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この数年、中国で爆発的に成長したキャッシュレス決済は、いまや成熟期を迎えた。
海外旅行者が年々増加し、国外での消費が急増する中、海外で中国系PSP(決済サービスプロバイダ)の加盟店向けにウォレットサービスを提供しているのが「ScanForPay」だ。
同サービスは他の決済ソリューション企業と同様、海外の加盟店向けにマルチ決済ソリューションを提供し、決済サービス「アリペイ(支付宝)」などの決済インフラ導入をサポートする。しかしScanForPayが他と異なるのは、まず香港と日本にフォーカスして事業を展開した点だ。運営会社「Young Sailor Group」の創業者でCEOの李洋(Levin Li)氏によれば、東南アジアや欧米と異なり、香港や日本は加盟店側のモバイル決済導入がピークを迎えているという。支付宝やWeChatは消費者向けのプロモーションを重点的に行っており、モバイル決済は市場に浸透しつつある。とはいえ、モバイル決済のエコシステムを構築するには、加盟店側の開拓も不可欠であり、ScanForPayのようなマルチ決済ソリューション企業による開拓が必要とされる。
ScanForPayは、今年2月に香港のMSO(Money Service Operator)ライセンスを取得し、現在はアリペイと香港版アリペイが使用可能なほか、WeChatペイと「銀聯(Union Pay)」の導入を進めている。日本では事業者登録の申請中だ。
また現地決済サービス以外に、外貨決済や外国為替サービスも提供する。スタンダードチャータード銀行やDBS銀行などと提携し、世界の16の外為リクイディティ・プロバイダーと連携することで23の通貨に対応しており、オフショア人民元の両替や送金サービスも可能になっている。
香港では、マルチペイメント事業者の多くが、まず小売業や飲食業など地元の主力事業に参入し、そこから大々的なプロモーションや割引サービスなどでユーザーを獲得していく手法をとる。
しかしScanForPayの戦略は異なる。高い成長の見込めるニッチ市場にフォーカスして、その業界での決済サービスから始め、最終的には業界ソリューションの提供を目指すのだ。李洋氏によると、同社が進出した業界では決済関連サービス以外に広告などの付帯サービスを導入しているという。飲食業でもQRコードを読み取って注文から決済まで行えるパッケージサービスを提供している。
ScanForPayは1~2%のコミッションを徴収しており、これが今のところ主な収入源だ。加盟店に売り上げが振り込まれるまでの時間は、香港で香港ドルもしくは人民元を使って決済する場合がおよそ2営業日、その他の通貨の場合はおよそ30営業日だという。将来的には、事業者向けの財テク商品の開発も考えているとのこと。
現在、プレシリーズAで1000万香港ドル(約1億4000万円)ほどを目標に資金調達を行っており、調達した資金はサービスの市場投入や研究開発に充てるという。
(翻訳・畠中裕子)
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