「セグウェイ-ナインボット」の新型配送ロボ 地図自動更新で障害物回避

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

「セグウェイ-ナインボット」の新型配送ロボ 地図自動更新で障害物回避

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

中国では、Eコマースやフードデリバリーの急成長に伴い、「ラストワンマイル」の配送コストをいかに削減するかは物流・配送企業の死活問題となっている。ここ数年で宅配便の平均単価は1個あたり24.6元(約400円)から11.9元(約190円)に下がった反面、配達員にかかる人件費は1個あたり1~1.5元(約16~24円)にまで上昇しているとのデータもあり、「配送ロボット」はコスト削減の現実的な手段になりつつある。

「セグウェイ-ナインボット(九号機器人)」は、AIを搭載したスクーターやサービスロボットといった短距離移動機器の開発設計から販売までを手掛けるスタートアップ企業だ。2015年3月にセグウェイ社を買収し、グローバル企業としての足場を固めた。すでに世界の100の国・地域で製品を販売しており、2017年10月にはシリーズCで1億ドル(約106億円)を調達し、現在の評価額は15億ドル(約1600億円)を超える。

同社は昨年、初の配送ロボット「Segway S1」を発表し、フードデリバリーサービスを手掛ける「美団点評(Meituan-Dianping)」や「餓了麽(ウーラマ/Ele.me)」と戦略提携を結び、無人配送業界への参入を果たしている。8月16日には第2世代配送ロボットとして屋内向けの「Segway S2」と、屋外向け新型配送ロボット「Segway X1」をローンチした。Segway S2は主にオフィス、百貨店、ホテル、病院など屋内の各配送ニーズに特化し、さらに建物周辺での短距離移動も実現。またSegway X1は自動ナビゲーションシステムを搭載した、工業団地、キャンパス、ビル間移動などの屋外配送専用のロボットだ。

Segway S2を紹介するセグウェイ-ナインボットの共同創業者兼総裁の王野氏

セグウェイ-ナインボットは、VSLAMアルゴリズムや高度なコンピュータビジョン技術を自社開発し、配送ロボットの3D自動測位・地図作成システムを構築している。また、クラウドとローカルが協調して処理を行う移動システムを開発したことで、ナビゲーションマップの半自動設定、長時間の安定運行、障害物マップの自動更新が実現した。さらに、クラウド経由で配送の全過程を随時モニタリングし、また警報システムも備えているため、確実な配送業務と遠隔操作による人件費削減が可能となった。

安定走行に関しては、Segway S2には3D地面検知センサーや領域分割アルゴリズムを搭載しており、高さ3センチメートル以下の障害物も検知するため、誤って人の足をひいてしまうこともない。また段差も感知可能で、運行上の安全性は非常に高い。量産コストについても、自社工場と独自のサプライチェーンにより、他社製品の3割で済んでいる。

屋外で移動している「X1」

現在、北京と上海のオフィスビル数カ所や工業団地の一定エリアですでに配送ロボットの試験導入が始まっている。主にアイドル時の宅配便配送とピーク時のフードデリバリーを実施しており、累計試験距離はまもなく5000キロメートルに達する見込み。ラストワンマイルの配送コストも、1キログラム・1キロメートルあたりの人件費は従来の1.5元(約23円)から0.05元(約0.8円)と約30分の1まで引き下げた。

「ただし端末輸送業務は簡単にみえて実は複雑。克服すべき問題は山積みだ」と王野総裁は話す。「例えば、万が一配送品が破損した場合の責任の所在や、ピーク時に混み合ったエレベーターに乗れるのかといった現実的な問題がある。さらに旧式のエレベーターやドアセキュリティシステムなど、建築設備側も自動配送ロボットに対応できるようにアップデートする必要もある」

物流企業の配送ロボットに対するニーズは高く、2014年以降Starship Technologies、Marble、Nuro(ニューロ)、Dispatchなど世界のスタートアップ企業がロボットを活用した無人配送業務の開発を進めてきた。中国ではアリババ、「京東集団(JD.com)」、「蘇寧易購(Suning.com)」など配送ニーズの高い大手企業が無人配送業務の計画や進展を続々と発表しているほか、「雲迹科技(Yunji Technology)」、「擎朗智能科技(KEENON Robotics)」、「真機智能科技(Zhen Robotics)」、「YOGO Robotics」、「智行者科技(Idriverplus Technologies)」、「行深智能科技(Xingshen Intelligent Technology)」といったスタートアップ企業が配送ロボットの開発を進めている。

セグウェイ-ナインボットは、中国版ナスダックといわれるハイテク企業向け株式市場「科創板(スター・マーケット)」への上場を申請し、すでに受理段階に進んでいる。上場により20億7700万元(約332億円)の調達を計画しており、うち1億9300万元(約30億円)は今後の配送ロボット事業に充てられる見込みだ。(翻訳・神部明果)

7月1日より、これまで36Kr Japanのメディアで提供していた記事のうち、一部スタートアップ企業に関するニュースについては、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」の会員限定で提供します(初期段階では無料会員も対象とします)。まだ登録されていない方は、ぜひそちらをご利用ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録