中国の巨大な電動二輪車市場に照準、IoT活用のスマート・バッテリー交換サービスが台頭

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中国の巨大な電動二輪車市場に照準、IoT活用のスマート・バッテリー交換サービスが台頭

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電動バイクや電動自転車向けバッテリー交換プラットフォーム「嘟嘟換電(Duduhuandian)」を運営する中国企業「嘟嘟物聯科技」が、シリーズAで5000万元(約10億円)を調達した。出資は電子機器メーカーの歩歩高(BBK)の共同創業者・段力平氏が主導し、バッテリーメーカーの星恒電源(Phylion)などが参加した。

2018年に設立された同社はモノのインターネット(IoT)に関わるソフトウエアおよびハードウエアの研究開発と設計、ブランドの運営を手がけている。嘟嘟換電は同社が21年に立ち上げたバッテリー交換サービスのブランドだ。

中国自転車協会の統計によると、中国の電動バイク保有台数は2022年に3億5000万台に達した。電動バイクの急速な普及に伴って無秩序な駐輪が目立ち、消防活動の妨げとなったり、交通事故の危険が増したりするなどの問題が目立つようになった。また乗る前に充電しておく必要があるが、充電場所や安全性、所要時間など大きな課題を抱えている。

創業者の廖志成氏によると、中国の一線・二線都市では屋外での充電が許可されていない上、駐輪場にある充電スポットの場所も限られているため、ユーザーが駐輪スペースを見つけられない、充電ができないといったことが起こりやすい。

嘟嘟換電はIoTを通じて電動バイク、バッテリー、バッテリー交換キャビネット、クラウドプラットフォーム、モバイルアプリを一体化したインテリジェントな電動バイク向けバッテリー交換プラットフォームを構築した。

嘟嘟換電のソリューションで地域コミュニティ、工業団地、学校のスマート管理を改善

廖氏によると、同社が提供するバッテリーは中国国家規格に準拠する電動バイクの90%以上と互換性がある。同社は2種類のビジネスモデルを採用している。1つは車体のみを購入したユーザーに標準バッテリーをレンタルするもので、バッテリー購入費用の節約になる。もう1つは自転車の所有者が廃棄した、もしくは劣化した古いバッテリーを回収し、代わりに標準バッテリーをレンタルしてもらうというもの。

同社はこの2年で5Gスマートバッテリー、スマート管理、充電スピード、安全対策などの水準を向上させた。

5Gスマートバッテリー技術が安全で便利なスマートモビリティを実現

2022年12月には5Gスマートバッテリー技術を発表した。独自開発したバッテリー管理システム(BMS)と5Gスマートバッテリー技術モジュールを搭載したバッテリーを通じ、クラウドプラットフォームからバッテリーの充放電の監視、車両の稼働状態と走行ルートの監視、バッテリーと車両のトラブル通知を行う。また、電子フェンスなどの技術で無秩序な駐輪を減らし、管理コストを引き下げることもできる。

専用アプリやミニプログラムには施錠・解錠機能のほか、他人への車両使用許可、車両の位置特定、音による位置確認、盗難防止などの機能がある。

嘟嘟換電のIoTプラットフォームはバッテリー、バッテリー交換キャビネット、車両などを総合的に管理する。販売店の管理システムや地域コミュニティ・工業団地・学校の管理システム、維持管理システムなどを提供し、車両の販売・登録、車両の出入り・駐輪、安全監視、リスク通知、維持管理、消防との連携に至る総合的な管理サービスを展開している。

充電時は、1つのアダプターで2つの充電出力を制御する方式によって出力をインテリジェントに調整し、充電効率を高めている。最大出力電流は10アンペア、わずか2時間で交換用バッテリーをフル充電できる。設置面積0.2平方メートルのバッテリー交換キャビネットは、1日当たり50人の利用が可能。

安全性と充電効率が向上したスマート・バッテリー交換キャビネット

バッテリー交換キャビネットの安全性も高まった。難燃材料と防爆構造を採用し、キャビネットの扉の内側にはエアロゾル消火器、煙感知器、温度センサーシステムを備えている。キャビネットそのものにも自動消火装置や浸水時の自動電流遮断装置などが備わっており、バッテリーを安全に充電・保管できるようになっている。また、クラウドプラットフォームでバッテリーの状態を監視し、リスクを検知すると自動的に電源を落とすことで、充電に起因する火災事故を防止する。

嘟嘟換電は広東省深圳市、浙江省杭州市・寧波市などに3000カ所近くのバッテリー交換スポットを設け、登録会員は3万人を超える。現在は合計3万台以上のバッテリーを保有しており、今後はリースや他社との提携を通じてバッテリーを増やす予定だ。

(翻訳・大谷晶洋)

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