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美容整形。それは今や「大学入試が終わったら」やってみたいことの一つだ。旅行、運転免許の取得などと同レベルで扱われるトピックスとなった。受験が終わると「整形デビュー」を果たす00後(2000年以降生まれの若者)がますます増え、話題を集めている。
このシーズンに合わせ、美容医療機関はさまざまな整形キャンペーンを打ち出す。美容クリニックにとって、この初々しい少女たちは最高の上客といえるかもしれない。
上記の二重整形手術の年齢層分布に関するグラフで、00後(18~19歳)の手術件数は、26~30歳の90後(1990年以降生まれの若者)に迫る勢いとなっている。
二重手術は通常数千元(数万円)から施術が可能で、その敷居の低さから美容整形の入口また整形の大衆化や普及の手段となっている。別のデータによると、2018年の整形手術件数の7割以上が90後および00後の若者によるものだった。
深圳市福田区にある某整形クリニックでは、午後6時半になっても来院者の足が途絶えない。
1993年生まれの整形カウンセラー琦琦は、鏡をまじまじと見つめる顧客にこう語りかけた。「1000元(約1万6000円)の美容クリームとシワ取り注射、コスパがいいのはどちらか一目瞭然ですね」琦琦は、社会の美容医療に対する見方はとうの昔に変わったと考えている。「数年前までは家族に内緒で来ていた20歳前後の若いお客様も、今では保護者に付き添われるどころか、むしろ連れてこられることもあります」
とはいえ、自ら子供に整形させる保護者は少数派であり、若いうちから顔にメスを入れることに反対する両親を説得できる若者は多くない。ここで整形のために自身で資金を工面する必要が生じる。
こうして登場したのが整形ローンである。
頭金不要の整形ローン
ほとんどの場合、ローンは身分証明書に加えアリババグループの個人信用スコア「芝麻信用(セサミ・クレジット)」が600点以上であれば申請でき、審査にはわずか10分しかかからない。クリニックでカウンセリングを行い、整形する部位を決め、その場でローンを申請すればすぐに施術できてしまう。
整形ローンを取り扱う金融機関は一時1000社を超えたが、巨額のローン詐欺事件が発覚してからは淘汰が進み、現在はアリババグループ傘下の金融サービス「アント・フィナンシャル(螞蟻金服)」が手掛ける「花唄(Ant Credit Pay)」など約30社まで減少した。
消費のハードルがますます下がったことで、手っ取り早く美を手に入れたい若い女性たちが病院に殺到している。だが、業界関係者は消費者の低年齢化に今も懸念を示す。「自身の美的価値観が十分に成熟していないうちは整形すべきでない。お金も失い、辛い思いをするだけだ」あるユーザーはこう語っている。
美容医療アプリの登場
現在、「新氧(SoYoung)」や「更美(igengmei.com)」などの美容医療情報アプリが「美の伝道師」となりつつある。これらのアプリはWeChat(ウィーチャット)でも公式アカウントを設けており、芸能人の整形を分析する執筆スタイルで各記事10万PV以上を叩き出している。
アプリ内には体験者の日記ページもあり、閲覧者はコメントが残せる仕組みだ。
こうした日記の蓄積および消費者からの評価は、クリニックとアプリ運営側にとって最も重要な資産だ。その前提はデータの真実性と信頼性なわけだが、過去には偽造日記や記事広告の疑いも浮上している。このほか、ネガティブなコメントや日記は消されるという暗黙のルールも明らかになりつつある。
クリニックは検索順位あるいはランキングで上位に表示されることを狙い必死に広告を掲載しており、こうして美容医療アプリがマーケティングの新たな戦場となっている。あるデータによると、整形クリニックによるプラットフォームへの投資額の伸び率は、2014年の0.9%が昨年は7.0%に急上昇し、2023年には25.6%に達する見込みだという。
「整形心理作戦」の火ぶたは切って落とされた。整形情報アプリを通じ、多くの若い女性が今日もまた次々とクリニックに送り込まれている。
(翻訳・神部明果)
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