという。「中信証券(CITIC SECURITIES)」の統計によると、2018年のAirPodsの出荷量は2600万セットで、粗利益率を50%で計算してみると、少なく見積もっても粗利益が130億元(約2080億円)にものぼる。これはシャオミの1年間の純利益を上回る。

翻訳機:音声AIに収益化の道筋

翻訳機は市場規模は小さいものの、大手企業が多く参入していることから注目を集めている。

2016年、音声AIを手がける「科大訊飛(アイフライテック)」がいち早く翻訳機を発売。販売価格は2799元(約4万5000円)だった。続いて「網易有道(NetEase Youdao)」、バイドゥ、「搜狗(Sogou)」、シャオミなどが相次いで参入。一般的な価格は数百元(数千円)から3000元(約4万8000円)の間だ。

コンサルティングサービスの「中商産業研究院(ASKCI Consulting)」が2018年に発表した翻訳機業界のデータによると、今後3年から5年の間に翻訳機市場の規模は3000万台から4000万台に、2020年時点での売り上げは561億元(約9000億円)にまで増加するという。

翻訳機の出現で、音声AIが収益を生み出す利用シーンがようやく見つかったといえるだろう。
動画AIには防犯市場で大きなニーズがあるが、音声AIは消費財としての利用シーンの模索が続いていた。翻訳機の出現はこの空白を埋めた。海外旅行ブームが翻訳機市場のニーズを刺激し、ターゲット層の購買力も高いことから、利益を生み出す可能性が十分にある。

翻訳機の場合、競争力となるのは価格ではなく翻訳の正確さだ。全体的に見ると、翻訳機のハードウェアとしての仕組みはシンプルであり、参入する企業の収益化への期待は高い。

電子タバコ:政策制定前の混沌

その利益の高さと巨大市場のポテンシャルに加えて、参入へのハードルが低いことと資金調達のしやすさもあり、電子タバコ市場はベンチャー企業の楽園となっている。適切に経営すれば短期間で大きな利益が見込めるからだ。しかし政策によるリスクが大きく、ハードウェア大手各社は手をだしておらず、それがこの市場の未知数となっている。

(出典:2019年2月27日付 36Kr Japan 「『新型タバコ』へ相次ぐ参入、中国版「Juul」は現れるのか」)

電子タバコの市場は昨年からすでにかなり過熱している。

「国金証券(Sinolink Securities)」が年初に発表したリポートによると、今後4年間で電子タバコの市場規模は3000億元(約4兆8000億円)を超えるという。しかし参入企業が多く、中国では米国の電子タバコ「Juul」のように過半数以上のシェアを占める大手ブランドが現れるとは考えにくい。

電子タバコ業界に関しては、「ダモクレスの剣(繁栄の中にも危険が迫っていることの例え)」との見方が一般的だ。中国では新型タバコの自由な売買を支持する政策は明確に打ち出されていない。一方、杭州市や南寧市、深圳市などでは公共の場での電子タバコ使用を禁止する条例が発表されている。

今後電子タバコの税率引き上げや、営業許可制による参入制限などの政策が実行されれば、この業界の多くの企業にとって致命的なリスクとなる。それまでは市場の過熱ぶりはしばらく持続するだろう。

ポスト・スマホで首位的な位置を占めるのは

この記事で取り上げた4つの市場は将来的にも高い成長率を持続すると見られる。全体的に見て、大手インターネット企業が重視するのはハードウェアの「入り口」としての価値、つまり集客力だ。AI技術を持つ企業はその技術を消費財に落とし込める利用シーンを見つけた。そして、消費のグレードアップを背景に、電子タバコ業界には追い風が吹いており、政策制定前のお祭り騒ぎともみられている。
(翻訳・山口幸子)

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