eVTOL飛行制御システム、拡大見込む。中国企業、商用化に向けて開発急ぐ

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eVTOL飛行制御システム、中国企業が商用化に向けて開発急ぐ

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eVTOL(電動垂直離着陸機)の飛行制御システムを開発する中国企業「辺界智控(Boundary.AI)」がプレシリーズAで数千万元(数億〜十数億円)を調達した。出資を主導した普華資本(Puhua Capital)のほか、既存株主のセコイア・キャピタル・チャイナ・シードファンドなど多数が出資に参加した。

辺界智控は2020年に設立され、中国で最も早くeVTOLの飛行制御、ナビゲーション、自動操縦システムの開発に着手したサプライヤーの1社だ。コアメンバーが約10年にわたって蓄積してきた開発経験を下敷きに、インテリジェント化・冗長化された飛行制御システムの開発と製品化を2年かけて実現した。同社の「冗長度3(R3)飛行制御システム」を初めて採用した完成機メーカーは、離陸重量2トンを超えるeVTOLの初飛行に成功している。その他の顧客企業も相次いで、同社の飛行制御システムの搭載を進めている。

画像提供:辺界智控

辺界智控を創業した翁海敏CEOは「eVTOLは一般的な機種と比べ、飛行制御システムがより複雑な一方、これまでと同様の安全性が求められる。さらに、以前は民間機の飛行制御システムのほとんどが海外サプライヤーからの輸入品だった。産業全体も創成期のため、新興の完成機メーカーは革新的な機種を十分には理解していない」と述べる。

これらの問題を解決するため、辺界智控は2年かけてさまざまなバックグラウンドを持つメンバーを集め、組織を拡充してきた。民間航空・自動車・産業用制御システム(ICS)・ドローン・インターネットなどの分野から人材を引き入れ、ソフトウェアからハードウェアに至るまでトータルに実現できる能力を高めた。また完成機メーカー以外に、航空電子システム開発「昂際航電(AVIAGE SYSTEMS)」、フライトシミュレーションシステム開発「安勝(ACCEL)」などのパートナーとも提携関係を築き、相互に成長を支え合っている。

技術を確立した現在、重点的に取り組んでいるのが耐空証明だ。限定的なシナリオから汎用的なシナリオへ、開発から商用化へ移行するためのキーポイントとなる部分だ。しかし、証明取得や検査は一般的に煩雑で長い過程を経る。翁CEOは、より多くの人的資源を投入するほか、パートナーを見つけるなどしてよりスピーディーにこのプロセスを済ませたいと述べる。

川下の完成機メーカーが商用化を加速させれば、飛行制御システムの需要も伸びる。中国国内の主要完成機メーカーは段階的な成果を続々と公開しており、各製品が数年以内に相次いで商用利用を開始する見込みも出てきた。さらに、米Joby Aviation、米Archer Aviation、独Volocopterなど海外のeVTOLメーカーは向こう3年以内に都市部で有人飛行の運営を開始すると発表している。「エアタクシー」が短期間で目覚ましい利益を出すことは難しいが、主要メーカーが先立って耐空証明を取得し商用運航を開始すれば、他メーカーも追随するだろう。一方で、産業チェーンの各所で競争が本格化していくことも予想される。

競争をどう勝ち抜いていくかについて、翁CEOは「組織の技術基盤、開発プロジェクトに携わった経験、成長に伴走してくれた顧客が、優れた製品を生み出すカギとなる。市場の天井はまだ先だと確信はしているが、いつ爆発的な成長を始めるかは定かではないため、自身のすべきことに着実に取り組んでいくことがやはり大事だと考える」と述べている。

辺界智控は現在、従来型の航空機メーカーや自動車メーカー、新興eVTOLメーカーなどさまざまなジャンルのメーカーと提携関係を築いている。今年は製品からの収益も相次いで上がってくる見込みだ。今後は製品ラインナップを拡充するほか、eVTOLプロジェクトを通じて作り上げた製品やシステム力をベースに、一般航空機の電動化や物流用ドローンなどより多くの機種や応用シナリオへ水平展開していく。また、現在はセンシング、ナビゲーション、航路計画、意思決定から成る自動操縦機能を構築中だという。

(翻訳・山下にか)

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