欧米の警察も採用、中国発・高性能の中大型電動バイクが世界へ

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

日経スタートアップ注目記事

欧米の警察も採用、中国発・高性能の中大型電動バイクが世界へ

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

中国の新エネルギー車産業が近年業界内外から大きな注目を集め、大量の資金が流れ込んでいる。新エネルギー関連の産業チェーンもますます整ってきた。こうしたなか、オートバイも電動化の時代を迎えている。現在、中国では電動バイクを手がけるスタートアップが数多く誕生し、それに伴う資金調達も頻繁に行われるようになった。

2017年6月に設立された「科蘿交通(KEYROAD Transportation)」は、中大型の電動バイクを開発している。すでに電動バイク4車種を発表し、全世界で販売を進めている。

中国でよく目にする電動バイクの多くは電動自転車から進化したものだ。しかしオートバイを電動化した本当の電動バイクは車体が大きく、スピードが出るもので、関係する製品基準も異なる。科蘿交通創業者の戴傑CEOは、電動バイクは時速100km程度で走行でき、サイズや積載量、走行性、パワーなどが全て高性能オートバイに準ずるものだと考える。このため、同社が発売している製品はいずれも最高時速が100kmを超えている。

走行性能については、セントラルモーターを開発して車体の重量バランスを均一にし、高速走行時の操作性や安定性を向上させた。またセントラルモーターとギアボックスを一つに統合することで、カウンターウェイトを減らして大きなトルクを供給できるようになり、より経済的でエネルギー効率の高いバイクを作り上げている。2021年に発表した高電圧プラットフォーム「KT25KW」は、セントラルモーターの採用で車体重量を30%減らすことに成功し、エネルギー効率は98%に達した。さらに同社の電動バイク全車種に車載グレードのモーター制御装置、ABSブレーキシステム、バッテリーモジュールを搭載している。

現時点では、シティーオフロードバイク「ES1」、デリバリーなどに適した業務用バイク「TS1」、日常使いの「CS1」、フラッグシップモデル「RS1」を展開している。このうち高性能を誇る「RS1」は最高時速130km、航続距離は最大200kmで、停止状態からわずか5秒で時速100kmに達する。

科蘿交通の公式サイトより

欧米などでガソリンバイクの規制が徐々に進むにつれ、海外の二輪車市場ではその将来性に目を付けた電動バイクメーカーが数多く参入してきている。グローバル企業である科蘿交通は創業時から、バイク文化が根強く、ユーザー層が厚い欧州や米国、アフリカなどをターゲット市場にしてきた。すでに欧州、米国、オーストラリアなどで車体生産および製品使用に関わる参入許可を取得している。

「ES1」は米国とスペインで警察バイクとして使用されている。中国製の大型バイクが採用されたのは初めてのことだ。アラブ首長国連邦やシンガポールにも軍用にいくらか納入されたほか、インドネシアやタイの軍隊では「ES1」の導入に向けて最終的な手続きが進んでいる。

国の政策やマーケットの違いにより、海外のバイク文化にもそれぞれの特徴があり、バイクに対するニーズも異なると、戴CEOは語る。このため、科蘿交通では消費者のニーズを出発点として製品開発を進めている。欧米ではハイエンドモデルを好む消費者が多く、販売価格7000ドル(約94万円)ほどの「ES1」を34カ国で販売している。イタリアでは「ES1」が民間用バイクの登録数でトップに立った。他方、アフリカなどバイクタクシー産業が発達した地域には、そのニーズに特化した業務用バイク「TS1」を開発した。すでにアフリカ4カ国から受注し、納入も始まっている。

さまざまな充電ニーズに応えられるよう、同社は家庭用充電器と充電スタンドの2種類のソリューションを用意しており、各国の電圧に対応した充電器を提供している。

販売ネットワークは全世界に広がっている。欧州や北米、アフリカに運営センターを設置し、直営方式と販売代理の両面から、販売規模やアフターサービスの拡大を図っている。科蘿交通の子会社であるドイツ「Tinbot」は、今年中に倉庫とオフィスの面積を3倍に増やして、欧州における科蘿交通の販売センター、物流サービスセンター、アフターサービスセンターとなり、3年以内に販売代理店を現在の200店から800店に増やすことを目指している。さらに西アフリカの提携パートナーの組立ライン2本で間もなく出荷が始まることになっており、ここからアフリカ中央部、東部、南部、北部へと徐々に勢力を拡大する上での重要な戦略拠点になると見込まれている。目指すのは、アフリカの携帯電話市場で圧倒的なシェアを握る中国メーカー「伝音(Transsion)」並みの成功だ。

目下、「ES1」の年間出荷台数は1000台に達している。アフリカ市場向けの「TS1」は出荷が急拡大しており、「CS1」はパイロット生産を経て量産に入っている。2025年には年間出荷台数が2万台を超え、売上高は4億元(約78億円)を突破する見込みだという。

(翻訳・畠中裕子)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録