中国電動二輪車大手の「雅迪」、ナトリウムイオン電池搭載を大規模に推進

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中国の大手電動二輪車メーカー(Yadea Group Holdings)傘下の「雅迪科技(Yadea Technology)」と電池メーカーの「華宇新能源(Huayu Xinnengyuan)」は今年3月、ナトリウムイオン電池事業を手掛ける「華宇鈉電」を共同で設立した。同時に、華宇鈉電の第1世代ナトリウムイオン電池「極鈉1号」およびそれを搭載する電動二輪車「雅迪極鈉S9」を発表した。エネルギーソリューションを手掛ける南都電源(Narada Power)の子会社だった華宇新能源は、2022年に1億3350万元(約25億円)で株式を取得した雅迪集団の完全子会社となっている。

ナトリウムイオン電池は鉛蓄電池やリチウムイオン電池に比べ、安全性、エネルギー密度、低温性能、出力性能が高く、総合的なバランスに優れている。また炭酸リチウムの価格が上昇する中、ナトリウムイオン電池にはコスト面でも優位性がある。極鈉1号は正極に層状酸化物、負極にハードカーボンを採用し、鈉創新能源(Natrium Energy)と貝特瑞(BTR)が材料サプライヤーとなっている。

一般的にナトリウムイオン電池は層状酸化物、プルシアンブルー類、ポリアニオン化合物の3つが正極材料の候補となる。うち層状酸化物は比容量が大きいなどの特長がある一方、構造とサイクルの安定性に劣る。ナトリウムイオン電池は上場企業の寧徳時代(CATL)も開発している。

極鈉1号はエネルギー密度が145Wh/kg以上、サイクル寿命が3000回で、最短10分で80%の充電が可能。また零下40度の低温環境下でも容量維持率は85%を超えるという。

二輪車の製造において、雅迪科技と華宇新能源は車両と電池の開発を並行して進め、電池、モーター、電子制御、充電器の中核システムを構築することで車載電池の性能を最大限に発揮させることを目指した。

雅迪科技の執行役、王家中氏は「今年後半にはナトリウムイオン電池の車両搭載が大規模に進むだろう」と話した。こうなれば同社は、川上のエネルギー電池から川下の完成車に至るナトリウムイオン技術のエコシステム全体をカバーする電動二輪車ブランドとなる。

雅迪集団の決算書によると、2022年上半期(1~6月)の売上高は前年同期比13.5%増の140億5000万元(約2670億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は同54.4%増の9億元(約173億円)だった。

(翻訳・大谷晶洋)

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