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自動車のインテリジェント化が進むにつれ、自動運転に欠かせないセンサーであるLiDARがかつてないほどの注目を集めている。今年2月には中国の大手LiDARメーカー「禾賽科技(Hesai Technology)」が米ナスダックに上場し、2021年以降に米国で上場した中国企業としては最大規模のIPOとなった。
そして6月末に、もう1社の中国LiDAR業界のリーディングカンパニー「速騰聚創(ロボセンス)」が、IPOに向けて香港証券取引所に目論見書を提出した。
ロボセンスは2014年設立。出資者には上海汽車(SAIC)、比亜迪(BYD)、吉利汽車(Geely)など大手自動車メーカーのほか、アリババ傘下の物流企業・菜鳥網絡(Cainiao)、スマートフォン大手のシャオミ、中国移動(チャイナ・モバイル)などの大企業が名を連ねる。
同社は2021年6月から主力製品の「RS-LiDAR-M1」の量産を始めた。これは世界で初めて量産を実現した車載グレードのソリッドステートLiDARだ。高価な機械式LiDARよりも価格面で優れており、業界の平均価格はわずか500~1000ドル(約7万1000~14万2000円)だという。
目論見書によると、ロボセンスは世界の自動車メーカーや1次サプライヤー200社以上と提携を結んでいるほか、21社の52車種でメーカー指定の部品となっている。設立から今年3月末までに納入したLiDARは累計10万台に上り、2022年は5万7000台だったという。このうち「M1」が3万6600台で、全体の64%を占めた。過去3年間の売上高は2020年が1億7090万元(約34億円)、21年が3億3110万元(約66億2700万円)、22年が5億3030万元(約106億円)で、中国の新エネルギー車市場の拡大に支えられ年平均成長率76.2%で成長してきた。
ADAS(運転支援システム)の普及と共に一躍脚光を浴びるようになったLiDAR市場だが、その裏で赤字体質というジレンマを抱えている。4年弱で6億元(約120億円)以上の損失を計上した禾賽科技と同様、ロボセンスの損失額も20年が5993万4000元(約11億8700万円)、21年が1億760万元(約21億3100万円)、22年が5億6280万元(約111億5000万円)と、年々増加の一途をたどっている。22年は納入台数が大幅に伸びたものの、純損失も前年比423%増と急拡大、粗利益はマイナスに転じて-7.4%となった。22年はLiDAR1台を販売するごとに9000元(約17万8000円)余りの赤字を出した計算になる。
ただ注目できる点として、ロボセンスではハードウエアだけでなく、LiDARセンシングソリューションといったソフトウエアの売上高も顕著に増加している。2020年から22年にかけて、センシングソリューションの売上高が全体に占める割合は20~30%を保っている。
今後の中国のLiDAR市場は、先行きがかなり不透明だ。今年に入って自動車メーカーは価格競争の消耗戦に突入し、業界の関心も低価格に移ってきた。LiDARメーカーは出荷台数を増やし続けているが、黒字化の見込みすら立たない泥沼に陥っている。
ロボセンスは目論見書の中で、理想的な価格で製品を販売できない場合、自社の事業や業績、財務状況に悪影響が及ぶことを率直に認めている。
(翻訳・畠中裕子)
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