コストコが中国に初出店 吉と出るか凶と出るか

36Kr Japan | 中国No.1スタートアップメディア日本版

中国最大のタートアップメディア、36Krの日本版です。先端企業の技術開発、業務提携、ファイナンス状況など中国の「今」を現地から届けるとともに、日本人向けの解説などのオリジナル記事を発信します。36Kr日本版を見れば、中国が分かります。

ビジネス注目記事

コストコが中国に初出店 吉と出るか凶と出るか

メールアドレスを登録して中国最新情報入手

続きを読む

上海市に「Costco(コストコ)」が初出店を果たした。オープン当日はあまりの盛況ぶりに周辺の交通機関が大混雑となり、一時的に営業停止の事態となった。地元派出所も「ピーク時の来店を避けるように」との呼びかけを公式SNSで行ったほどだ。

買い物客であふれるコストコ店内。周辺は大渋滞で警察が出動した

コストコ(中国語名は開市客、好士多)は米国最大の会員制倉庫型マーケットチェーンで、世界2位の小売業者だ。アマゾンなどのEコマースが低価格商品と配達サービスを武器に世界の小売業界に打撃を与える中、コストコは順調な成長を続けている。設立から43年経った現在、世界の店舗数は750店を超え、中流階級をメインに9600万人の会員を抱えている。

コストコの従来の出店スタイルは、中国初の店舗となる上海店でも貫かれている。床面積は2万平方メートル、売場面積は1.4万平方メートルに及び、きわめて簡素な内装は、一般的な倉庫と大差がない。商品のSKU(最小在庫管理単位)はわずか3400で、まとめ売りをメインの販売方法としている。また年会費は299元(約4400円)で、銀行カードを登録すれば年間199元(約3000円)の割引が受けられるという。コストコアジア地区総裁の張嗣漢氏によれば、中国のターゲット顧客はこれまでと同様、一定の消費力のある中間~高所得層で、将来的には経済的に発達した華東地区での店舗拡大を目指すとのこと。

米系ウォルマートや独系メトロと比べ、コストコの中国での店舗開設は一見すると遅すぎるようにも映るが、中国進出にあたっては周到な段階を踏んできた。同社は2014年に「天猫国際(Tmall GLOBAL)」に初の旗艦店を出店し、まず越境ECから中国市場に参入した。2017年9月にようやく「天猫(Tmall)」の国内公式ストアをオープンし、取扱商品の拡充を図っている。

中国進出に時間がかかった理由としては、中国の厳格な輸入規制や、サプライチェーンの現地化や出店場所の選定に時間がかかったことに加え、コストコの有料会員制度も1つの壁となっていた。有料会員制度は中国の消費者なじみが薄く、コストパフォーマンスの高い選択肢とみなされていないためだ。だが中国の市場環境は変わりつつある。中間~高所得層の購買力は徐々に向上しているため、コストコにとっては新たな成長のチャンスとなっている。まさに満を持しての中国出店といえるだろう。

価格優位性で集客、会員費で収益化

コストコのコアコンピタンスといえるのが、「低価格で良質な商品」で消費者の入会を促し、会員費で利益を出す独特のビジネスモデルだ。2018年の同社の決算報告書によると、会員費は売上高のわずか2.2%を占めるにすぎないが、前年比16.98%増の31億4200万ドル(約3330億円)と全体の利益に貢献している。その反面、商品の粗利率は直近5年間で平均15%以下と非常に低く、中国の量販店やコンビニエンスストアの粗利率をはるかに下回っている。

コストコの商品価格が市場価格よりはるかに安い理由は、主に優れたサプライチェーン管理にある。同社は1SKUにつき1~3社のみのサプライヤーを選出し、価格と商品規格を厳しくコントロールしているうえ、商品の品揃えも需要が安定した基本的なものに厳選している。このため商品の回転率は高く、商品の仕入れから販売までの日数はわずか35日間と、ウォルマートより12日間も短い。

百貨店と大差がないコストコの商品ラインナップの一部

コストコは自社ブランド(PB)と他社ブランドの商品を同時に販売しているが、一部では有名ブランドのバッグや香水、また中~高価格帯の通信機器なども扱っている。通常の百貨店やショッピングセンターと全く変わらない商品を市場価格より安く提供することが、一般的な販売店とは一線を画したコストコのブランドイメージ構築に寄与している。

課題も山積み

とはいえ、中国での同業他社との競争は決して生易しいものではない。オープン当日にコストコを訪れた客は、なぜ他社のようにネット注文・自宅配送ができないのかと口々に不満を漏らしていたという。Tmall旗艦店では商品の種類とSKUに限りがあるため、実店舗との同一商品・同一価格は実現できていない。また現在の立地と物流体制では、即時配送サービスの提供も難しいという。

業務のデジタル化の面でも、「WeChatPay(微信支付)」や「Alipay(アリペイ/支付宝)」によるモバイル決済には対応しているものの、商品の補充や移動はいまだに人手やフォークリフト頼みだ。さらに、他国のコストコ会員が享受している旅行手配やガソリンスタンドでのオプショナルサービスも、中国の現在の政策環境下では実現が難しいうえ、返品保証サービスの導入についても条件が整っていない。

中国市場は大きな発展の可能性を秘めている反面、決して一朝一夕には太刀打ちできない難しさがある。有料会員制度が一般に十分に認知されておらず、過酷な競争環境の中、コストコの前にはいばらの道が待ち構えている。
(翻訳・神部明果)

メールアドレスを登録して中国最新情報入手

関連キーワード

メールアドレスを登録して中国最新情報入手