スマートロック市場、中国で苛烈な競争 3D顔認証、スマートホームとの連動などで進化

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IoT、AIなど新しい技術の進歩に伴い、スマートホームの利用が広がっている。中でもスマートロックは消費者の注目度が高まり、市場が急拡大している。

中国でのスマートロックの販売台数は2017年の800万台から21年には1695万台に増加し、世帯浸透率も17年の2%から21年には13%に上昇した。

市場参入するブランドも増加し、中国では2022年にブランド数が300以上、販売中のモデルは約1800種類になる。

政府も近年AI産業の推進と各業界でのAI活用を進めようとしている。第12期全国人民代表大会第4回会議の政府活動報告でも「ビッグデータ、クラウドコンピューティング、IoTの活用を促進する」、「ネット情報、スマートホーム、個性的なファッションなどの新しい消費を拡大する」と掲げた。

中国の調査機関や業界団体のデータによると、中国ではスマートロックの浸透率は約10%で欧米の15%よりわずかに低いが、日本の40%や韓国の70%とは大きな開きがあり、市場成長の余地は大きい。

新技術:3D顔認証、のぞき穴での撮影や録画機能

消費者がスマートロックに求めるのはセキュリティであり、セキュリティは技術によって守られている。従って、各ブランドの技術競争はセキュリティをめぐる競争と言える。

消費者の検索ランキングや購入状況を分析すると、この1年近くで最も注目を集めているのは指静脈認証や3D顔認証のモデルだ。指静脈認証とは指の静脈を認証して解錠するもので、指紋認証に比べ傷跡や油汚れの影響を受けにくいうえ、認証スピードが速く精度も高い。一方、3D顔認証は3Dカメラで人の顔の画像を取得し、スマートロックに登録済みの顔情報と比較し、両者が合致すれば自動で解錠する。コロナ禍ではありがたいタッチレス仕様だ。

昨年のネット通販セール「双11(ダブルイレブン)」では、アリババ傘下のECモール「天猫(Tmall)」とECモール「京東(JDドットコム)」でスマートロックの販売台数1位が「凱迪仕(Kaadas)」だった。同社の人気商品「K20 Pro Max」は3D顔認証方式で、撮影や録画機能を備えている。しかも業界で初めてテンセント(騰訊控股)傘下「テンセントクラウド」のIoT Video機能を使用している。アプリをダウンロードする必要がなくWeChatミニプログラムを使えば解錠できる。また、凱迪仕は早くからグローバル戦略を展開すると発表し、すでに北米、東南アジア、中東などを開拓している。

ハイエンドスマートロックブランドの「德施曼(DESSMANN)」は2022年4月、完全自動スマートロック「Q50」に最先端の3D顔認証モジュールや撮影・録画機能を導入し、偽造映像を使った侵入行為を識別できるようにしたと発表。新しいディスプレイ埋め込み型指紋認証機能も魅力だ。

スマートロック市場で最大のシェアを誇るスマホ・IoT家電大手「シャオミ(小米、Xiaomi)」は、コストパフォーマンスとAIoT(AI+IoT)エコシステムが強みだ。シャオミで最も売れ行きが良い製品の価格は1000~1500元(約19000~29000円)に集中し、凱迪仕や独施曼より安い。AIoT周りのエコシステムのおかげで、シャオミのスマートロック製品は業界標準装備である暗証番号や指紋認証のほか、シャオミのスマートウォッチ、スマホの近距離無線通信規格NFC)やBluetoothなどさまざまな解錠方法に対応する。このほか、デバイス管理アプリ「Mi Home(米家)」を使えば遠隔監視をしたりスマートロックの利用記録を確認したりできる。

さらにIT大手ファーウェイも参入した。スマートホームのエコシステムの充実を図り、ファーウェイは22年3月に同社独自のOS「HarmonyOS(鴻蒙OS)」 を世界初搭載したスマートロックを発表した。AIによる指紋解錠方式と3D顔認証方式に撮影・録画機能を備えた2つのタイプがある。

この2タイプのスマートロックは共にHarmonyOS 、分散型ドアスコープカメラを採用し、スマートホームと連動する。スマートロックに設置されたスクリーンのほか、ファーウェイのスマートテレビなどスクリーン機器を使って玄関外の様子を確認でき、さらにはスマホを使って遠隔で来客と会話をすることもできる。ファーウェイのスマートロックは強いブランド力、技術力、さまざまなシーンに対応したエコシステムを背景に、参入してわずか3カ月後の2022年6月にはオンライン販売台数トップ10ブランドに入った。

スマートロックという巨大なパイをめぐる企業間の競争が激しさを増す一方、多くの課題も存在する。現在多くの製品はネット接続が困難、充電が面倒、ひいては突然フリーズして利用者が屋内に閉じ込められるあるいは屋外に締め出されるなど、トラブルが実に多い。より多くの消費者に自発的にスマートロック市場のアップグレードに寄与してもらうには、製品の品質、ユーザー体験やサービスの向上が必要だ。

作者:WeChat公式アカウント「袁国宝(ID:yuanguobao1982)」

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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