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RISC-Vアーキテクチャ採用のチップを開発する「北京奕斯偉計算技術(Beijing ESWIN Computing Technology )」(以下、奕斯偉計算)がこのほど、シリーズDで30億元(約590億円)以上を調達した。金融街資本(Financial Street Capital)が出資を主導し、亦荘国投(E-Town Capital)など十数社が出資に参加した。
RISC-Vは縮小命令セットコンピューター(Reduced Instruction Set Computing、RISC)アーキテクチャに基づく命令セット(ISA)で、従来のISAの限界を克服し、コンピューターの性能やプログラム可能性を高めるために設計された。RISC-Vはコンパクト化、モジュール化、拡張性、高性能で低消費電力という特徴がある。またオープンソースという特性から、クラウドコンピューティングやAIがブームとなる中、企業の支持を集めている。
RISC-Vは近年急速に発展し、従来のアーキテクチャが30年かけて得た成果をわずか10年で達成した。x86とArmを抜いて、次のマーケットの覇権を握るとみられている。米調査会社Semico Researchの予想では、RISC-Vアーキテクチャを採用したチップの出荷個数は2025年に800億個を上回るという。しかし、RISC-Vのエコシステムはx86とARMほど成熟しておらず、IoTやウェアラブルなどの分野で利用されることが多い。コンピューターやスマホに搭載するプロセッサーは依然としてArnやx86のアーキテクチャが主流だ。
RISC-Vは世界でも創成期にある。中国企業も積極的に開発を進め、エコシステム構築ではトップクラスにあるため、国内メーカーは国産チップが急成長するチャンスと見ている。
奕斯偉計算のトップは「中国半導体ディスプレイ産業の父」と呼ばれる王東升氏だ。同社は2019年の設立以来、RISC-Vアーキテクチャを事業の中核に据え、ソフトウェアとハードウェアが一体となったフルスタックのRISC-Vプラットフォームを構築して、RISC-Vを中心とする次世代のコンピューター・アーキテクチャを採用したチップやソリューションを提供している。
ハードウェアでは同社は32ビットの組み込みプロセッサコアを開発し、自社開発した数十モデルのチップに採用している。64ビットのプロセッサコアもすでに検証を終え、マルチメディア、エッジコンピューティング、ウェアラブル端末などに利用されている。
ソフトウェアでは、RISC-Vのソフトウェアエコシステムにファームウェア、カーネル、基本OS、ツールチェーン、ミドルウェア、アプリケーションソフトなど様々なソフトウェアを提供し、エコシステムの構築に積極的に参加している。
このほか、奕斯偉計算はRISC-Vオープンソースソフトウェアのエコシステム構築にも意欲的に関わっており、2023年6月までにオープンソースコミュニティに正式に認められたパッチは60項目以上に上る。また、AOSP(Android オープンソースプロジェクト)、Chromium、GNU、OpenSBI、OP-TEE、QEMU などさまざまなオープンソースコミュニティのソースコードにも取り入れられている。
最高技術責任者の何寧博士は「弊社はずっとRISC-Vに関わる技術開発とイノベーションに注力し、同時にエコシステムの構築にも参画・貢献してきた。RISC-Vは閉鎖環境で孤軍奮闘するものではない。我々の技術はオープンソースエコシステムに受け入れられ、エコシステムと共に成長している。また、産業チェーンのパートナーと共にイノベーションを推進することで、より価値の高いRISC-Vのエコシステムを構築していくべきだ」と話した。
(36Kr Japan編集部)
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