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モビリティシェアリング事業を手がける「哈羅出行(Hello TransTech)」が、アリババグループ(阿里巴巴集団)傘下の金融サービス企業「アント・フィナンシャル(螞蟻金服)」や世界最大手の車載用電池メーカー「寧徳時代新能源科技(CATL)」と共同で10億元(約160億円)を出資し、ジョイントベンチャーを立ち上げたと発表した。電動二輪車を対象としたバッテリー交換サービスを展開し、全国に交換ステーションを設置していく。
哈羅出行の共同創業者でCEOを務める楊磊氏が、同社のCEOを兼任する。同氏によると、将来的には各主要都市で500~1000メートル間隔で交換ステーションを敷設するのが目標だ。バッテリー交換はユーザーが自身で行い、利用料は1回ごとに支払うことも、月極めで支払うこともできる。
哈羅出行はもともとシェアサイクル事業から出発しており、後に電動二輪車(電動アシスト自転車を含む)のシェア事業も手がけるようになった。同社のデータによると、シェアサイクルサービスの利用回数は1日平均2億回。電動二輪車は、その3倍以上の1日7億回だという。電動二輪車サービスの既存ユーザーは、すでに200万人に達している。
しかし、バッテリー交換設備の敷設は多額の資金を必要とする。楊CEOによると、今回は初期資金として10億元(約160億円)を投入したが、今後、より多額の資金を投入する予定だという。出資金は冒頭の3社によるもので、出資比率にも大きな差はないというが、実質的な支配権と運営権を握るのは哈羅出行だ。これらの出資金は、バッテリーの利用料で回収可能と考えている。
バッテリー交換プラットフォームの構築は哈羅出行が担う予定で、決済システムはアント・フィナンシャル傘下のアリペイ(支付宝)を導入する。また、これまで主に欧米諸国や日本の新エネルギー車メーカーへの投資を展開してきた寧徳時代が同プロジェクトに参画したことに関しては、意外と考える向きもあるが、寧徳時代は哈羅出行の電動二輪車事業に一部部品を提供するなど、過去にも提携関係を築いている。
以下は、36Krを含む複数の媒体が、哈羅出行の楊磊CEOと、アント・フィナンシャルのモビリティシェアリングサービス事業部の徐哲総経理に行ったインタビューからの抜粋。
――充電ステーション事業については、ライドシェア大手「滴滴出行(Didi Chuxing)」がすでに着手しています。あちらはEV向けのサービスですが、思うように成長していないようです。こうした事業は想定以上に難度が高いものなのでしょうか。
楊氏「アイディア自体はよいと思う。しかし、例えばテンセントのEコマース事業が軌道に乗らなかったのは、企業自体の適性に合わなかったからだ。企業がどのような事業に適しているか、どのような分野なら掘り下げられるのか、それは各社それぞれで異なるだろうと考える」
――政策面で見ると、電動自転車のシェアリング事業よりも、バッテリー交換プラットフォーム事業のほうがリスクは少ないのでしょうか。
楊氏「東南アジアや欧米の市場を見渡しても、各国政府は四輪車よりも二輪車関連の事業により多くの支援を行っている。中国政府も同様だと我々は考えている。タクシーのオンライン配車事業などでは、交通渋滞の問題を根本的に解決するのは不可能であり、環境問題も改善しない」
――この事業でアント・フィナンシャルが担う役割は。
徐氏「電動二輪車の利用者の悩みは、主に走行距離に関するものだ。そこにはバッテリーの充電や盗難に関する問題も含まれる。アント・フィナンシャルを含めた3社が提携することで、これらを解決できると考えている」
「アント・フィナンシャルは10億人のユーザーを擁している。中には電動二輪車のユーザーも少なくないだろう。また、アント・フィナンシャルも、その母体のアリババグループも、すでにモビリティ事業全般を手がけており、今回立ち上げた新事業にそれらを活用して新たな価値を創出できると考える。もちろん、その逆もある」
「アリババ傘下にある地図アプリ『高徳地図(amap.com)』、フードデリバリーサービス『餓了麼(Ele.me)』、物流サービス『菜鳥(CAINIAO)』、ECモール『天猫(Tmall)』、『淘宝(タオバオ)』などと連動させれば、さらに大きな価値を生み出せる」
「上海市が発表した2018年のデータでは、同市で登録された電動二輪車は950万台を突破した。未登録の車両を含めればもっと多いだろう。1日あたり2回乗ると仮定すると、電動二輪車は市全体で1日あたり2000万回以上使われている計算になる。同市内において、モビリティサービス全体の利用回数は1日5000万回と言われていることを鑑みれば、電動二輪車が移動手段の主流であることが分かる。他都市も同様だろう」
――最近はシェアサイクルの利用料が上がる傾向にありますが、どうお考えですか。
楊氏「利益を追求する企業として、正常な段階を踏んでいると考える。たとえ値上げに踏み切ったとしても、シェアサイクルが短距離移動には最も便利で安い移動手段であることには変わりない。業界全体も理性的に成長していると思う」
(翻訳・愛玉)
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