中国、デジタル人民元の実証実験進む 2025年末までにエコシステム形成へ

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中国では現在、デジタル人民元の実証実験地域が2020年4月に第1陣として指定された広東省深圳市、江蘇省蘇州市、四川省成都市、河北省雄安新区の4地域から17省・直轄市の26地域に拡大し、導入場面も最初の「紅包(祝儀、お年玉)」の配布から消費や観光、医療、教育、行政事務など多くの分野に広がり、人々にとって身近な存在になりつつある。

中国人民銀行(中央銀行)深圳市中心支行は「深圳は約3年で、デジタル人民元の試験的な利用から日常的な利用へ、決済からスマート決済へ、商品から産業への『三つの飛躍』を実現した」と説明する。
 
深圳では23年6月末時点で、デジタル人民元決済に対応する店舗が210万店を超え、開設されたデジタル人民元ウォレット(電子財布)が年初比760万(26.5%)増の3594万に上った。導入場面も日常消費や費用・料金の支払い、交通、教育・医療、文化・スポーツ・観光、行政事務サービスなど六つの分野に及ぶ。
 
同支行はデジタル人民元のエコシステムの整備を進め、各分野・業界の導入場面を広げ、引き続きプリペイド方式の推進やサプライチェーン金融、深圳・香港の地域をまたぐ消費などの分野での導入を進める方針を示した。
 
今年に入り、デジタル人民元の導入場面はますます豊富になった。3月3日には雲南省が省内初のデジタル人民元による法人向けクロスボーダー決済業務を行った。同月末には四川省眉山財政局がデジタル人民元で公務員の給与を支給した。5月には江蘇省常熟市が公務員や事業機関、国有企業の職員を対象にデジタル人民元による給与全額の支払いを開始したほか、同月5日には北京銀行が初のデジタル人民元を使用した国家認証排出削減量(CCER)取引の決済を行った。
 
中国各地でデジタル人民元の実証実験に関する政策も相次ぎ発表された。山東省済南市は「済南市デジタル人民元実証実験実施計画」を打ち出し、2023年末までに同市の個人のデジタル人民元ウォレット数を400万に、法人向けデジタル人民元ウォレット数を5万に、デジタル人民元による取引額を40億元以上に引き上げるとした。2024年末までに同市の個人デジタル人民元ウォレット数を1千万に、法人向けデジタル人民元ウォレット数を20万に引き上げ、デジタル人民元による取引額が100億元を超える。
 
江蘇省も5月に「江蘇省工業・情報化分野のデジタル人民元実証実験実施計画」を発表し、省の工業・情報化システムや同分野の重点企業、産業パークでのデジタル人民元利用を普及させる。
 
投資銀行の中国国際金融(CICC)はリポートで、デジタル人民元は今年に入り、取引規模とエコシステム、利用場面の三つの面でいずれも急速な発展を遂げたとし、2023年末には導入場面がさらに大きく広がり、2025年末までには整備されたデジタル人民元のエコシステムを形成すると分析した。(新華社北京)

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