中国の3Dプリンター産業、年成長率は世界平均を大きく上回る40%

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1986年に世界初の3Dプリンターが登場して以来、三次元造形はその可塑性の高さや材料ロスの少なさなどから注目を受け続けてきた。一方で、同分野で大規模な成長を遂げた企業はいまだ存在しない。

中国国内の3Dプリンティング産業や、それを取り巻く投資環境についてまとめた。

産業を取り巻く現状

3Dプリンティング産業の現状をまとめると、以下の5点が挙げられる。

1)主な事業形態は「プリンター製造」「材料加工」「導入支援サービス」

産業チェーンの上流にあるのは、プリンター部品や原材料のサプライヤーだ。これらの企業は3Dプリンティング分野以外の企業とも取引を行っている。中流にはソフトウェアやスキャナー関連の企業がある。ソフトウェアはプリンター機器の付帯装備として、スキャナーは医療画像生成など特定の分野に需要がある。下流には3Dプリンティング技術を各産業で活用するための導入支援サービス企業がある。

2)グローバル市場は年21%成長、中でも金属3Dプリンティング分野と中国市場が突出
3Dプリンターなどの三次元造形装置に関する市場動向を調査した「ウォーラーズレポート(Wohlers Reports)」によると、2018年の3Dプリンティング市場における総生産額は約90億ドル(約9700億円)だった。CAGR(年平均成長率)を21%として計算すると、2025年までに300億ドル(約3兆2000億円)規模にまで成長するとみられている。中でも中国市場のCAGRは40%に迫り、世界平均を大幅に上回っている。分野別にみると、金属3Dプリンティング分野のCAGRが約80%と群を抜いている。

3)市場需要の80%を占める五大分野
3Dプリンティング技術が活用されている五大分野は、製造・航空宇宙・自動車・コンシューマー製品・医療で、それぞれ需要の20%、19%、16%、12%、11%を占め、全体の80%近くを占める。

4)過半数のシェアを握るのは世界の上位9社
同分野で世界のトップを占める9社の出荷量は市場全体の過半数に達する。

5)企業の大多数は特定分野に特化
原材料や求められる技術の違いにより、3Dプリンティングに携わる企業の多くが特定の応用分野に特化した事業を展開している。米「Stratasys(ストラタシス)」のような一部の企業のみが、複数の分野で技術を応用している。

3Dプリンティングの課題と価値

産業全体には勢いがあるものの、複数のトップ企業の財務状況を見ると、大部分の企業が赤字であることがうかがわれる。その最大の要因はコストだ。

コストの主な内訳は、開発費、設備の減価償却費、人件費、原材料費だ。これらは製造量と効率を引き上げることでスリム化していくしかないだろう。

一方、3Dプリンティング技術がもたらす価値は、「技術の革新」「製造日数の短縮」に二分される。これらのメリットによって、軍事、航空宇宙などの重要産業にいち早く技術が取り入れられているほか、製造現場では、従来と異なり金型が不要となったことで、サンプルや試作品の製作、小ロット生産やカスタマイズ生産などが容易となり、時間や費用の削減につながっている。

投資はプリンター企業へ集中

3Dプリンティング業界専門メディア「南極熊(nanjixiong.com)」の統計によると、2018年は全世界の3Dプリンティング産業に対して203億元(約3200億円)の資金が投じられた。うち、対中投資額は18億元(約300億円)以上で、前年の約2倍に上っている。同年、1億元(約16億円)以上の出資を受けた中国企業は「黒格科技」1社のみ。IDGキャピタルがシリーズAで主導した3億2500万元(約50億円)の案件だ。

中国の3Dプリンティング業界の資金調達案件では、出資先は3Dプリンター製造企業が最も多く、2018年には合計17件で、全体の約57%を占めている。また、技術面では金属3Dプリンティング、SLA方式(光造形法)3Dプリンティング、FDM方式(熱溶解積層法)3Dプリンティングに投資家の注目が集まっている。応用分野では医療分野が活況だ。

今年上半期にも、同業界には多くの資金が集まっている。プリンター製造業のシリーズA、プレシリーズAが調達案件の多くを占める。また、「鉑力特増材技術(BRIGHT LAZER TECHNOLOGIES)」は上海証券取引所で7月22日に取引を開始したハイテク企業向け市場「科創板」への上場承認を先月末に得ており、同分野としては初の科創板上場企業となるという。
(翻訳・愛玉)

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