中国スタートアップ、AI活用したバーチャル従業員 月額制で提供

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AI(人工知能)は目下のテクノロジー分野で注目の的となっており、業界は再び急成長フェーズに入った。現在、市場に出回るAIのアプリケーションは大きく分けて4種類。大規模言語モデル(LLM)を駆使したチャットボット「Chat GPT」に代表されるクローズドソースAPI、テキストを入力するだけで描画できる画像生成AI「Stable Diffusion」に代表されるオープンソースAPI、同じく画像生成AI「Midjourney」に代表される独自開発アプリ、コーディング支援ツール「GitHub Copilot」に代表されるAIプラグインだ。

2021年に設立された中国スタートアップ企業「得時智能(TimeHolder Artificial Intelligence)」。同社の創業者・呂海氏は「大規模言語モデルや画像生成モデルが広く一般に知られるようになったのは、世界中で長い時間をかけてAIの開発に取り組んできた成果であり、AIが人間の知能と近いレベルで特定のタスクをこなせるようになったことでAIやバーチャルヒューマンの活用規模が拡大し、市場化や標準化に向かっていることの現れだ。得時智能はこれらの優れたAIの能力を垂直統合してサービスを提供する。モデルの自律化とユーザー端末向けのアプリをマッチングし、さまざまなサービスのシナリオに応じてカスタマイズされた『バーチャルスタッフ』のリース事業を展開している」と述べている。

既存のAIやバーチャルヒューマン関連の技術ロードマップとはやや異なり、得時智能はすでに設立初期から以下の2つの方向性で戦略を組み立ててきた。

1つ目は「最大限の垂直統合」だ。ある特定の能力に特化するのではなく、人を模したオペレーション能力や視覚機能、記憶システムに加え、独自開発したクラウド上のアルゴリズム、AI生成コンテンツ(AIGC)、エンドユーザー用アプリなどを全面的に駆使してバーチャルスタッフを構築し、人の業務スキルを代替する企業向けサービスを実現した。

2つ目は「最大限のカスタマイズ」だ。得時智能のすべてのバーチャルヒューマンは大規模モデルとは異なりそれぞれが個別の「経歴」を持っているため、独自の意思決定を行い、「百人百様」の個性を持っている。生成過程を標準化し知識のノードをスピーディーに複製できる能力を用いて、自力で意思決定ができるバーチャルヒューマンを数多く生み出している。

同社のバーチャルヒューマンが持つ大脳は、開発の過程で数百もの訓練済み知識モデルを獲得し、さまざまなサービス提供先(各種インターネットプラットフォーム)でインタラクションを重ねてきている。間断なく自発的学習を続け、新たな知識を得て、クラウド上に設けられた知識やデータのノードライブラリーに格納していくのだ。今年2月時点で、得時智能のバーチャルヒューマン大脳システムには200万以上のノードが収録され、サービス提供先が増えるにつれ拡充されていくため、年末までに数億を突破すると見込まれている。

画像出典:得時智能のバーチャルヒューマン大脳プラットフォーム「Intelligent Holder」

「我々は『バーチャルスタッフ研修センター』も設立して、多業種に対応できる技能研修を実施している。彼らが業務を通じて取得した知識は知識全体の75%以上を占めている。つまり、サービスを提供する顧客が増えれば増えるほど、新たに誕生するバーチャルスタッフの持つ知識の総量が増え、複雑さでも幾何学的成長を見せる」。呂氏によると、人が一つの物事を分析する時、これまでに積み上げてきた知識のほかに、経験に照らし合わせたり、事物を取り巻くあらゆる情報を反映させたりする能力は、実務に携わるバーチャルスタッフにも同様に求められる。

事業モデルに関しては、バーチャルスタッフを月極めリースで顧客(主にブランドやゲーム、アプリ系など)に提供している。自主的に意思決定ができるバーチャルスタッフは5~7つの職位を兼任できるため、生産性はヒトの数倍になる。例えばショートムービーコンテンツを複数の国・地域でローカライズさせる業務の場合、オリジナルコンテンツの制作、リリース、プロモーション、ROI(費用対効果)の試算、ユーザーデータや競合データの観測、ターゲットユーザーとのコミュニケーション、運営レポート作成、リアルタイムのトレンド分析などを兼務できる。

バーチャルスタッフは誕生した瞬間から顧客が求める市場環境に沿って生成されているため、大多数の中国企業が海外進出の際にペインポイントとするローカライズや言語、現地トレンドのリアルタイム追跡などを解決できる。

昨年10月からの数カ月で数十社の顧客にサービスを提供し、受注額は1000万元(約1億9300万円)に迫った。発注元は各分野でトップクラスにランクされる企業だ。契約を決めた新規顧客は2月だけでも20社を超え、その業種はコスメ、ファッションブランド、エネルギー貯蔵、消費者向け電子機器、グローバル配信ゲームなど多岐にわたる。今年は数百業種で上位10位圏内の企業をターゲットとし、数億元(数十億〜百数十億円)の売り上げを目指すという。

(翻訳・山下にか)

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