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電気自動車(EV)大手のテスラは上海市に大型蓄電システム「メガパック(Megapack)」を生産する工場を建設し、車載電池大手の寧徳時代(CATL)などから電池の供給を受ける計画を明らかにした。テスラのエネルギー貯蔵システムは昨年の出荷量が6.5ギガワット時に達し、第4四半期(10~12月)だけで2.5ギガワット時に上った。
EV事業でテスラ最大のライバル、中国の比亜迪(BYD)も2020年に送電網レベルの蓄電システムを発表し、設備容量は昨年半ば時点で累計3ギガワット時を超えた。
BYDは5月に開催された国際太陽光発電・スマートエネルギー大会(SNEC)で、ブレードバッテリーを統合した初のモジュール型エネルギー貯蔵システム「魔方(MC Cube)」を発表している。
魔方は車載電池のモジュールレスモデル「Cell to Pack」のコンセプトを受け継ぐ「Cell to System」を採用。超薄型ブレードセルをシステムに直接統合することで部品数を36%減らし、ラックをそのまま電池パックのケースにできるため、スペース利用効率を2倍に向上させた。柔軟なモジュール設計によってラック1台でも使え、設置面積も小さく、スペースに制約がある場所でも使用できる。また、6~10台のセットや複数セットの編成でも使用でき、拡張性が高く、産業分野の顧客のニーズに応じて発電所レベルの大規模な蓄電システムを迅速に構築できるほか、容量の増減も随時可能だ。
魔方の発表は、中国の電池技術サプライチェーン業界、特にエネルギー貯蔵分野の競争を加速する画期的な出来事と言えるだろう。同社によると、魔方は今年1月から出荷を開始しており、出荷量は早くも累計1ギガワット時を超えたという。
新エネルギー車業界がレッドオーシャンとなり、車載電池市場のプレイヤーによる競争が激化する中、電池業界もエネルギー貯蔵事業という後半戦を迎えたことは明らかだ。
大型蓄電システムには主に2つの意義がある。1つ目は送電網の安定と停電の予防。2つ目は既存の送電網インフラに最低限の変更を加えるだけでクリーンエネルギーの利用効率を高め、二酸化炭素排出削減目標の達成を後押しすることだ。
複数のメディアによると、テスラは独ベルリンのギガファクトリーで、BYDのリン酸鉄リチウムブレードバッテリーを搭載する電動SUV「モデルY」のテスト車両を生産したという。
BYDとテスラという新エネルギー分野の世界的な二大企業が、新たな「ライバル同士の協調関係」を展開している。
作者:品駕(WeChat公式ID:Ping-Drive)
(翻訳・大谷晶洋)
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