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建設ロボットの開発と製造を手がける中国企業「領鵲科技(Lingque Technology)」が、シリーズA+で1000万ドル(約14億円)近くを調達した。出資はXVCが主導し、既存株主のAtypical Venturesも参加した。
2021年に設立された領鵲科技は内装工事にフォーカスしている。創業者とコアメンバーは、建設ロボットの博智林(Bright Dream Robotics)、ロボット掃除機メーカーのエコバックス(科沃斯)、建設機械レンタルの衆能聯合(Zhongneng United)などで開発担当や経営幹部を務めてきた。領鵲科技の建設ロボットは、内装分野の塗装や床工事で高精度かつ全自動の施工ソリューションを提供する。うちパテ処理・エマルジョン塗装両用ロボットと床研磨ロボットが実用化されており、22年の施工面積は100万平方メートルに上ったという。
内装工事は段階が多く工程が複雑なため、手作業で施工の品質と効率を確保するのが難しい。創業者の張志祥CEOは、同社の建設ロボットが「全自動施工」と「複雑なシーンへの対応」をコア・バリューにしていると語る。
全自動施工では、施工タスク計画から位置認識、意思決定、自律移動システム、工程までをフルカバーした技術ソリューションを提供する。具体的には、3次元点群測量に基づく全自動タスク計画システム、独自の高精度位置決めアルゴリズム、独自のサスペンションシステムとホイール構造、能動的外乱除去制御(ADRC)ベースのシャーシ制御アルゴリズムなどが含まれる。
オペレーターは施工現場でタブレットPCをシステムに接続し、タスクを選択してスタートボタンを押すだけで、ロボットが同一フロア内の全作業を自動で完遂してくれる。人手を要するのは異なるフロアへの移動、材料の投入、バッテリー交換などに限られる。
この1年で新製品、技術、商用化などの面において大きな進展があった。主力製品のパテ処理・エマルジョン塗装両用ロボットを第2世代にアップグレードすると共に、2つ目の製品となる床研磨ロボットも2022年10月に商用化し、製品ポートフォリオを拡大した。
第2世代のパテ処理・エマルジョン塗装両用ロボット最大の目玉は移動式吹き付け工法と小型化だ。シャーシ、アーム、昇降幅を正確に制御することで、移動しながら吹き付けできるようになった。第1世代のロボットは静止時にしか吹き付けできなかった。
この技術には高い位置決め精度、移動精度、連続作業の安定性が求められる。ロボットが移動しながら作業するには、リアルタイムで軌道の誤差を10ミリ以内に収める必要があり、要求精度は大きく上がる。
技術の向上は独自のアルゴリズムによって実現した。同社は膨大なテストに基づく工程パラメータのライブラリを有しており、間取りや壁の材質、検査の基準など建設現場のさまざまな工程と特性に対応している。
張CEOによると、1人が機械1台で行えるパテ処理の面積は従来の1日当たり500平方メートルから1000平方メートルに、塗装は1日当たり700平方メートルから1500平方メートルに倍増したという。
製品サイズは第1世代が960ミリ×760ミリ、第2世代が760ミリ×760ミリだ。第2世代はシャーシ、材料供給、ポンプ、リフトなどの機構をモジュール化し、全体的にコンパクトにすることで走行性能を高めた。
「建設現場の通路幅は最も狭いところで80センチほどのため、10%ほどの部屋には第1世代のロボットは入ることができないだろう。小型になった第2世代のロボットなら基本的に中国の建築基準を満たす全ての部屋に入れる」と張CEOは説明した。
今後の建設ロボットは施工、レンタル、販売という3つの段階を経ながら発展していくと、張CEOは考える。施工サービスの提供とレンタルは製品が成熟する途中のプロセスで、将来的には製品販売が主要な収益源になる見通しだ。
同社は2022年の施工実績に続き、今年1月に開始したレンタルサービスでもすでに受注を獲得した。次は製品販売を進める方針で、来年の販売台数は100台以上を見込み、ゆくゆくは海外市場の開拓も計画している。
(翻訳・大谷晶洋)
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