シューズから航空宇宙分野まで3Dプリント、生産の限界を打破する「LuxCreo」

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3Dプリント会社「清鋒時代科技(LuxCreo)」がシリーズBで3000万ドル(約32億円)を調達した。同社は産業チェーンをさらに整備し、設備を充実させ、素材とカスタマイズソフトウェアの開発を推進し、他分野での大規模な応用のニーズに応えるために尽力するという。

同社は2016年創業で、今年はブランドを刷新し、自社で知的財産権を所有する3Dプリント技術「LEAP™」を主力として、高速かつ連続した3D印刷を実現し、印刷速度を従来の30~200倍に上げることに成功した。

同社は2018年10月に、量産向けの高性能弾性素材「EM-11」を自社開発したと発表し、LEAP™技術と組み合わせて用いるようになった。今後、靴のソールの生産に採用されるという。

画像提供:清鋒時代科技

現在、同社はソール量産向けのソフトウェアを開発中で、すでに試行版を製作している。このソフトウェアは各顧客の足型や足圧データに基づいて自動分析を行い、個別のデータと模型を作成する。カスタマイズによって誰もが満足できる履き心地を実現するだけでなく、歩き方や歩く姿勢の矯正など機能的な分野にも広く応用できるという。

画像提供:清鋒時代科技

同社の公式サイトによると、現在はスマート工場の建設中で、すでに複数の生産ラインで量産化に向けた試験生産を行っている。2020年末に、3Dプリンター製ソールの生産コストが現在主流の発泡ソールの価格帯まで下がると予想されており、2024年末には、1000万足以上のカスタマイズソールが生産可能になるとみられる。

画像提供:清鋒時代科技

この他、同社は弾性素材のEMシリーズをさらに改良している。改良後の「EM-13」はシューズの中底に用いられ、反発性や衝撃吸収性、重さなどで、現在市場に出回っている3Dプリンター製ソールを全面的に上回っており、一部の中核機能においては、現行のハイエンド系発泡ソールよりも優れている。EMシリーズは、欧州化学物質庁(ECHA)が規定する高懸念物質の基準 (SVHC201)や、米国の安全基準であるプロポジション65(US California Proposition65)などによる安全の要件を満たしている。

画像提供:清鋒時代科技

材料は3Dプリント分野の中核技術の一つだ。すでに発表済みの弾性素材と靱性素材だけでなく、同社はさらに多様なプリント素材シリーズを開発する予定だ。

具体的な応用面では、シューズ以外に機械や航空宇宙分野などへの進出も検討している。産業機械や航空宇宙関連機材および自動車部材のカスタマイズや材料に対する要求は高い。EMシリーズが有する高強度、高靱性、耐衝撃性などの物理的特性に加え、3Dプリント技術を用いることで、機械・航空分野でも質の高い代替部品を速やかに提供でき、機械の寿命も延ばせる。

2019年6月時点での世界3Dプリンターメーカー20社の時価総額/評価額の比較一覧(画像提供元:「南極熊3D打印網(nanjixiong.com))

特筆に値する点は、今回の出資に参加したインベスターは、金属3Dプリント分野の米ユニコーン企業「Desktop Metal」にも投資していることだ。「クライナー・パーキンス(KPCB)」は、「この30年以上において、3Dプリントは起型が不要な点が強みで、技術や材料の進化もあいまって、従来の生産フローの限界を打破してきた」とする。中でも、清鋒科技は製造工程が成熟しており、開発力も高く、安定性や信頼性も高いと評価した。

(翻訳・虎野)

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