進化した「比心」、eスポーツ事業の一翼を担う

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

進化した「比心」、eスポーツ事業の一翼を担う

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

ここ数年、中国のeスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)及び関連ビジネスが急速に発展している。市場調査機関「艾瑞咨詢(iResearch Consulting)」のリポートによると、2020年には市場が1000億元(約1兆6000億円)規模に達し、そのうち3割近くを関連産業が占めるという。

実際に、eスポーツ関連産業であるゲーム実況、eスポーツ大会、ブランドによる広告スポンサーやイメージキャラクターなどのビジネスモデルは早くから成長してきている。

オンライン上でゲームの対戦相手やパートナー、時にはコーチをつとめる有料サービスを提供するプラットフォーム「比心」の例を見てみよう。比心はプラットフォームとして多様化しながら安定した発展を見せてきたが、業界の成熟にともない、今後は単なるゲームコーチングのプラットフォームではなく、登録しているゲームコーチたちにキャリアプランと関連サービスを提供することを目指している。

ゲームコーチという職業に多様な可能性を

比心関係者によると、同社は国内トップのプロチームやMCN(マルチ・チャンネル・ネットワーク)、ゲームメーカーと連携し、ユーザーにプロプレイヤー、ショート動画インフルエンサー、ライブ配信者、ゲーム声優など多様なキャリアの選択肢を提供しているという。

また、比心は最近、「リーグ・オブ・レジェンド(LOL)」第8シーズン世界チャンピオンの「iG(Invictus Gaming)」、「王者栄耀」の2018年度KPL(King Pro League)で春秋冬の3冠を達成した「Hero久競(Hero Competition)」などのeスポーツトップレベルのプロチームと契約を交わし、LOLや王者栄耀、「絶地求生(PUBG)」などのタイトル別eスポーツクラブの若手育成にプレイヤーを送り込んでいる。

トップチームとの提携でeスポーツの若手育成を

親から「ネット中毒」とのレッテルを貼られた若いプレイヤーたちはみな同じ問題にぶつかったことがあるはずだ。「ゲームを仕事にすることはできるのだろうか」

クラブに優秀な若者を送り込むと同時に、迷える青少年とその保護者に「職業」と「趣味・娯楽」の差をよりしっかりと理解してもらうため、iGは比心と提携し、LOLのオンライン若手育成選抜システムを構築した。

比心の関係者は、このような選抜は非常に意義があると語る。プロチームに優れたプレイヤーを送り込むことができるだけでなく、プロに向いていない青少年を納得させ、理性的にゲームやeスポーツに向き合わせることができるからだ。

MCNとの提携でショート動画やゲーム実況分野のインフルエンサー育成を

中国のeスポーツに長らく存在してきた問題がある。それはプロプレイヤーの引退後の進路だ。この問題は多くの優秀なプレイヤー達を悩ませている。

この問題に関し、比心は業界内で「仲介者」の役割を担いたいと考えている。

クラブチームの選抜からは漏れたが、それでもなおeスポーツに従事したいというプレイヤー達にキャリアプランとサービスを提供するため、比心は「大鵝文化(BGOOSE CULTURE)」、「薇龍文化(VLONG)」などの大手MCNと提携し、選抜イベントを行っている。比心のユーザーから優秀な引退したプレイヤーを選んでインフルエンサーになるための教育を行い、ショート動画やライブ配信の配信者として育成するのだ。教育期間中、彼らは比心で「スター講師」を務めることができる。オーダーを受けてマンツーマンでゲームのコーチングをすることもできるし、比心が発表するゲーム講座のショート動画で「投げ銭」による収入を得ることもできるのだ。

追い風を受けるゲームコーチング事業

艾瑞咨詢によると、2019年、中国のeスポーツプレイヤーは3億5000万人にも達する見通し。ここ数年はゲーム認可規制の影響を受けているものの、比心関係者が控えめに見積もっても、そのうち30%のユーザーはゲームコーチングの潜在的な顧客だという。

その中でも1995年以降生まれと2000年代生まれが主流を占める。新世代の若者のソーシャル活用の多様化によって、ゲームコーチングが彼らの注目する利用方法の一つとなっているのだ。

政府もeスポーツコーチを職業と認め始めており、この道を選ぶ優秀な人材にようやく安定した前途を得る機会が生まれた。

また、大手ECのタオバオ(淘宝)がゲームフレンドプラットフォームのアプリを発表する計画も明らかになった。アリババ内部でもこの業務にかなり高い優先順位がつけられているという。

政策面での支援と大手企業の参入、トップチームの認可などが、この業界に対して一部の人々が持つ偏見をなくすのに役立っている。しかし過去数年の厳しい時代を経て、この業界で生き残っている優良企業は数えるほどしかない。

現時点で比心は2000万を超えるユーザーを擁し、認定された「遊戯大神」(ゲームの達人の意)も100万人を超えている。そのうち数十万人はゲームコーチとして、すでに比心から収入を得ているという。データから見ると、比心はすでにトップ企業といえるが、1億人という潜在的ユーザー数を考慮すればなお発展の余地があるといえるだろう。

「eスポーツ業界と関連産業の市場には大きな発展の余地がある。比心はeスポーツ業界の既存大手企業との提携で中国eスポーツのために貢献していく」と比心関係者は語っている。   
(翻訳・山口幸子)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録