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超音波を用いた電池検査技術を開発する「領声科技(TOPSOUND)」がこのほど、中科創星(CASSTAR)が主導したエンジェルラウンドで数千万元(数億〜十数億円)を調達した。調達した資金は主に会社設立と次世代製品の開発に充てるという。
領声科技は今年設立したばかりで、主にリチウムイオン電池の非破壊検査(検査対象を壊すことなく瑕疵や劣化の有無などを検査すること)技術とモニタリング技術を研究する。リチウムイオン電池の研究開発・生産・使用・リサイクルの過程で生じる問題を超音波技術で解決することを目指す。コアメンバーは、同社のチーフサイエンティストで華中科技大学の黄雲教授が2013年に集めた。黄氏は、「リチウムイオンバッテリーの父」と称されるノーベル化学賞受賞者ジョン・グッドイナフ氏に師事した有名な科学者だ。
リチウムイオン電池の品質管理や安全検査は業界の発展に足かせとなっている。一方でスマートフォン用電池の爆発、車載電池の発火、蓄電所の出火などの事故も、業界の歩みや消費者の心象に直接影響する。電池状態の非破壊的診断と分析は長い間、顧客にとっての悩みの種であり、有効な解決方法が見つかっていなかった部分だ。
領声科技を創業した鄧哲CEOによると、バッテリーを壊さずに内部状態を評価できる技術は業界をあげての課題だった。従来の工業用検査は多くが外観から情報を得るもので、筐体内の状態は確認できなかった。領声科技は音響センサーを基に電池内部の状態を検査する技術を用いる。超音波で得られる情報を基に電池の状態を解析・測定し、リアルタイムで監視する。音響学の技術を利用した電池解析は学術的には相当研究が進んでいるが、企業に導入されるケースは少ないという。
同社は現在3種類の製品を展開する。1つ目は開発者向けで、企業の開発業務や製造プロセスの改善を支援する。企業ではバッテリーを開発する際、電解液の浸透状況や副反応の過程、析出したリチウムの分散状態などを把握していない。領声科技の技術を使えば開発中のバッテリーに生じた状況をより正確に把握でき、検出した結果を基に製造プロセスをさらに改善できる。
製品はすでに第5世代目までバージョンアップしており、リン酸鉄リチウムイオン電池ー・三元系リチウムイオン電池・ナトリウムイオン電池・固体電池・リチウム金属電池などさまざまな電池の開発に活かせるという。
2つ目の製品は製造者向けで、製造品質をオンラインで評価する。製造段階で電池の電解液やガスの分散状態を直観的に解析でき、電池品質を検査するとともに不良品をふるいにかけ、出荷製品の質を保証する。
3つ目の製品は主に使用者向けで、電池の使用状況をオンラインで解析する。小型音響センサーをバッテリーモジュール内に集積し、稼働状態のバッテリーにモニタリングを実施して安全性を見守る。この技術は電気自動車(EV)や蓄電システムに活用できる可能性がある。
(翻訳・山下にか)
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