中国CATL、革新的「凝聚態電池」を発表。エネルギー密度は大幅向上、有人電動航空機への活用も視野

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中国CATL、革新的「凝聚態電池」を発表。エネルギー密度は大幅向上、有人電動航空機への活用も視野

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中国最大の電気自動車(EV)用バッテリーメーカー「CATL(寧徳時代)」が、上海モーターショーで革新的な「凝聚態電池(Condensed Battery)」を発表した。単体の重量エネルギー密度は500Wh/kgに達し、高エネルギー密度で安全性も高いという。自動車用の凝聚態電池は今年中に量産体制に入る。

CATLの呉凱チーフサイエンティストは「これは材料と材料体系を刷新した最新の成果であり、次のイノベーションを進めるうえでの一里塚となる。凝聚態電池は安全性や信頼性が高く、サイクル寿命が長いなどの特徴があり、速やかに量産できる」と話した。ただCATLがEV市場で今年量産するであろう凝聚態電池がどのくらいのエネルギー密度になるのかは明らかにしなかった。

凝聚態電池はEVのほか電動航空機市場(航空機向け凝聚態電池)にも照準を当てている。呉氏は「民用の有人電動航空機向けに共同開発を進めており、テストを実施して航空レベルの安全と品質基準を満たす」と話す。

通常の液体リチウムイオン電池の電解液は100%液体の状態だが、凝聚態電池は半固体化したコロイド状態となっている。電解液に粘性があり流動性が低いため、駆動用バッテリー全体の安全性を高め、従来の液体リチウムイオン電池が抱える熱暴走のリスクを回避できる。安全性が高いことから高エネルギー密度の正極材料、新型負極、セパレーターなどの高エネルギー部品の大量使用が可能になり、電池セルのエネルギー密度は既存の液体電池よりも大幅に高くなる。エネルギー密度が300Wh/kg、350Wh/kgと向上するにしたがって、同じサイズの電池パックでは自動車の航続距離も著しく伸びた。将来的には新エネルギー車の航続距離が1000キロを超えることが普通になるだろう。(注:現段階ではCATL、「億緯鋰能(EVE Energy)」、「蜂巣能源科技(SVOLT Energy Technology)」、「欣旺達電子(Sunwoda Electronic、サンオーダ)」、「国軒高科(Guoxuan High-Tech)」などがすでに電池セルおよびシステムの刷新により航続距離1000キロの電池を発表している)

全固体電池に比べ、半固体電池とも言える凝聚態電池は、より早く量産できるうえ、エネルギー密度と安全性が高く、既存の液体電池よりも性能が向上している。このため凝聚態電池は今後数年間の電池技術競争のなかで主要な形態の一つになると予想される。

実際、CATL以外にも今回のモーターショーで蜂巣能源、サンオーダなど多くの企業が半固体電池の技術や製品の開発状況を発表している。このほか、国軒高科、億緯鋰能、「孚能科技(Farasis Energy)」などのバッテリーメーカーも半固体電池の開発で進展があった。

CATLはモーターショーの期間中に、リチウム電池産業で最大規模のカーボンニュートラル計画を発表した。2025年までにコア事業で、35年までにバリューチェーンでカーボンニュートラルを実現するという。言い換えると、CATLは25年までにバッテリー工場をすべて二酸化炭素排出ゼロ工場にし、製造業で先駆けてカーボンニュートラルを達成することになる。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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