中国史上最高ヒットのアニメ映画「哪吒」、オフィシャルグッズが追いつかないわけ

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映画関連商品市場から、中国国産アニメ発展の突破口を探る。

この夏休み、中国ではアニメ映画「哪吒之魔童降世(英題:Ne Zha)」(以下、「哪吒」)が大ヒットしたが、オフィシャルグッズの開発がそのヒットの大きさに追いついていない。

文化クリエイティブ分野のクラウドファンディングプラットフォーム「摩点(Modian)」の創設者・黄勝利氏は、映画公開を知った5月末から、制作会社にオフィシャルグッズの開発とクラウドファンディングに注目するように提案していたという。だが、その時点で始めたとしても、ディズニーが映画公開半年前からオフィシャルグッズの開発に注力していることに比べれば、すでに遅い状態だ。

摩点は数回にわたり、「哪吒」のオフィシャルグッズマーケティング、クラウドファンディング、リワード設定等に関与した。中国国内では、二次元キャラクターグッズ、フィギュア、デザイナーズトイ商品の専門ECサイトやコミュニティサイトが少ないため、摩点は独占契約を結んでいないものの、「哪吒」オフィシャルグッズの事実上の独占販売プラットフォームとなっている。

これまでに、摩点のプラットフォームにおける「哪吒」オフィシャルグッズの資金調達額は既に1040万元(約1億5300万円)を超え、目標額の約7282%となっている。黄勝利氏によると、「哪吒」のオフィシャルグッズの総売上高は2000万元(約3億円)を突破する見込みだという。

36Krはこのほど、黄氏に取材し、中国アニメ・漫画のグッズ開発を振り返りながら、なぜ「哪吒」のグッズ開発が市場ニーズに追いつかないのか、製作側からの解答を探ってみた。

中国アニメ・漫画のオフィシャルグッズ、権利付与に課題

過去の例から見て、中国の映画興行には著しい不確実性があり、特に中国国産アニメ映画はその傾向が強い。観客が料金を支払うという行為は、映画公開当初は興行収入として反映される。文化クリエイティブ産業にとって、興行成績はIPの価値をはかる基準にもなる。しかし、興行収入とオフィシャルグッズの売り上げは密接に関係する一方で、極めてねじれた状態にもある。

黄氏によると、興行収入が好調になるまでは、オフィシャルグッズの権利付与に誰も関心を示さない。だが、いざ興行収入が伸びはじめると、今度はグッズ開発が追いつかず、さらに、権利の価格が1日単位で倍から数十倍に増えることになり、グッズ開発業者らは二の足を踏むという。

「哪吒」は7月26日に公開され、一般オフィシャルグッズは10月に発売予定、フィギュア類は2020年4月に発売予定と、4~10ヶ月のタイムラグが出る。生産完了してから宣伝を行うと、消費者の熱が冷めてしまうため、クラウドファンディングを使うことにより、タイムラグをうまくカバーしようとしている。

また、権利付与によって得られる利益がロングテール効果に欠けるのも課題だ。しかし、IPの持続性、すなわち質の高いシリーズ映画こそ、グッズのロングテール効果を生む保証になると黄氏は話すが、影響力のある中国発のアニメ映画シリーズは極めて少ない。コミックの出版やアニメの放送では、二次元に関心を持つコアなファン層しか増やせないが、映画として成功すれば、より広い消費者層に訴求することができる。しかし、中国国産アニメ映画シリーズは、子供向けや親子向けのIPが多く、ファミリー・一般向けアニメ映画のシリーズ化ができていない。そのため、グッズ市場は映画の公開時期に左右され、周期的に変動している。

さらに、制作側の資金回収方法は主に興行収入に偏り、オフィシャルグッズの権利付与や開発プロジェクトのスタートが遅く、商品の製作過程が長いといった課題もある。ディズニー映画では公開半年前から権限付与をしている例もあるが、中国ではまだそのような例はない。「哪吒」のグッズ開発では、関連素材のアイテム数が不足しているため、グッズ開発が制限され、容易なものからクラウドファンディングをはじめるしかない。フィギュア類の商品は監督の監修を必要とし、製作期間が長くなるため、その発売までの時間稼ぎとして、クラウドファンディングや一般的なグッズ販売を使うのだ。

興行収入以外のマーケット拡大を探る

海外に比べると、中国のアニメ・漫画グッズの開発やデザイナーズトイのマーケットにはまだ伸びる余地がある。

中国のオフィシャルアニメグッズ市場はスタートしたばかりだ。中国の文化と観光部のデータによると、その市場規模は年々増加し、2016年には450億元(約6630億円)となり、さらに2017年には前年同期比で100億元(約1500億円)伸びた。今後数年間、アニメグッズの市場規模は20%~25%の速さで成長すると見込まれている。

業界関係者によると、中国のデザイナーズトイ小売会社、「POP MART」(泡泡玛特)の2018年の利益は1億元(約15億円)前後、グッズ開発・販売会社の「52Toys」は2019年第1四半期に3000万元(約4億4000万円)の売り上げをあげた。摩点は、2016年に3000万元(約4億4000万円)の年間GMV(総取引額)、2017年に1億元(約15億円)を超える売上高になり、今年は4億元(約59億円)を超える見込みだという。

これらの企業は、市場環境が良い上に、産業価値をさらに高められる可能性があるが、それには良質なコンテンツ、強いIPを生み出す能力が相対的に安定していることが前提となる。

(翻訳:小六)

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